
コメ高騰で「みりん」も値上げ… 一升瓶4700円で超高級日本酒レベルに 原材料は「もち米・米こうじ・米焼酎」 影響はウナギ料理にも?

コメ高騰のあおりで、和食に欠かせない「みりん」が値上がりしています。その影響は、うな丼やひつまぶしにも…。
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名古屋市中村区にあるコメ店「わりでんや」。店内に並ぶ銘柄米は、軒並み1キロあたり1000円近く。5キロで5000円前後と、コメの値段はいまも高いままです。
そして、お餅も高騰。もち米の値段は去年の約2倍と銘柄米を超える上がり幅に。その影響で同じく高騰しているのが、和食の味に欠かせない「みりん」です。
原材料を見てみると…
(大石邦彦アンカーマン)
「国内産のもち米、米麹…コメ使いますね」
一升瓶が4700円… 純米大吟醸レベル
(わりでんや 横井忠範代表)
「2倍とは言いませんけど1.7倍。良いみりんなんです。もともとが高い。一升瓶が税込みで4700円するのは、純米大吟醸レベルです。超高級の日本酒と同じ価格帯のみりんは経験したことがない」
さらに…
(横井代表)
「本みりんも、ものが来ない。注文はしてあります」
メーカーによっては、品薄状態も続いているといいます。
みりん業界も「大変です…」
また、日本有数のみりんの産地・愛知県碧南市にある醸造元を訪ねると…
(杉浦味淋 杉浦嘉信社長)
Q.何代目ですか?
「僕で3代目です。1924年、祖父が創業しました」
創業100年あまりの杉浦味淋。昔ながらの製法で作った2種類のみりんを販売していて、正月を前にいまが出荷のピークです。
(杉浦社長)
「真っ黒な濃いみりんなんですけど、熟成年数が違う1年熟成タイプと、3年熟成タイプの2種類を出しています」
(大石)
「ウイスキーに近い色ですね」
(杉浦社長)
「うちは色がつきやすい。なぜかと言うと、うまみと甘みがすごく凝縮している」
(杉浦社長)
Q.もち米高騰でみりん業界大変?
「大変です。(もち米の)値段で言うと、約3倍近くに仕入れ値が上がっています」
もち米・米こうじ・米焼酎をタンクで熟成
みりんを醸造する蔵には…
(杉浦社長)
「製造年月日が昭和45年。自分が生まれた頃に作ったタンクです」
Q.タンクの中には?
「搾った液体が入っている。今から液体貯蔵、貯蔵熟成という形で眠らせます」
みりんの原料は、もち米・米こうじ・米焼酎のみ。毎年2月に仕込みを始め、長くて3年ほどタンクでゆっくりと熟成させます。
タンクの中は…
(大石)
「すごいみりんの香りが充満しています」
(杉浦社長)
「これが搾りたて」
Q.浮いているのは?
「あれが、“澱(おり)”という米ぬかみたいなもの。絞りたては白濁しています。途中ろ過をする。フィルターを通してスッキリさせる」
もち米の価格約3倍…加工業者としては高すぎる
3年熟成させたみりんの味は…
(大石)
「甘い!おいしい甘くて」
(杉浦社長)
「これが砂糖やはちみつ・黒糖の代わりになるということで、料理に提案している」
Q.もち米の価格どうなってほしい?
「今まで通りの値段に戻してとは言わない。農家さんの生活もあるので。ただ3倍に近いというのは加工業者としては高すぎる」
みりん高騰でウナギ料理にも影響が
みりん高騰の影響は、こんなところにも。
(うなぎのやっこ女将 安藤豊子さん)
Q.創業何年ですか?
「ことしで105年です。大正9年」
Q.みりんの価格は上がっていますか?
「全部調味料などは上がっています」
名古屋の大須商店街にあるウナギ料理の老舗「やっこ」。平日のお昼時、店内は外国人観光客でにぎわっていました。
(大石)「こんにちは」
(客)「コン二チハ!」
(大石)「Where are you from?」
(客)「ハワイ!」
(大石)「Japan first time?」
(客)「イエス!」
(大石)「Do you like “Unagi”?」
(客)「イエース!」
かば焼きのタレにみりん3割使用
味を支えるのは、かば焼きの命ともいえる「タレ」。それを作るのに何より重要なのが「みりん」です。
(うなぎのやっこ 福井哲也さん)
Q.タレは何割くらいみりんでできている?
「3割くらい。継ぎ足し継ぎ足しで(作っている)」
のれんを守るのに欠かせないみりん。しかし、仕入れ値は上がり続け、12月もさらに一升で170円ほど値上がりしました。
先日、国際会議でウナギの取引規制が見送られ、ほっとしたばかりでしたが、みりん以外にも様々な食材が軒並み値上がりする中…
(安藤さん)
「来年から値段を上げます」
Q.上げざるを得ない?
「そうです」
Q.どのくらい上げますか?
「2~300円」
「企業努力で皆さんの手に取れる価格に」
「コメの高値」が招く、物価高。もち米の価格は約3倍の価格に跳ね上がったなか、先ほどお伝えした碧南市のみりん醸造メーカーでも、来年2月から始まる仕込みを前に、値上げするかどうかで頭を悩ませています。
(杉浦社長)
「2年連続で値段を上げた。原料が上がったからといって、いま思案中。すぐに値段を上げるわけにはいかない。企業努力で皆さんの手に取れる価格にしたい」
国が「マーケットに任せる」と様子見の中で、おさまらない米の高値。主食だけでなく食文化全体に影響が広がり続けています。





