「土石流が起きたらアウト」愛知県内で500集落以上が孤立可能性 山間部では4つ通信手段でリスク分散

9月1日は「防災の日」です。愛知県などが南海トラフ地震の発生から1日後を想定した災害対策本部の運用訓練を行いました。
訓練は、愛知県内で最大震度7の南海トラフ地震が発生してから24時間が経ったという想定で行われました。各地の被害状況が徐々に浮き彫りとなり、警察、自衛隊などが救助や物資の輸送を進めます。
今回の訓練で重点が置かれたのは、2024年の能登半島地震でも課題となった、孤立地域の対策です。職員らはドローンを飛ばして、より詳細に状況を把握するなどの流れも確かめていました。
記者リポート:
「災害が起きた時に孤立する可能性のある地域に向かっていますが、道幅が狭いですね。片側が山の斜面になっていて、土砂災害が起きれば通行できなくなる可能性があります」
取材班が向かったのは豊田市大野瀬町のカセウセという地域です。25年前には東海豪雨で土石流の被害を受けました。その時は孤立することはなかったといいますが…
大野瀬町自治区 松下幸雄区長:
「瑞浪大野瀬線があって、そこからカセウセ橋を渡って入ってくるのがこのカセウセ地域。(この道で)土石流が起きたらアウト。両方のところで起きてしまうと、この集落は完全に孤立してしまう。陸の孤島ですね」
孤立を防ぐための対策として、集落につながる道を広くするなどの道路整備が挙げられますが…
大野瀬町自治区 松下幸雄区長:
「(ここは県境で)こちら側が愛知県、あちら側が岐阜県。岐阜県の集落がこちらの方にはないから、なかなか工事も難しいみたいで」
地震や豪雨などにより、愛知県内の500以上の集落が孤立する恐れ
内閣府の調査では地震や豪雨などにより、愛知県内の500以上の集落が孤立する恐れがあります。豊田市はその中でも孤立する可能性のある集落の数が最多となっています。
そこで市は、市民に対して防災ラジオを販売し、孤立する可能性がある地域については事前に避難を呼びかける体制を整えています。また、不測の事態に備えて電話回線、ネット回線、衛星電話、無線と4つの通信手段を用意しています。
豊田市役所稲武支所 岡部正志副支所長:
「どの通信手段が途絶しても情報が届けられるように整備している」
また物資の備蓄も”孤立”を想定。市では1万2000人分の3日分の食べ物などを市内に分散して備蓄しています。
豊田市役所稲武支所 岡部正志副支所長:
「孤立集落になってしまうところがあるので18カ所の拠点に分散して、避難所に届けることが地区内でできるようにしている」