5月14日、三重県伊勢市。歌の練習をしている3人きょうだい。
両親も歌っていますが、家族5人で進めていたのはある伝統行事への準備です。

母親 佳苗さん:
「20年に一度のことなので、この貴重な体験を家族みんなでできたらいいなと」
「伊勢で20年に一度のこと」というのは伊勢神宮の「式年遷宮」。
今、2033年の社殿の建て替えに向けてヒノキを運び入れる「お木曳(きひき)行事」が行われています。
今年はその第1弾。
5月から8月まで続きますが、人気俳優など著名人も参加する伊勢の一大行事なんです。

そこに初めて参加することになった奥村さん一家。
挑戦するのは、「木やり」と呼ばれる歌。「エンヤ!」のかけ声とともに行列を引っ張る役目です。
地域の人たちと一緒に去年2月から1年以上をかけ練習を重ねてきた一家。参加の理由は…?
母親 佳苗さん
「大勢の前で一人で歌うって大人でもドキドキする、家族で1つの何かに向かってできるのはすごく良い思い出になると思っている」
子どもたちに大きな行事で大役を担うことで成長してほしいという思い。3人の中でも特に…。
母親 佳苗さん
「右半身が全部(まひ)ですね歩くのも遅かったです」
1歳を前に脳性まひが発覚した心翔(まなと)くん。

手術など治療を続けてきましたが、今でも右半身にまひが残っている状態。
回りの目を気にしてしまうこともあった心翔(まなと)くんに自信をつけてほしいと願っているのです。
そして迎えた本番。会場には、そろいの法被に身を包んだ多くの人が集まりました。
ヒノキを乗せた車の上には、父・哲矢さんの姿が。
自ら立候補して練習を重ね、栄えある最初の音頭を任されたのです。
子どもたちの姿は行列の先頭に。心翔くんは、元気よく左手をあげてみんなを引っ張っていました。

ここだけで、約3000人が参加したというこの日のお木曳。最後にまわってきたのは心翔くんの出番です。渾身の木やりを披露。その顔は自信に満ちあふれていました。
その後、ヒノキを乗せた車が外宮に到着。一家は、初参加のお木曳を無事に終えました。
心翔くん:
「楽しかった。緊張しなかった」
大役を果たした父の哲矢さんは…。
父親 哲矢さん:
「この景色を今度心翔に見てもらいたい」
母親 佳苗さん:
「成長したと思います。これからも家族みんな力をあわせて乗り越えられたらいいなと思います」


