救急隊員の“第3の目”に…ドローン『サードアイ』志摩市消防本部が全国初の本格導入 操縦不要でAIが要救助者見つけ出す
三重県志摩市は、水難事故などによる遭難者を素早く見つけるために、AI技術を使った最先端の救助支援システム「3rd-EYE(サードアイ)」を全国で初めて本格導入しました。
■行方不明者をすぐに発見…AI駆使した「3rd-EYE」
三重県志摩市で12月10日、海の水難救助訓練が行われました。
最先端の「3rd-EYE(サードアイ)」と呼ばれるドローンなどを使ったシステムで、上空からの捜索を開始します。
指揮隊: 「夫婦でカヤックをしており、奥さんの目の前で旦那さんが転落、行方が分からなくなったもの。『3rd-EYE』を活用し、情報共有を図りながら活動すること」 操縦は不要で、あらかじめ設定した捜索範囲を自動で飛び回り、カメラで捉えた映像の中に人の姿がないか、AIが瞬時に解析します。
そして、すぐに行方不明者を見つけました。
■ピンポイントで発見…ドローンにくわえ「スコープ」で
志摩市消防本部が、全国で初めて本格導入に乗り出したこの「3rd-EYE」では、AIドローンが隊員の両目に加わる『第3の目』となり、助けを待つ人を一刻も早く見つけます。 隊員: 「ドローン隊から現場指揮本部、現在、上空から要救助者らしき影を発見」 しかし、現場は広い海です。その場所をピンポイントで特定しなければ、助け出すことが出来ません。
そこで活躍するのが、隊員が目元に装着しているスコープです。
隊員の目に届けられる画面にグリーンで表示されているのが、地図アプリに反映された自分の現在地です。今見ている方向に向かって、扇型が示されます。 ピンク色の人型で表示されているのが、助けを待つ人の位置です。その方向に顔を向けると、ドローンが捉えた画像が表示され、今見ている方向で助けを待っていることを教えてくれます。
隊員: 「現在地から100m、この位置から南西の方向、要救助者発見。ここから西側、向こう向きで約50mほど。まもなく残り20m。真っすぐ、真っすぐ、その位置」
スコープの中に表示される目的地点までの距離を頼りに、要救助者に真っすぐ向かい、捜索開始からわずか7分で救出に成功しました。
■リアス式海岸を持つ志摩市「格段に時間短縮になる」
水難救助でのサードアイ導入では、事業費およそ1000万円の半分を国からの交付金で賄い実現したといいますが、志摩市が乗り出した背景には、独特の地形が関係していました。
志摩市消防本部の西川正文指揮隊長: 「リアス式海岸ですので、発見までにどうしても時間がかかっていたところを、格段に時間短縮にはなっているかなと思います。そこは救命率の向上に寄与するんじゃないかと考えています」