「宝塚音楽学校に入れなかった」テレビ愛知・岡田アナが感じた劣等感　救ってくれた元組長の言葉【前編】

民放初！　宝塚音楽学校新校舎での授業取材　宝塚への熱い想い

宝塚音楽学校の校内や授業の様子などがテレビ愛知で放送された。新校舎での授業の模様をテレビカメラに収めるのは民放では初めてだという。この放送が可能になったきっかけの一つに、1人の宝塚ファンの熱い想いがあった。

宝塚ファン歴25年、自身も宝塚音楽学校を受験した経験を持ち、生粋の宝塚ファンを公言する岡田愛マリーアナウンサー（テレビ愛知）だ。テレビ愛知の公式YouTubeのシリーズ「待てば歌劇のヅカ日和」で約3年に渡り、その熱い想いを配信し続けている。

29日は宝塚音楽学校の合格発表。宝塚との出会いと宝塚愛、YouTubeでの配信、初めての番組制作、宝塚音楽学校での取材などについて、岡田アナが語った熱い想いを本人の回顧録としてお届けする。【前編後編の全2回。本記事は前編】

人生を変えた「宝塚愛」　宝塚音楽学校の取材につながる

宝塚音楽学校を受験

今回の地上波番組の制作に至るまでをお話しするには、“私の人生を変えた人たち”との出会いをお話ししなくては成り立ちません。その人たちから教えてもらったこと。それは今回の取材相手である「宝塚音楽学校」、我々「伝え手」、そして番組をご覧になってくださるであろう「みなさん」、それぞれをつなぐ「宝塚愛」です。

宝塚の舞台を夢見て宝塚音楽学校を受験　届かなかった「宝塚愛」

永穂ヨウ子（飛鳥裕）さん

私の「宝塚愛」は宝塚音楽学校の受験生時代にさかのぼります。宝塚音楽学校。そこは少女たちの夢が集まり、夢が叶う場所です。私もかつて、大好きな宝塚の舞台に立つことを夢見ていました。

十数年前の3月末日、武庫川を吹き抜ける風がまだ少し冷たく感じる季節。宝塚音楽学校の校舎裏で、まだ10代だった私は期待に胸を膨らませながらその瞬間を待っていました。

「発表します」

声高々に発せられた言葉は今も耳に焼き付いています。

しかし、恐る恐る顔を上げた瞬間、そこは手の届かない場所となりました。私の愛は届かなかったのです。

アナウンサーとなり「宝塚愛」語る番組を配信　生まれた元組長との縁

現在は音楽学校職員の永穂先生

「宝塚音楽学校に入ってタカラジェンヌになる！」という夢は成就しなかったものの、そのきらびやかな世界への憧れが強いままの私は、アナウンサーとなり、テレビ愛知で宝塚歌劇について想いを語る配信番組「待てば歌劇のヅカ日和」を立ち上げました。

立ち上げから1年ほど経った2021年10月、1人の“元組長”との出会いが私の人生を変えました。私の出会った元組長は“元タカラジェンヌ”です。

宝塚歌劇団には5つの組があり、タカラジェンヌたちは初舞台を踏んだ後、それぞれの組に配属されます。組長は各組に1人ずついて、自身も舞台に立ちながら、同じ組に所属するタカラジェンヌたちのサポートもする選ばれし立場の方です。

「うちの永穂が出演します」

雪組と月組で組長を務めたこともある永穂ヨウ子（飛鳥裕）さんが私の配信番組に出演してくださることになったのです。現在は宝塚音楽学校で職員として生徒たちの学校生活などをサポートしているということで、宝塚音楽学校を受験する少女たちへのメッセージや学校生活などについてお話を聞くことになりました。

元タカラジェンヌの方と宝塚に関するお仕事ができる時が来るなんて、そんな夢みたいなことがあるのか。嬉しさで体が震えるような感覚になりました。一方で、タカラジェンヌとして、組長として、宝塚を愛してこられた方と肩を並べることに、「宝塚に入れなかった私なんかが…」と、ある種の劣等感のようなものを抱きながら収録に臨んだことを今でも覚えています。

「（宝塚の受験生に求められるのは）宝塚愛」

収録時に、優しくでも真っ直ぐに発せられた永穂先生の言葉は「宝塚音楽学校に落ちたのは宝塚愛が足りなかったからかもしれない」と私の胸に突き刺さりました。

「結果はどうであれ、過去に精いっぱい努力した自分が、未来の自分を助けるという時が必ず来ますから」

「今の岡田さんを作っているのは紛れもなく心の中の岡田さんです。いまも宝塚愛にあふれているじゃないですか」

「宝塚を目指したからこそ今がある」宝塚愛を再認識　

待てばスミレの学び舎より（配信）

宝塚への憧れが強いままなのは未練や劣等感からだと思っていましたが、これは形を変えた「宝塚愛」。宝塚を目指して愛していた過去が今の私を作っているのであれば、愛は終わっていなかったのかもしれません。

永穂先生は宝塚愛について「宝塚に受かるために必要だ」とは言っていません。永穂先生の言葉は私の凍った心を溶かし、宝塚愛を再認識させてくれました。

「宝塚がつないでくれたご縁に助けられ、私はいつまでも宝塚に守られている気がするんです」

収録後、しみじみと噛みしめながら話す永穂先生を見て、私もまた、宝塚でつながったご縁に助けられているということに気がついた瞬間でした。

後編では“元トップスター”との出会い、さらに「宝塚音楽学校」取材当日の模様について語る。