
花嫁はパーキンソン病 15年前に異変…諦めていた結婚式が現実になり涙「人の力借りればできる」 愛知・安城市

愛知県安城市で開かれた結婚式。新郎新婦も晴れやかな表情ですが、実は、新婦は式を挙げることを諦めていたといいます。式の終盤では、涙ながらに感謝の気持ちを伝える新婦。その裏には、新婦が抱える特別な事情がありました。
吉田悦子さん。
普段は、病院で医療事務として働いています。
運動が好きだったという吉田さんですが、15年ほど前、ある異変に襲われました。
「字を書いても、どんどん小さくなっていく。普通じゃあり得ないことが起こって」(吉田悦子さん)
持ち物に書いた名前の「田」の文字が小さくなっていますが、なぜ、こうなってしまうのか、吉田さん自身もわからないといいます。
さらに、痛みとともにかかとが浮き、動けなくなる時も…。
吉田さんの病名は“若年性パーキンソン病”。発症の原因など、解明されていない部分もありますが、細かい動作が難しくなるなど、さまざまな症状があります。
「着替えるときに、なぜか肩甲骨あたりでTシャツが引っかかっておりてこないとか、日常動作ができなくなることも、たまにある」(吉田さん)
台所に敷き詰められたマットにも理由がありました。
「私、後ろに倒れていくことがあるのね。転倒することがあるんだけど、転倒してもけがしないように敷いている」(吉田さん)
外出の際は、転倒を防ぐため、重さ15キロほどある歩行器を使います。
この日、悦子さんが向かったのは、ジム。
「だいぶ体がほぐれて、いい感じになって、いい感じに帰れる」(悦子さん)
進行性の病気であるパーキンソン病。体を定期的に動かすことは重要だといいます。
日々、努力を重ねる悦子さんに、そのわけをうかがおうとお宅におじゃますると、夫の朝昭さんの姿が。
5年前、職場で知りあった二人は2年前に入籍。朝昭さんは、悦子さんの病気を知った上での結婚でした。
「僕だったら、すぐに音を上げそうな気がする。不自由はずいぶんあるんだろうなとは思うけど、でも動けるし、日常生活ができるのだから、僕はそれでいいなと思って」(朝昭さん)
よき理解者を得た悦子さん。しかし、“大切なこと”ができていなかったといいます。
「普通の結婚式場で、難病の人の対応が慣れている人がいない。転倒したりとかね。そこのフォローは看護師さんとか経験がある人がいないと難しいところがある」(悦子さん)
けがのおそれもあり、諦めていた“結婚式”。しかし、知人の紹介で看護師が付き添う結婚式のサービスを知り、式を挙げることを決意しました。
トレーニングに励む傍ら何度も打ち合わせをし、準備を行ったのです。
そして迎えた式当日。
朝昭さんに見守られながら身支度をととのえ、体への負担が少ない、軽いウェディングドレスに身を包みます。
念願の結婚式が始まりました。
二人で選んだ結婚指輪を交換。
「諦めなくちゃいけない状況だったのですけど、人の力を借りればできるので、諦めないように頑張っていきたいです」(悦子さん)
コロナ対策で、参列者はオンラインでの参加となりましたが、あたたかい祝福に包まれました。