「今、サッカーをやれることは当たり前じゃない」愛知の中学生がポーランドでサッカーを通じウクライナ支援

3月13日、愛知県蒲郡市役所を訪れたのは、市内のサッカーチームに所属する中学生たちです。彼らは3月27日に、ポーランドにサッカー遠征に行くため、出発を前に市長の元にあいさつに訪れました。

サッカー遠征の出発の前に市長へあいさつ
ポーランドは、ロシアから侵攻を受けるウクライナの隣の国。遠征の目的はそこで暮らすウクライナ人の子どもらとのサッカー交流です。
「サッカーで人と触れ合うことを楽しみにしています」(中学3年生 藤田洸太郎さん)
「どんな暮らし、どんな苦しみがあるのか、感じたことを同世代のみんなや我々世代に伝えてくれたらありがたいですよね」(蒲郡市 鈴木 寿明市長)
中学生を引率するのは、蒲郡市出身の元プロサッカー選手・加藤康弘さん。現在は蒲郡市で子どもたちを対象にしたサッカーチームを運営しています。
「ウクライナ戦争があるこの時期に行くことで、平和であるありがたさや、当たり前じゃないことを子どもたちと一緒に感じたい」(加藤さん)
ウクライナは「第二のふるさと」

元プロサッカー選手 加藤康弘さん
加藤さんは現役時代、ウクライナやポーランドなど海外5か国でプレーしました。中でも忘れられないのが、ウクライナでの現役時代だと振り返ります。
「ウクライナは基本ロシア語です。不動産の契約でアパートの契約から、全部自分でしなくちゃいけなかったので、英語が話せるチームメートが助けてくれました。今でも本当に感謝の思いでいっぱいです」(加藤さん)
しかし、2022年2月にはロシアによるウクライナ侵攻により、第二のふるさとは戦火に見舞われました。『何か自分ができることはないか』と考えた加藤さんは、サッカーを通して笑顔を取り戻してもらいたいと、これまでに3度ポーランドへ渡航。ウクライナからの避難民の子どもたちにサッカーを教えてきました。

中学生9人がポーランドに遠征
そして4度目となる今回は、中学生9人を連れて行くことを決めたのです。
「一人でも多くの人の心の傷を、癒してあげたい」(中学3年生 上石 遼さん)
「(ウクライナ人の子どもたちには)サッカーやってる時だけは楽しんでもらいたい」(中学3年生 西富 颯愛さん)
現地のサッカーチームと交流

現地の子どもたちと仲を深める参加中学生
現地では、ウクライナ人の子どもたちがいるサッカーチームと交流。言葉は通じなくても、中学生たちはジェスチャーなどを使って意思疎通を図りました。
ポーランドにいたのは7日間。交流の最後には再会を約束し、別れを告げました。加藤さんと中学生たちは4月4日に無事帰国。サッカーを通してウクライナ人との交流を深めた中学生たちの反応を聞きます。
参加中学生:
「今サッカーをやれることが当たり前じゃないなと感じました」(中学3年生 三迫 叶真さん)
「一日一日を、精一杯全力で生きないとなと思いました」(中学3年生 藤田 洸太郎さん)
「国は違うけど、人間ってすぐに仲良くなれるというか」(中学3年生 出来 暉兜さん)
中学生たちの心境の変化を聞いた加藤さん。
「今回のポーランド遠征は自分の価値観を大きく変える機会だったのではないかと思います。日本では感じられなかった価値観などを自分の肌で感じて、自分の人生に役立ててほしいです」(加藤さん)