今すぐ「部屋の地震対策」 大型家具や家電が凶器に変わる いま全国で頻発する地震 転倒によるけがを防ぐ

愛媛県で震度4の地震が発生するなど日本各地で地震が頻発しています。
私たちの生活を脅かす地震。地震が起きたとき、けがの原因になるのが「家具の転倒や落下」です。部屋の中での地震対策が不十分だと、家具が突然凶器に代わり、命に関わる危険もあります。
今回は、いざというときに命を守る「部屋での地震対策」について紹介します。
部屋での家具の転倒を防ぐには

家具の転倒や落下がけがの原因に
5月に入ってから、国内では大きな地震が相次いでいます。5日には石川県能登地方で震度6強、11日には千葉県南部で震度5強を観測しています。これらの地震で、亡くなった方やけがをされた方もいます。
危機管理教育研究所の代表を務める国崎信江さんによると、「地震大国の日本において一番大切な地震対策は、部屋での家具の転倒を防ぐこと」だといいます。

家具類の転倒など
東京消防庁が2016年の熊本地震での戸建て住宅などにおけるけがの要因を調べたところ、約3割が家具類の転倒でけがをしたということが分かったんです。
震度7の揺れを想定した実証実験

地震対策をしていないリビングの実験動画
家具の転倒の危険性について、実証実験の動画があります。地震対策をしていないリビングで、震度7の揺れを想定した実験。揺れ始めて数秒後、人は自力で立っていられない状態になります。テレビや棚も揺れに耐えられず、次々に転倒したり移動したりしています。
家具の転倒の危険性について、実証実験の動画があります。地震対策をしていないリビングで、震度7の揺れを想定した実験。揺れ始めて数秒後、人は自力で立っていられない状態になります。テレビや棚も揺れに耐えられず、次々に転倒したり移動したりしています。

人の上に覆いかぶさるタンス(写真左下)
そして揺れ始めから20秒後。大きな棚が倒れて、人に覆いかぶさってしまいました。家具が凶器になるのが分かると思います。
避難障害と火災の危険も
家具が倒れることで心配されることは、けがだけではないんです。国崎さんによりますと、あと2つの危険があります。
1. 避難障害
部屋の中から玄関へ向かう避難の動線上に家具があると、地震によって家具が倒れて避難経路が塞がります。また、飛び出した引き出しにつまずいたりすることも。これも、避難の妨げになります。
2. 火災
火を扱っていた場合、ガスコンロ付近に転倒・落下した家具に火が燃え移ったり、家具が偶然電気ストーブなどの電源スイッチを押して火災につながったりするケースもあるといいます。
地震対策にはL字金具などを使う

地震対策に使う固定器具
そこで、国崎さんに地震対策について詳しく聞きました。被害を防ぐには、家具の固定が何より大事です。主な固定器具は「L字金具」「ベルト式器具」「ポール式器具」「粘着マット」があります。
地震対策で特に強度が高いのは、家具と壁を直接固定するL字金具とベルト式の器具です。
■L字金具
木製の家具を壁と固定するのに有効。
■ベルト式器具
ねじで固定できない冷蔵庫やテレビなどを固定するのに適しています。
■ポール式器具
壁と家具の両方に穴をあけたくない場合に使う地震対策の器具です。
■粘着マット
部屋の景観を重視したい人は、地震の揺れを吸収する粘着マットを使うのも1つの手です。
家具の大きさや重さに応じて対策方法を相談する

地震が起きたらすぐに避難
これらの防災器具は固定したい家具の大きさや重さに応じて店員と相談しながら適切なものを選ぶようにしましょう。国崎さんは「防災対策はあくまで命を守るための時間稼ぎをしてくれるもの。地震が起きた際は、対策したからといって油断せず、大きな家具からすぐ離れるなど自分の身を守る行動を取るのが大切」と話します。
地震は今この瞬間に起こってもおかしくありません。思い立ったときにしっかり命を守るための備えを行いましょう。