JR西日本が誇る観光列車「はなあかり」が三重県内を“初”運行 背景にローカル線の切実な事情

三重県内を初めて走るという観光列車「はなあかり」。12日を含め3回の運行は全て予約でいっぱいという盛況ぶりですが、運行の背景には、ローカル線ならではの切実な事情もあるんです。
JR西日本が誇る観光列車「はなあかり」。去年秋にデビューし、これまで福井や兵庫など、西日本各地を運行してきました。
今回、「はなあかり」が走るのは、京都から三重の間。京都駅を朝に出発し、関西線で三重県に入ります。
「忍者」や「松尾芭蕉」で知られる伊賀市。または東海道五十三次の宿場町「関宿」のある亀山市を散策して、京都駅に戻る2つのプランがあります。
取材班は、伊賀上野駅から車内へ。車窓がよく見えるように設計された広々とした座席で、くつろぎながら鉄道の旅を楽しめます。
「初めて乗ったがゴージャスで驚いています」(京都からの乗客)
「はなあかりの模型はないが(はなあかりの)元になった車両とか、昔の関西線を走っていた車両も置いています」(奈良からの乗客)
沿線各地で”おもてなし”を受ける「はなあかり」

沿線各地で”おもてなし”を受け、初めて三重県にやってきた、観光列車「はなあかり」。
運行の背景には、ある事情がありました。
今月6日のJR関西線、亀山から伊賀上野駅の区間です。1両編成の車内には人がまばら。
駅に停車しても、乗り込んでくる客がいないことも。大学に通うため、週に5日、関西線を利用しているという乗客に聞くと。
「夕方はラッシュの時間にもなるのでものすごく混んでいます。昼ぐらいだったらきょうよりちょっと少ないくらい」(乗客)
2022年度から2024年度の平均で18億4000万円の赤字区間だという、関西線の亀山~加茂駅間。
「鉄道が果たす役割はどういう役割があるのか、観光の需要だとか日常利用であるだとか。そういうところをしっかりと両輪の議論として皆さまと考えていくということを進めていきたい」(JR西日本 阪奈支社 上田太一 地域共生室長)
「持続可能な地域交通」を目指す

そんな中での今回の「はなあかり」の実証運行。今回の旅の目的地「関駅」では、沿線自治体の市長や、地元の子どもたちが出迎えます。
「伊賀には、伊賀米や伊賀牛などおいしいものがたくさんあります。多くの皆さんに伊賀に来てもらいたいと思う」(三重・伊賀市 稲森稔尚市長)
「江戸の街並みや風情を思う存分楽しんでもらって、広く未来へ繋がっていくことを期待したい」(三重・亀山市 櫻井義之市長)
その後は駅周辺の散策を楽しみ、夕方に京都に戻る「日帰り」の日程。
値段は、「関プラン」は1人2万9800円、 「伊賀上野プラン」は1人3万2800円です。
12日を含め、全3回の運行予定はすでに予約でいっぱい。
観光列車の運行は沿線活性化への”明るい材料”ではありますが、JR側は危機感を抱えています。
「国鉄から民営化されて38年たっています。、その間の利用客の数が4分の1ぐらいに減っています。このままでいくと持続できない、私たちだけでは列車を運行させることができないという心配ごとがあり、関西からお客様に来ていただこうという1つ目と、2つ目に持続的に交通を維持していくためにどうするか、皆さまとこれまで以上に連携を持ちつつ解決していきたい」(JR西日本 阪奈支社 高須優子支社長)
JR西日本は、今回の観光列車の運行だけでなく、 「持続可能な地域交通」を目指し、引き続き地域との議論を進めるとしています。





