幻のウイスキーが70年越しに復活 創業150年の酒造会社が込めた思いとは… 愛知・碧南市

円安の影響などで海外からの人気が高まり、輸出額が高騰している日本のウイスキー。愛知県碧南市では、幻のウイスキーが70年越しに復活。創業150年の酒造会社では、3年前から本格的にウイスキーづくりを開始。貴重なもので“幻のウイスキー”と言われるのには、理由がありました。
愛知県碧南市で、焼酎などを製造販売する「相生ユニビオ」の工場をのぞいてみると、そこには、多くの樽(たる)が。
ここは樽の貯蔵庫で、“ウイスキーの心臓”といいます。
貯蔵されていたのは、3年間熟成されたウイスキー。
創業150年になるこの会社では、3年前から本格的にウイスキーづくりをスタートさせました。
「この海辺に近い碧南蒸留所で、あえて空調設備を入れず、冷暗所という形で3年間貯蔵した、他には絶対にない、そういった熟成を経たウイスキーができる」(相生ユニビオ 山田修二さん)
実は、日本産の酒類の輸出金額は去年初めて1000億円を超え、今年は9月時点で、すでに突破。中でもウイスキーは人気となっています。
この日、ウイスキーづくりの施設では、1樽だけのウイスキー“シングルカスク”と呼ばれるウイスキーの瓶詰めが行われていました。
「今回に限っては貴重なものなので、瓶詰めまで手作業でやっている」(相生ユニビス 山田さん)
1樽約170リットルのウイスキーを、手作業で瓶に詰めていました。
貴重なものだというこのウイスキー。そこには、ある理由がー。
「先輩がウイスキーづくりをやりたいと思ってやれなかったという無念を、ブームとともに、もう一回やらせていただこうと」(相生ユニビス 山田さん)
実は、今回つくられたウイスキーは、70年ほど前にこの場所でつくられていた幻のウイスキー。
4年間ほど販売されたものの、伊勢湾台風などで製造設備が被害を受け、自社生産できなくなったといいます。
「資料や文献がない中、他社の意見をうかがったり教えていただいて、みなさんに協力していただいて手探りでつくってきて、これなら世に出せる、出しても良いというものができた」(話:相生ユニビス 山田さん)
先輩たちの思いを受け継いだ碧南のウイスキー「一碧(いっぺき)」。気品のある香りや深みのある甘味が特徴です。
碧南市のふるさと納税の返礼品として50本用意しましたが、すでに完売。来年春ごろには、ネット販売などを始める予定だということです。