
人気支える“平成女児”…『たまごっち』令和の再ブームに平成レトロの追い風 効率重視とは対極の「エモさ」

平成の時代、社会現象にもなった「たまごっち」が令和のいま、再びブームとなっています。その人気を支えているといわれるのが「平成女児」、当時、彼女たちが当時熱中したファッションやグッズが再び注目を集めている背景を探りました。
■かつては”社会現象”にも…「たまごっち」が再びブーム
手のひらサイズの育成ゲーム「たまごっち」、まもなく誕生から30年を迎えます。 名古屋市西区のmozoワンダーシティには2025年4月、オフィシャルショップ「たまごっちのおみせ」がオープンしました。
しゃちほこや小倉トーストがデザインされた東海地方限定の「たまごっち」のほか、ぬいぐるみなどのグッズも販売されていて、3世代で使っているという家族も訪れていました。
娘: 「育てるのが面白い。(昔は)抽選販売とか早く並んで買ったりとか」 別の娘: 「私が置いて預けていくと(母が)やってくれて」 母: 「死んじゃうといかんから…」
店の担当者: 「『子供のころに遊んでいたものを、子供と一緒に遊べるっていうのがうれしい』という声をいただいております」 「たまごっち」は1996年に発売されました。育て方でキャラクターの姿が変わり、ごはんやトイレの世話をしないと、死んでしまうなど、『仮想のペットを育てる』という斬新なコンセプトが、女子高生を中心に大ヒットしました。
何とか「たまごっち」を手に入れようと、店の前には長い行列ができ、気まぐれな卵をみんながお世話する”社会現象”になりました。
日本だけでなく、海外でも大ヒットした「たまごっち」ですが、開発に携わった担当者によると、当初社内では売れないと思われていたといいます。 当時の企画・開発担当 本郷武一さん: 「社内プレゼンをしたときに『え、うんちしちゃうの?』とか『死んじゃうの?』とか、本当に期待されていなかったですね。誰が食いついてくれるのか分からないというのが本音で、結果、10代の女子高校生が話題にしてくれた」
■進化する“たまごっち” ブーム支える「平成女児」
「たまごっち」は今も進化を続けています。これまでに38種類販売され、バンダイの社内には、その歴史を紹介するコーナーもあります。
2004年には友達同士で遊べる赤外線通信機能を搭載し、再びヒットしました。 2008年にはカラー画面になり、キャラクターの表情がより豊かに。
2021年にはマイクで声掛けもできる“腕時計型”など、次々と世に送り出してきました。
そして、令和のブームのきっかけとなったのが、2025年7月に発売された「たまごっちパラダイス」です。
キャラクターの育ち方は5万通り以上で、新たについたダイヤルを回すと、ズームアウトして、キャラクターが住む星を眺めることができたり、拡大して体の中の細胞を見たりするすることができます。 開発にあたってのキーワードは「なつかしい」と「最新」、キャラクターの特徴を子供に遺伝させるなど新たな要素を取り入れる一方で、卵型に3つのボタンという、たまごっち”らしさ”は発売当初から変えていません。
バンダイ トイ事業部の青柳知里さん: 「たまごっちのブームを支えている層の中に、『平成女児』と呼ばれている層がいると分析しています。親にとっては「懐かしい」、子供たちにとっては「新しい」、いい具合を目指して、いい商品を作れた」
2025年の新語・流行語大賞にもノミネートされた「平成女児」。90年代後半から2000年代初頭に子供時代を過ごした女性たちを指し、当時流行したキャラクターやファッションが、令和に再評価されています。
■”懐かしくて新しい”「平成レトロ」人気の理由
名古屋・栄の名古屋パルコで2025年10月、数々の人気キャラクターを生み出したナルミヤ・インターナショナルのグッズを販売するイベントが開かれました。
ファッションブランド「メゾピアノ」のべリエちゃんや、「エンジェルブルー」のナカムラくんなど、平成時代に人気のキャラクターグッズを買い求める人々でにぎわいました。
20代女性: 「(べリエちゃんのハンカチを)私が幼稚園のときに使っていた。1回なくして、フリマサイトで見つけて買って、『めっちゃ懐かしい』みたいな」 別の20代女性: 「もうなんか店に入った瞬間『うわあ』って。もう全部買うぐらいの勢いで。懐かしさももちろんあるし、ベリエちゃんとかやっぱり思い出があるので、手に入るのがめちゃくちゃうれしいですね」
当時、熱中した「平成女児」たちが「大人買い」。懐かしさではなく、目新しさにひかれるZ世代の姿もみられます。 ナルミヤ・インターナショナル 漆畑祐樹さん: 「届けたいなと思っているのは『記憶』なんです。決して『モノ』を売ろうとは思っていなくて、キャラクターを通じて楽しかった記憶とか思い出をご提供したい」 いったい、なぜ平成のグッズが人々の心をとらえるのでしょうか。 「平成レトロ」という言葉を生み出した平成文化研究家・山下メロさんは、当時流行したキャラクターやたまごっちなど多くのグッズをコレクションしています。
倉庫には大量のガラケーや、懐かしいドリンクの空瓶までもが保管されています。
山下メロさん: 「平成の始まりごろは携帯電話をみんな持ってないので、無駄や余白を楽しむ時間が多かった。今、効率重視の時代になって、”エモい体験”としてむしろ好まれている」 デジタルペットを育てるだけの「たまごっち」、写真を撮るだけのカメラやプリクラが、スマホ全盛の「令和」に、その価値が見直されているといいます。 山下メロさん: 「たまごっちって単一の機能で、たまごっちを育てる、実際にボタンを押す感覚みたいなアナログの感じ、作業がもうスマートフォンでしかゲームをしてない人ってかなり失われているので、それが新鮮な体験である」
「たまごっち」は2025年7月、累計出荷数が1億個を超えました。「平成レトロ」の追い風を受け、2026年、発売から30年を迎えます。 バンダイ トイ事業部の青柳知里さん: 「『世話の焼ける喜び』をより世界中の人々に届けられるように、単なるレトロで終わりたくないと私たちも思っているので、何か新しい要素をどんどん付与していって、平成レトロを超えた新しいたまごっちになれるように日々模索しています」 2025年11月19日放送





