認知不足に悩む“名古屋のフォトスポット” 狙いは「映え」「メッセージ性」 学生の思いをのせて再スタート

“名古屋のフォトスポット”を街の人たちに聞いてみると、“ナナちゃん”や“テレビ塔”など、定番の観光地の名前が。そんな中、観光目的でインスタ映え狙いで設置されたモニュメントがあるのを、知っていますか?このモニュメントを盛り上げようと、デザインを学ぶ学生たちが新たな取り組みに挑みました。
名古屋市内の観光地で、“ナナちゃん”や“テレビ塔”はよく知られていますが、中区・栄に置かれた撮影用のモニュメントを知っていますか?
その名も、アットナゴヤモニュメント。
4年前から観光目的でインスタ映えを狙って設置され、現在、オアシス21、名古屋城、名古屋港、久屋大通公園、東山動植物園の5か所にあります。
しかしいま、このモニュメントについて、大きな悩みがー。
「(投稿件数が)少ないは少ないので、今後、増やしていきたいっていう気持ちは毎年あるんですけど、難しい現状ですね」(モニュメント設置団体 名古屋青年会議所 木葉良平さん)
SNSのインスタグラムでヒットしたのは、わずか40件ほど(2022年4月時点)。
もっと名古屋を盛り上げたい!
そこで、モニュメントのデザインを定期的にリニューアルし、いろんなアットナゴヤを楽しんでもらうことに。
アートを学ぶ専門学校生たちに依頼が舞い込みました。
まずは学生を6グループに分け、各チームでデザインを提出。
その中から、木葉さんらが審査し、デザインを決定します。
こちらは5人グループの荒巻朱里さん率いる5人組のチーム。
荒巻さん:「かわいいって思わせる?」
チームの女子学生:「韓国っぽい方がいいのかな?」
さまざまなアイデアを出す若者の感性に、「いやー、めちゃくちゃ新鮮でした!私たちって凝り固まったような形の考えなので」と木葉さん。
滑り出しは順調のよう。
しかし、2つの難関が待ち受けていたのです。
実は、モニュメントにデザインできる面積が思いのほか小さく、その幅はわずか22センチ!
さらに、環境問題をテーマにした“メッセージ性のあるデザイン”が条件というのです。
各チームが頭を悩ませる中、荒巻さんチームは“野菜のフードロス”をテーマにしたデザインに決定。
食べられるのに廃棄されている現状を伝えるのが狙いです。
ブロッコリーの捨てられがちな茎の部分は目立つように鮮やかな緑にして、他はグレーに配色しましたがー。
「このグレー、やめよっか?。遠くから見ると、これが(グレーが)めっちゃ色が強いのよ」(荒巻さん)
遠くから見た場合を想定すると、目立たせたくない部分が目立ってしまい、逆効果に。
納得のいくデザインは、できあがるのでしょうか。
プレゼン当日の5月9日。
水質汚染や生態系の問題などをテーマにしたチームが続くなか、荒巻さんチームの発表です。
完成したデザインがこちら。
一見、カラフルな水玉模様に見えますがー。
拡大してみると、そこにはブロッコリーが!
遠くから見るとドット柄に見える一方で、近くで見ると、水玉模様が野菜の捨てられてしまう部分を強調する仕掛けに。
映えもメッセージ性もクリアしていました。
しかし、プレゼン終了後ー。
「やばい、すごい嫌だ」(荒巻さん)
緊張のあまり、プレゼンが上手くいかなかったようです。
そして、結果発表の5月18日。
モニュメントに描かれていたのは、リサイクルをテーマにした他のチームのデザインでした。
結果を知った荒巻さんチームはー。
荒巻さん:「最初、文字入れるってなって、結局省いたけど、(文字を)入れた方が良かったな」
女子学生:「誰が見ても分かりやすいデザインの方が良かったかもね」
一方で気づいたこともー。
「大根の葉っぱを豚肉と一緒に炒めたらおいしかったんで、これからもやろうかなと思ってる」(男子学生)
「(環境問題について)自分でも“何かできることがあるんだ”っていうことが知れたのが、新しい発見だった」(女子学生)
新たなデザインとなったアットナゴヤモニュメント。学生の思いをのせて再スタートです。