令和の夏休み、学校のプールでは泳げない 熱中症対策や教職員の負担などから、民間プールへの委託も広がる

多くの学校は7月19日から夏休み。学校のプールでたくさん泳いだ思い出がある人も多いのでは? ただ、学校のプール事情は以前とは大きく変わっています。
校長先生の話に耳を傾ける名古屋市中区の松原小学校の児童たち。18日は1学期の終業式です。
「海とかプールとか行けるからすごく楽しみです」(6年生)
「市民プールとか流れるプールとか行きます」(6年生)
「波に打たれながら楽しむやつとか、水しぶきが上から出てきたりとか」(6年生)
カンカン照りの真夏の日差しを浴びながら、学校のプールで泳いだ思い出を持つ大人たちも多いのでは――。
「小学校の時はありました。分団ごとに曜日と時間が決まっていて、学校のプールに行く感じでした」(30代)
「プールが開いてる日は、毎日友だちと予定を合わせて『あした行こう』と、ほぼ毎日行っていた」(20代)
「泳いだり、宝探ししたりした」(20代)
「友だちとクロール競争や、どれくらい潜っていられるかなどをやっていました」(30代)
数々の思い出がよみがえる学校プールですが、松原小学校では――。
Q.夏休み期間の学校のプールは?
「使えないです。夏休み中は学校に入れなくて」(6年生)
学校プールの使用をとりやめする自治体も

実は令和のいま、事情は少し変わってしまっているんです。
「大府市内の小学校のプールです。水は張られていません。使われている形跡がありません」(木岡真理奈アナウンサー)
愛知県大府市の大府小学校。ここは2023年度からプールの使用を取りやめています。
「大府市の小学校の水泳授業は、民間のプールに委託して実技をやっています」(大府市教育委員会 倉永直樹さん)
実は大府市では、市内9つの小学校すべてで学校プールの使用を取りやめていて、児童たちはプールの授業のたびに、近くの公営や民間のプールに移動しているといいます。
さらに4つある中学校では、プールの授業は「座学」に。実際に泳ぐことはありません。その理由は――。
「昨今の気象状況による熱中症への心配と、プールの管理、施設の老朽化、管理する教職員の負担の3つから取り組みました」(倉永さん)
夏休みの開放をとりやめている自治体は増加

さらに民間の施設を使うメリットも。
「民間のプールは天候に左右されることなく、安定して授業が実施できる。民間のプールでお願いしているところでは、インストラクターに実技を教えてもらうこともあるので、水に慣れ親しんでいない子はそこから教えてもらえるし、子どもの泳力に合わせて教えてもらえるので、泳力の保持増進につながる」(倉永さん)
当然、夏休み中のプール開放もありません。
これは、大府市に限ったことではなく、夏休みの開放を取りやめている自治体は増えているといいます。
この状況に大人たちは――。
Q.いまプール開放が全くない学校もある
「そうなんですか。私は今でも楽しい思い出。友だちとの交流の一環でもあったので、今は当たり前かもしれないが、当時を知る私からするとちょっとかわいそう。そういう機会が減るのはもったいない」(30代)
「夏休みの楽しみがなくなっちゃうのかなというのもあるし、結構残念なんじゃないかと思います」(20代)
残念がる声もありましたが、プール開放がないのは仕方がないという声も――。
「先生の考えとか立場からしたらどうなのかなと」(20代)
「今さすがに暑いので、水に入っている分にはいいかもしれないが、行き来の暑さも考えると、なくてもいいのかな」(30代)
「嫌いな人もいるので、行きたい人は個人で違うプールに行けばいいんじゃないですか」(20代)
子どもたちの夏休みの思い出づくりに欠かせなかったプール。
大府市では、夏休み中に泳ぎたい小学生には公営プールの利用を求め、実技の授業がなかった中学生には3回分のプール利用券を配っています。