
あいちプラごみ無くし隊の活動レポート~街と海で体験したプラスチックごみ削減

愛知県では「あいちプラスチックごみゼロ宣言」のもと、行政・事業者・県民が一体となってプラスチックごみ削減に向けた行動変容を促す取り組みを進めています。
その一環として愛知県在住の18~24歳を中心に結成された「あいちプラごみ無くし隊」は、街中や海辺での清掃体験、マイボトルの活用、企業の取り組みを学ぶ講義など、合計3回にわたるプログラムを実施しました。
今回は、隊長のあかつさんをはじめとした参加者とともに活動に参加し、現場で見えてきた課題や気づきをレポートとしてまとめました。

相撲とエクササイズを融合したネタ「すもササイズ」でブレイク。テレビ番組の企画「国道1号線に落ちてる服を拾いながら歩いたら、名古屋ぐらいで全身揃う説」をきっかけとして、ごみ拾い活動を開始。
以来、自身のYouTubeチャンネル「あかつ部屋」にて、「【ゴミ拾いライブ】相撲芸人あかつの一日一膳」を配信させている。また、名古屋市内でのごみ拾い活動に参加。
清掃活動(街編)|街中のごみから考える環境負荷

初回は、あたりま縁日の2日目の朝に、大須商店街周辺での清掃活動を行いました。隊長のあかつさんと、サポーターとして参加した学生芸人・ニコラシカさんの呼びかけで、参加者は2つの班に分かれ、それぞれ異なるルートでごみ拾いへ。
一つ目の「新天地通り・裏門前通りルート」は、アーケートの下はごみが落ちてないのですが、一本細い道に入ると使い捨て容器や包装ごみが特に目立ちました。イベント後にみられるごみが顕著で、街のにぎわいと環境負荷の関係を実感できるルートでした。

もう一つの「万松寺通・大須本町通ルート」は車通りが多く、車からのポイ捨てとみられるペットボトルや空き缶、タバコや弁当のごみが多く集まりました。ひろったごみの中には、レジャーシートや段ボールなどの大型のゴミなどもあり、集めると相当量になります。汗を流しながらの作業を終え、参加者は「街をきれいにする喜び」を実感した様子でした。

清掃活動後はテレビ愛知へ戻り、株式会社折兼の服部氏による「食品パッケージとプラスチック削減・エシカル消費」をテーマにした講義を受講しました。
10種類以上の素材を使ったパッケージを手に取り、参加者は「どの素材が使われているのか」「どんな課題が潜んでいるのか」を体験的に学びました。正解・不正解を問う形式ではなく、「自分たちが明日から何ができるか」を考える時間が印象的でした。
清掃活動(海編)|大量の漂着ごみに向き合う一日

2回目は、2025年10月18日(土)に開催された「’25秋の藤前干潟クリーン大作戦!」へ参加しました。ラムサール条約にも登録されている藤前干潟は、渡り鳥の重要な休息地として知られていますが、河川を通じて流れ着く大量の漂着ごみに悩まされている場所でもあります。

当日は時折小雨がぱらつくあいにくの空模様でしたが、地域住民、市民団体、企業、学生ボランティアなど多くの方が集まりました。足元のぬかるみに気を付けながら、参加者はペットボトル、スチロール片、空き缶、レジ袋など、海から押し寄せたさまざまなごみを拾い集めていきました。

当日は、「日本からゴミを無くす男」も駆けつけ、みんなと一緒に清掃活動を行いました。彼はTikTokを中心に発信し、フォロワー数と同じ“重さ”のゴミを集めることを目標に、毎週こつこつと活動を続けています。昨年はその積み重ねで、なんと1トン以上のゴミを回収したそうです。日本からゴミを減らしたいというまっすぐな思いや活動は参加者にも良い刺激になりました。

ヨシ原の奥深くまで大量のペットボトルが入り込み、山のように積み上がっている場所もあり、その光景に参加者は思わず息を呑みます。約1時間の作業で集まったのは、可燃ごみ1290袋、不燃ごみ88袋。加えて自転車やタイヤ、ドラム缶などの粗大ごみも回収され、合計1404袋にのぼる大量のごみが集まりました。

この活動は、藤前干潟だけでなく、伊勢湾、そしてさらに先の海へ流出するごみを減らす重要な役割を担っています。参加者からは「想像以上の量に驚いた」「仲間と一緒だと前向きに取り組めた」「自分もごみを出さないよう意識が変わった」などの声が寄せられ、ごみ問題への新たな気づきと行動意欲につながった様子でした。
スーパーマーケットでのプラごみ削減取組体験|ごみを減らす小さな一歩~講義と体験で学ぶ循環型社会

3回目のプログラムでは、コノミヤ中切店を会場に、食品トレーや総菜パッケージを手がける株式会社エフピコによる講義を通して、プラスチック削減への取り組みを学びました。講義の後は、近隣のNILS BAKERYに場所を移し、マイボトルを使った体験も行いました。

なかでも印象的だったのは、スーパーのリサイクルボックスに戻された食品トレーが、どのような工程を経て再び資源として生まれ変わっているかという点でした。エフピコが約35年前に始めた「トレーtoトレー」リサイクルは、当初は6店舗のみの取り組みでしたが、2025年3月にはおよそ1万1千拠点にまで拡大。現在では再生材の活用率も50%を超え、回収から再利用までの仕組みが暮らしの中に根付いていることを実感できました。

講義では、トレーがどのような工程を経て再び食品容器になるのか、プロセスを丁寧に説明。岐阜工場の見学に申し込めば、リアルな現場を自分の目で体感できます。なお、企業自体も2020年から「エフピコ環境基金」を設立し、全国のごみ拾い活動を行う団体への助成や、社員による清掃活動など、社会全体での循環型社会づくりに取り組んでいるのだそう。

講義後はNILS BAKERYへ移動し、マイボトル体験を実施。普段はマイボトル提供を行っていない店舗ですが、特別にドリンクをマイボトルに入れて提供していただき、参加者はその便利さと楽しさを実感しました。キャラクターのメリ夫も登場し、和やかな雰囲気で記念撮影を行いました。

愛知県では、マイボトル・マイカップの利用促進を通し、使い捨て容器の削減を目指しています。お気に入りのボトルを持ち歩くことは、ごみを“出さない”だけでなく、ペットボトル飲料を買う機会が減るため節約にもつながります。日常の小さな選択が、持続可能な社会を形づくる大きな一歩になることを学べる講義となりました。
あいちプラごみ無くし隊が伝える、私たちにできること

3回にわたる「あいちプラごみ無くし隊」の活動を通じて、街と海での清掃体験、そして企業の取り組みを学ぶ講義という多角的な視点から、プラスチックごみ問題を考えるきっかけが得られました。
行動して見えるもの、知識として理解すること、その両方が私たちの行動変容につながります。身近なごみ拾いやマイボトルの利用など、小さな一歩を積み重ねることで、プラスチックごみの削減は確実に前進します。これからも「ゼロ」を目指し、県民一人ひとりができることを続けていきたいですね。
文章・一部写真:土庄雄平





