「地域の文化に少しでも役に立てばなと。悔しいし申し訳ない」名古屋市内の老舗書店が6月末で閉店へ

70年以上の歴史がある名古屋市東区の老舗書店、正文館書店本店です。

「こちらは曜日別新刊コーナーといいまして、ジャンルに関係なくその日に出たものを集めています。小説をお買い求めにいらっしゃったかたが隣に数学の本があって出会いがある、それを狙っています。」正文館書店・谷口正明会長

今年６月いっぱいで70年以上の歴史に幕を閉じます。ビルの1階と2階に店を構え、街の本屋さんとして地元の人に親しまれてきました。子どもたちの本離れを防ぎたいと児童書コーナーにも力を入れています。

閉店の理由は、ビルの老朽化です。

「シャッターもずっと壊れて下がっていますし、いろいろなところで雨漏りしたり、残念ながら私どもの売り上げでは建て替え費用の回収ができない」正文館書店・谷口正明会長

今、書店の閉店が相次いでいます。2000年時点で、全国に2万店以上あった書店。しかし、年々減少が続き2020年時点では、およそ1万店に半減しました。

街で本屋の利用について話を聞くと。

「ベストセラーになっているような本は書店で買います。レアな本は、ネット注文の方が届くのも早い」40代女性

「アマゾン（ネットショッピング）で注文して買うとすぐ送ってくるものですから」70代男性

「ネット（書籍で読む）じゃないですか？携帯の。お手軽さ。いちいち買いに行くよりは」40代男性

消費者の書店離れが進んでいました。正文館書店本店では、売り上げがピーク時の90年代半ばと比べ現在は45％まで落ち込みました。

「求めているものと違う思わぬ出会いがある。ネットとは違う（書店の）魅力と思う。地域の文化に少しでも役に立てばなという思いをもってやってきましたけど、本当に悔しいし申し訳ない。やっぱり色々な面で経営的にも迷惑をかけることはできませんので苦渋の決断をいたしました」正文館書店・谷口正明会長

正文館書店は本館は閉店しますが、県内3店舗と外商部は営業を続けるということです。