EV界でトップを走る「テスラ」 トヨタは「安心・安全」な車づくりで勝負 専門家解説

テスラ車は「パソコンを買う」感覚に近い
自動車メーカーを取材する自動車評論家の国沢光宏さんにテスラの強さの秘密と、トヨタ自動車が電気自動車部門で勝つには、どうすべきなのか聞きます。
---パソコンを買う感覚に近い、ということですが、詳しく教えてください
パソコンは既に使える方が買うので、色々な説明を求めないんですね。一方、車は商談をして説明を聞いて、使い方を聞いて、色んなことを迷いながら選びます。
それがめんどくさい、という方はパソコンのようにインターネットから買っちゃってください、と。納車もカギだけ渡すので、乗っていってください、というように、あっさりしたところが良い、という方がテスラのファンです。
---ずいぶんシンプルですが、顧客からは好評なんでしょうか?
「全然ダメだ」という人と、「これが良い」という人にハッキリ別れています。
車全体では、世界で約5000万台売れていますが、今のところEVはまだ2%程度です。そのくらいの台数のため、まだ問題にはなっていません。
新しいというメリットの一方でトラブル時には課題が

テスラ車は「パソコンを買う」感覚
---車の性能としてのメリット・デメリットはいかがでしょうか
車としての性能はとても良いという点と、乗っていて新しいという点がメリットです。乗ってみると分かりますが、大きな画面が1つあるだけで、色々なスイッチはありません。
デメリットは、ディーラーや工場の数が少ないため、トラブルがあると修理にものすごく時間がかかる点です。そのため、セカンドカーという方が多いです。
2026年ごろにはトヨタから競争力のあるEVが出てくる

世界のEV販売台数
---EVの現状ではテスラがトップですが、トヨタが追い付くことはできるんでしょうか。
トヨタの生産計画を見ていると、2035年に350万台という台数を出しています。着々と準備を進めています。
ただ今売るものがあるかというと、現状の電気自動車は商品力が全くないので、売れなくて当然かと思います。
現在開発中で、2026年ごろから出てくる車は十分に競争力があると思います。
トヨタが安心・安全の点で競争力を発揮

自動車評論家の国沢光宏さん
---その競争力はどのようなものですか?
テスラ車は、誰でも簡単に使えるものではありません。ただ、車はちゃんと説明を受ければ誰でも安全に運転できるようなものにする、というのが自動車業界の掟です。
やはりパソコンのようなものとは違う、ということで、トヨタが誰でも安全に安心して使えるもの出してくると思います。
---テスラの課題であるサービスの部分が逆にトヨタの強みとなり、トヨタがEVでもテスラと拮抗してくる、ということですね、
その通りだと思います。