子育てのキーマンは管理職!? “育休経験者”の男性社員が“育休経験なし”の管理職向けにセミナー開催「育休は“休む”ことではない」

今年4月、男性の育児休暇を後押しする狙いで、改正育児介護休業法が施行されます。育休の必要性や大変さを知ってもらおうと、育休経験者の男性社員が、育休の経験がない“管理職”向けにセミナーを開きました。セミナー後にみられた上司の変化は、育休を後押しするのでしょうか。
会議室で、何やら真剣に打ち合わせをしている2人の男性。仕事のことかと思いきやー。
実は、“社内の管理職向け”の男性育休セミナーの準備中。
なぜ、“管理職向け”なのでしょうか。
実は、今年4月、男性の育休を後押しする狙いで改正育児介護休業法が施行。
子どもが生まれた部下に対し、「育休を取るかどうか、上司が確認する」という、これまでなかった義務が規定されました。
こちらの会社では、ここ数年、育休を取得する男性社員が増加。しかし、いまの管理職の男性に育休経験者はいないため、半年前から法改正に備えているのです。
講師を担当するのは、この会社に勤める伊藤翼さん。
4人家族の伊藤さんはおととし1月、第二子のときに初めて育休を取得。妻が仕事に復帰する代わりに、半年間、1人で家事育児をこなしてきました。
実は伊藤さん、会社に育休の相談をする際、“育休企画書”を提出しました。
「まず理解してほしかった、覚悟を知ってほしかった」といいます。
企画書まで書いたワケは。
「(第一子のとき)上司に育休を取りたいと言ったら『なんで?』と言われたのがあった。否定されたって初めは思いましたね。だけど、経験したことないことは『なんで?』と思うんですよね」(伊藤翼さん)
第一子のときは育休を取りづらく感じてしまったという伊藤さん。上司の理解次第で、育休は取りやすくなるのではと思っています。
セミナーまであと10日、資料作りも大詰め。
妻の佳苗さんに、女性ならではの意見を求めていました。
「どうしたら取りやすくなるのかは、上司の人がそれ(育休)を進めていかないといけないと、本当に思ってもらうことが大事だと思う。女性目線、男性目線ということではなく」(佳苗さん)
「男性だけの視点でいってしまうとズレてきてしまうと思うので、そこはかなり意識していますね」(伊藤さん)
いよいよ、オンラインセミナー当日。管理職は、なんと100人も集まりました。
今回のテーマは「今求められるボス像とは?」。
まず、育休は“休むことではない”と伝えたかった伊藤さんは…。
「まず、体にこんな変化が起きました。ストレスでヘルペスが出ました。大変だったんですよ、精神的に。失敗ばっかりするし、成長している感覚が全くないんです。自分がどんどん退化しているんじゃないかと」(セミナー中の伊藤さん)
育休中のメンタル面への理解を求めました。
そして、自ら先輩ママ約30人に聞いた「育休を取るにあたって上司にしてほしかったこと」をランキング化。
育休には上司と部下、相互の理解が大切だと伝えました。
「2022年4月に変わる時代を待ちますか?それとも、時代を変えにいきますか?一緒にTPEC(トヨタプロダクションエンジニアリング)を働きがいのある、笑顔あふれる会社にしていきましょう」(セミナー中の伊藤さん)
講演後、伊藤さんは「歩み寄るためにも、知ることが第1ステップだと思っていますので、少しでも男性育休ってどういうものなのか知っていただければ、きょう僕が話した意味はあったのかなと」と話していました。
セミナーを聞いた管理職に、早くも変化がー。
「初めに報告されたメンバーに、上司がかける一言がどれだけ大切かということが分かりました」(管理職 横道健 室長)
「育児休業に対するマネージャーのスタンスをしっかり伝えていって、(部下の)不安を払しょくしないといけないと痛感させられました」(管理職 元澤康一 部長)
今年4月の法改正に向けて、上司の変化は育休を後押しするのでしょうか。