店の業態転換で家庭にも変化…ビアホールがハンバーガー店として再出発 客足が絶えない人気店に
愛知県豊橋市に2021年の春にオープンしたテイクアウト専門のハンバーガーショップがあります。この店は、地元で有名なビアホールが、店の一部を改装してオープンしました。 ビアホールは、コロナで経営が悪化し一時休業していますが、ビアホール時代に人気のあった煮込みハンバーグをはさんだハンバーガーは大人気となっています。
■1日100個売れる日も…大人気の煮込みハンバーグのハンバーガー
愛知県豊橋市の「独逸屋(どいつや)バーガー」は、ハンバーガーのテイクアウト専門店として、今年の4月にオープンしました。
看板商品は、煮込みハンバーグをはさんだ「オリジナルバーガー」(650円)です。
女性客: 「お肉がすごく肉厚で、デミグラスソースが絡み合ったのが最高」 男性客: 「こんなにデカい。ポテトサラダとか中に入っていて、普通のハンバーガーショップじゃ食べられない」
1日で100個売れる日もあるというハンバーガーは、客足が絶えないほど人気となっています。作るのは、店主の太田現さんです。
太田さん: 「ただ焼いただけのハンバーグじゃなくて、デミグラスソースを絡めてはさんである。オリジナリティーを出すという事で」
メニューは他にも、煮込みハンバーグを使った「チーズバーガー」(700円)に「エッグバーガー」(700円)…。
「チーズ&エッグバーガー」(750円)の全部で4種類あります。
■ビアホールからテイクアウト店へ業態変更…人気だった煮込みハンバーグ使い再出発
この店は、以前は「ビアホール独逸(どいつ)」として営業していました。黒ビールや本場ドイツ料理が味わえる店として、地元だけでなく海外からも客がやってくるほどの有名店でした。しかし…。
妻の葉子さん: 「主人もすごく落ち込んで、初めて主人の涙をみたりして」 太田さん: 「本当にどうしようもならないですね。希望をもって去年1年を過ごしてきたんですけど、どう考えても無理だろうと…」
コロナでビアホールの営業を続けられなくなった太田さんは、業態をテイクアウト店に変える事を決意。そして、看板メニューとしたのが、煮込みハンバーグをはさんだハンバーガーでした。 太田さん: 「ビアホールやっている時に評判がよかったので、それをベースにアレンジを加えた」
男性客: 「他店と比べて、食感とか味は違いますよ」 別の男性客: 「煮込みハンバーグもともと子供たちが好きで…」
■ビアホール時代に人気だったポテトサラダも挟んで…こだわり詰まった「オリジナルバーガー」
他店とは一線を画したハンバーガーは、牛、豚、鶏をブランドしたひき肉を使うことにより、味に深みを出しています。
玉ねぎは約2時間炒めて甘さをプラス。香辛料は、ナツメグや粉チーズなどをブレンドしたオリジナルのものを使っています。そして…。 太田さん: 「塩こうじですね。普通に塩で塩分を加えるよりも、味に深みが出ますし、お肉を柔らかくする」
焼き方は、両面に焼き目を付けた後はオーブンで。肉の中までじっくり火を通すことで、肉のうま味を閉じ込め、肉厚なハンバーグになるといいます。そして、味の決め手が…。
太田さん: 「昔から使っていたデミグラスソース。香味野菜をじっくり炒めて、牛すじを一緒に煮込んで、3日くらい。パンとデミグラスソースの相性がいいので」
そして最後に、こちらもビアホール時代に人気だったポテトサラダも挟んで完成。太田さんのこだわりが詰まったハンバーガーです。
■なるべく長く続けたい…50年前父が始めたビアホールへの思い
太田さんが、看板メニューだった煮込みハンバーグを使うのには、父親が始めたビアホールへの思いがありました。 太田さん: 「続けていたら49年、来年50年。親父が始めた店でなるべく長く続けたい。長く続けてこられたのも、色んなお客さんが来てくれていたというのもあるし…」
たくさんの客に支えられてきたビアホール。太田さんは、店は閉めるのではなく休業とすることにしました。
「お客さんに少しでもビアホール独逸を思い出してもらい、また再開したい」。このハンバーガーには、太田さんのそんな思いも詰まっています。
■妻の好きな言葉は『俺、やろうか?』という夫の言葉…家事を手伝うようになった父
連日、深夜まで営業していたビアホールから、ハンバーガーショップへ…。店の業態が変わったことで、家族の暮らしにも変化がありました。 妻の葉子さん: 「主人が変わりましたね。生活リズムが変わったことによって余裕ができたと思います」
生活リズムが変わり、太田さんには笑顔も増えました。奥さんが投稿したSNSには…。 <妻の葉子さんのSNSへの投稿> 「私の好きな言葉は『俺、やろうか?』という旦那の言葉です」
子供達のご飯や、習い事の送迎、洗濯などの家事もやってくれるようになったご主人への感謝の思いがつづられていました。
太田さん: 「すごいプレッシャーですね。あまり家庭の中に入ることはなかったので、それで『俺、やろうか?』っていう感じで自然に出てる…」 ビアホール時代は帰宅が深夜だった父が変わった事に、子供たちは…。
長男: 「一緒に話せる時間が増えて、笑えたりする」 長女 「ビアホールの時は、みんなでテレビを見て笑ったりできなかったので…。笑える時間が増えたのかなと」 葉子さん: 「子供たちの明るい姿が嬉しくて、普段聞けない気持ちを聞けたので嬉しいなと思いました」
コロナ禍での新たな挑戦に、思わぬ暮らしの変化…。大変な中にも得られるものがありました。 女性客: 「早く再開できるといいね」 男性客: 「年明けとかビアホールを開けてほしいと思います」
太田さん: 「『再開いつするの?』とか、そういう一言がとっても嬉しいので…。再開するのを目標に、今はこの状態で頑張っていく」 太田さんのお店は、たくさんの地域の人たちに愛されています。