【珍しいリサイクル】三重・津の歩道橋が“まるごと”四日市へ 3つの偶然が重なった奇跡「タイミング・公園・施工会社」

三重県津市にあった歩道橋。4年前、近くの河川改修に伴う道路の付け替えや、利用者の減少などを理由に撤去されましたが、実は、今は別の場所で再利用されているんです。とても珍しいという“歩道橋のリサイクル”。調べてみたら、いくつもの偶然が重なって実現していました。
まず向かったのは、かつて横断歩道橋が近くにあった、三重県津市の近鉄江戸橋駅。
駅前の喫茶店の人に、歩道橋の話を聞くとー。
「いつのまにか、なくなったという印象が強い」(男性)
「津まつりで花火があがるんです。その時に、歩道橋の上にのぼると、よく花火が見られるので、みんな鑑賞していました」(女性)
地元の人の多くがその存在を知っていた、江戸橋の横断歩道橋。
撤去後に、新たな場所で再利用されたことを伝えるとー。
「画期的だな。リサイクルはいいことだな」(男性)
珍しい歩道橋の再利用。そこには多くの偶然が重なりあっていました。
国道23号を渡る手段として1973年から45年間、設置されていた、らせん階段の横断歩道橋。
当時の管理者である、国土交通省の担当者は今回の再利用について、「あそこで活躍してくれるのは、本当にうれしいことです」と話します。
■まるごと再利用の偶然 その1 撤去と設置のタイミングが合致
「一番の(偶然は)撤去するタイミングと、設置側のタイミングが合わないと渡すことができないから難しい」(国土交通省 三重河川国道事務所 藤原弘典 副所長)
偶然にも、撤去のタイミングに新たに設置したいと考えていたのが、同じ三重県の四日市市。
再利用のメリットを担当者に聞いてみました。
「今回は既存施設の再利用ということで、再利用に伴って工期の短縮が見込めたと思う」(四日市市 道路建設課 黒石大智さん)
四日市市の笹川にあった小学校2校が統合され、団地から登下校する児童らが道路の横断が必要となるなどし、歩道橋の設置となったそうです。
■まるごと再利用の偶然 その2 公園の存在
基本的に、歩道橋は道路の幅で長さが決まるもの。
実は、撤去した国道23号の道路幅と、再利用する道路幅が違ったのですが、偶然にも、今回は両側が公園だったため、少し幅が違っても設置できたといいます。
「今回取り付けた場所は、偶然にも両側が公園であったということで、道路の幅とかの制約が小さかったと思う」(四日市市 道路建設課 黒石さん)
■まるごと再利用の偶然 その3 前回と同じ業者が今回も設置
そして、3つ目の偶然が施工会社。
なんと偶然にも、約50年前に、今回の歩道橋を造った会社が、解体・撤去、さらには耐震強化などを施し、再設置までを担っていたのです。
「津の江戸橋にあった歩道橋を設置したのも、うちの宇野重工。それをまた再設置するということで、やりがいはあった工事」(再設置の担当者 宇野重工 金児勲さん)
そのため、普通、1つしかない造った年などを示すプレートが2つも。
1つは最初に作られたときのもの。そして、もう1つは今回、再設置されたことで新たにつけられたものなんです。
「(再設置は)めったにないことですし。再現できたことは、すごくうれしいし、自信になります」(宇野重工 金児さん)
たくさんの偶然が重なってできた横断歩道橋。5月21日から渡れるというということです。