最高値を記録した金の価格 収束に向かう可能性が高い、専門家が解説
金の価格は今後どうなっていくのでしょうか?三菱UFJリサーチ&コンサルティングの塚田裕昭(つかだ ひろあき)主任研究員に聞きます。
テレビ愛知
―――金の価格が最高値を記録しましたが、今後はどのようになると予想されますか。
足元で上がっているのは、アメリカの銀行の破綻というところで金融不安への懸念が高まったということですから、それがどうなるか次第になりますが、破綻という金融危機が避けられて、収束に向かうということであれば、一本調子でさらに上がっていくというよりも、落ち着いて収束に向かうっていう可能性が高いと思います。
―――世界的なマーケットの受けとめとしては、ある程度収束に向かうだろうという見方が強くなっているのですか。
これはどちらの見方もあるかと思いますが、かつてリーマンショックを経験して金融危機というのは、公的な資金を投入してでも避けなくてはいけないという、教訓を得ていますので、何とかそれを避けるような動きが出てくるのではないか、そう考えると、さらに上がる状況ではないのではないか、と思っています。
―――大方の見方としては、ある程度収束に向かうだろうとのことでしたが、まだまだ収束しないのではないかという意見もあるのですか。
金融危機がどうなるかというのは、誰も見通せないので絶対に大丈夫だと言い切れるわけではないため、うまくいかなかったら不安は高まります。金は世の中の不安が高まると、安全資産で買われて値段が上がるということですから、不安の高まりがどうなるか次第です。
―――日本では最高値をつけましたが、海外のマーケットをみてもアメリカですとか金の価格は同じように最高値を付けているのでしょうか。
水準はかつてと比べると高いです。日本の場合は円ベースで表していますから、多少落ち着いてきたとはいえ円安傾向ですから、円の水準はかつてに比べて安いこともあり、日本円で表した場合、一本調子の度合いが強いというところはありますね。
―――為替も少し影響して、日本の国内での金の価格が最高値になったということですね。
そうですね。
―――最高値というのは今世の中に対する不安が少し高まっているということですか。
そうですね、金が上がっているというのは不安材料、これまでコロナやウクライナ情勢で不安要因が高まったわけで、それに加えて金融危機への懸念があったので、金の価格が上がるということです。