低迷続く中日ドラゴンズ 最下位脱出のカギは「四球」 去年現役引退した平田良介さんが徹底解説
去年最下位の借りを返すべく2年目のシーズンに臨んだ立浪ドラゴンズ。しかし、ここまで12球団ワーストの借金13。
巻き返しのために、今、中日ドラゴンズに必要なことは何か。2010年、2011年のドラゴンズ優勝メンバーであり、去年現役を引退された中日OB平田良介さんに中日浮上のカギについて解説してもらいます。
■平田 良介氏
中日一筋17年、2005年高校生ドラフト1位で入団。2011年にはレギュラーとしてリーグ優勝連覇に貢献した。
元ドラゴンズ 平田 良介さん
―――中日は現在最下位と、かなり苦しい状況になっています。ここまでの戦いをご覧になっていかがですか。
試合を見る中で、負けが続くと歯がゆい気持ちになります。古巣のドラゴンズには勝ってほしいです。
―――2011年の優勝メンバーだった平田さんに、落合監督の時代と立浪監督の時代に雰囲気の違いはありますか。
みなさん、一生懸命にプレーしていると思います。その中でも、現在活躍している選手たちは、「次の回がある」「アウトになっても次はかんばろう」という気持ちでいるのだと思います。2011年当時は、「この打席でアウトになってしまったら2軍に落ちてしまうのではないか」と考えていたんです。そういった考え方の違いかと思います。
―――優勝したときには、ある程度レギュラーメンバーは決まっていたかと思います。それでも1打席しくじったら、2軍に落ちるという危機感があったんですか。
ありましたね。チームの雰囲気というのもあると思うんですけど、一生懸命プレーする中で、「余裕はぶっこいてられへん」という気持ちはあったのかなと思います。
2023年5月23日時点の打撃成績
実際に、データでどのような違いがあるのかを見ていきます。
まずは2023年現在のドラゴンズの打撃成績です。打率、ホームラン、得点と並べましたが、打率がセ・リーグ5位、ホームランは最下位。そして得点数も最下位というのが現状です。2011年の打撃の成績は打率と得点は6位。ホームラン数こそ3位ですが、それほど非常に多いなという数字ではないですね。
大きく違う四球による出塁数
2011年時点の打撃成績
僕が思うのは、フォアボールの数かと思います。今のチームはホームランが少ない中で、シングルヒットが多いと思います。その中で、フォアボールが少ないと出塁の確率もすごく低いですし、相手チームのピッチャーに対して、プレッシャーも少ないと感じます(平田さん)
「まずはストライク」の考えが甘い球になる
甘い球が増える
―――まさに今シーズンのドラゴンズはフォアボール数がセ・リーグで最下位ですね。優勝したときはフォアボール数がかなり多いんです。フォアボールの数が増えていくと、巡り巡ってどんな影響がチームにもたらされるのですか。
フォアボールが多いバッターに対して、相手ピッチャーはストライクを取ろうと思うんです。ファーストストライクです。ピッチャーが有利なカウント、1ストライクや1ボール2ストライクなど、早くストライクを取っていこうという気持ちになるんですよね。
そうなると、最初のストライクが甘い球に変わるんですよ。厳しい球ではなく「まずはストライクを取ろう」という考えになるので、甘い球が増えます。そして、その甘い球からホームランや2塁打といった長打を増やすことによって、相手ピッチャーとしては次から厳しい球から入らないといけなく感じます。
2ボール1ストライクや2ボール、ノーストライクなど、バッターの有利カウントに変わると、またフォアボールが増えます。それが繰り返されていくことで、良いバッターになっていくんじゃないかなと思います。
カギとなる3人の選手 岡林・福永・石川選手
活躍を期待
―――具体的に、平田さんはどの選手にフォアボールを求めたいですか。
1番、2番バッターを担当することの多い岡林勇希選手と福永裕基選手、4番を担当する石川昴弥選手の3人です。
・60番 岡林 勇希 打率.265、本塁打1、打点8、四球10
・68番 福永 裕基 打率.304、本塁打1、打点7、四球8
・25番 石川 昴弥 打率.272、本塁打4、打点13、四球10
岡林選手と福永選手は上位打戦で塁に出ることが仕事なので、この2人のバッターがヒットと別にフォアボールで出塁する数が増えれば、チャンスも増えます。石川選手に関しては4番バッターになってほしいんです。なので、ストライクで勝負する、例えば3ボール1ストライクの局面で、「フォアボールでもいい」というバッターになってほしいんです。
だからこそ、ど真ん中の球で勝負できるチャンスが来たときに、センター前ヒットを打って喜ぶのではなくて、そこはホームランなどの長打につなげてほしいなと感じています。