1年の中で3月が2番目に多い!「春の食中毒」に要注意…油断が招く危険な状況

桜も開花し、春本番。お花見やキャンプを楽しむ人も多いのではないでしょうか。ただ、気を付けたいのが「食中毒」です。実は春は1年の中でも食中毒の発生件数が特に多くなるんです。2019年から2021年の食中毒の月別発生件数を見ると最も多いのは10月ですが、次に多いのが、3月なんです。
なぜ春に食中毒が多くなるのか、藤田医科大学病院感染症科の上原由紀医師に聞きました。
食中毒の要因は様々ありますが、最近の統計で多いのは、細菌(カンピロバクターやウェルシュ菌など)、ウイルス(ノロウイルスなど)、寄生虫(アニサキスなど)、自然毒(毒がある山菜やキノコ・ふぐ毒など)があります。
3月の食中毒の要因をみると、ウイルスと細菌が春にぐっと増えるんです。これは一体なぜなのか?
上原医師によると、食中毒を引き起こすウイルスや細菌は、温度が20~50℃の時に繁殖しやすいそうです。3月後半になると、気温が20℃を超えてくる日も多くなってくるので注意が必要なんです。
さらに、この時季食中毒が多くなる理由の重要なポイントは「油断」です。夏は気温が高く食品が傷みやすくなるので、しっかり注意すると思います。また冬は旬のカキを食べる際、「ノロウイルス大丈夫かな」などと気にかけると思います。
ただ、今の時季というのは日によっては寒かったりするので、どうしても食中毒に対して「まだ大丈夫」といった「油断」が生まれてしまう。こういった心理的なことも原因として挙げられるということなんです。
食中毒対策の基本的なポイントは3つです。食中毒菌を「付けない」「増やさない」「やっつける」。
手洗いはもちろんですが、器具の洗浄・消毒を徹底して「食中毒菌を付けない」ことが重要です。
食中毒菌は繁殖して「毒素」を出します。中には熱に強い毒素もあり、加熱したから大丈夫とならない場合もあるので、そもそも食中毒菌を付けないことが大事です。
そうは言っても、食品に菌は付いてしまうので、調理後の注意点として「食中毒菌を増やさない」「調理後はすぐに食べる」「保存する場合は10℃以下に保つ」ことが必要です。
そして3つ目が「食中毒菌をやっつける」。 調理後の料理を保存後、再び食べる場合は、食材の中心部を75℃で1分以上加熱する。これで食中毒菌の多くは死滅するということです。
楽しいお花見では、「付けない」「増やさない」「やっつける」この3つを実践して食中毒を防いでください。