
まずリビング・居間の耐震対策 コツコツ防災(1)【暮らしの防災】

「家の地震対策」は重要です。「津波対策」はよく話題になりますが、地震はイマイチという印象があります。津波の前に地震があります。地震の揺れから身を守らないと、津波避難が出来ません。一口に「家の地震対策」と言っても、結構、細かい作業になります。正直、面倒くさいかもしれません。そこで、一気にやるのではなく、できるタイミングに少しずつ対策を進めることを提案します。無理せずやっていく「コツコツ防災」です。
滞在時間が長い居間・リビングから

まずは、家族の滞在時間が長い「リビングルーム・居間」です。マンションではリビングダイニングになっていることも多いかと思います。
この部屋に居て避難する可能性が高く、また自宅への地震のダメージが小さかった場合、避難所に行かず「在宅避難」の時は、「生活の拠点」になります。
イラストのようにスッキリしているケースは少なく、多くのご家庭では、家具や小物でごちゃっとしているかと思います。地震対策は、この部屋からスタートです。
置いてあるものを整理

できるだけ「不要なもの」を片づけます。いつも使うもの、しまいたくない思い出のフォトフレームなど以外は片づけます。引き出しが多いリビング向けの収納家具などを購入して、そこに納めるのもいいかと思います。
新たに家具を買う場合は、重心が低く倒れにくい「高さが腰ぐらいまでのもの」にするか、耐震固定しやすい「天井までの高さのもの」にします。
フォトフレームや彩りとして飾っておく小物類はしまいたくないですよね。そのようなものは、小さなジェルマットで耐震固定します。子どものおもちゃ類はバスケットなどに入れます。床に散らばっているのはNG。遊んだ後は片づけましょう。
薄型テレビ

耐震固定していない薄型テレビは、地震の揺れで“飛び”ます。防災フェアに行く機会があれば実演を見て下さい。震度6弱ぐらいの揺れでポーンと前に飛びます。子どもがテレビを見ていたり、前で遊んでいたりしたら危険です。
最近はテレビ台に固定するための器具類が同梱されています。これを活用してください。下にジェルマットを敷くと安全度が高まります。薄型テレビは必ず耐震固定してください。
家具は突っ張り式の器具で固定を

家具の耐震固定には、金具、チェーン、突っ張り式の器具などを使います。賃貸住宅や壁がコンクリートで金具類を使えない場合は突っ張り式の器具にします。
ストッパーや畳んだ新聞など挟み込む

家具の耐震固定が難い場合は、家具前面の下にストッパーや畳んだ新聞など挟み込みます。
家具を少し後ろに傾けることで、万が一の時に前に倒れてくるのを遅くさせ「避難の時間」をかせぎます。そして重いものを下の引き出しなどに収納して「家具の重心」を下げて倒れにくくします。
照明器具 時計・壁に飾っている絵画など

吊り照明、壁に掛けてある時計や絵画は、地震の揺れで落ちる可能性があります。吊り具や固定金具を複数化して強化しましょう。
<窓ガラス>
窓ガラスの飛散防止フィルムは、台風や地震でガラスが割れた時、ガラス片の飛散を防ぎます。透明度が高くガラスに貼った時の違和感が少ないものや、UVカット、プライバシーを守る目隠し的なもの、おしゃれなデザインものなど、選択肢が増えています。床に飛び散ったガラス片は、避難の妨げになります。
<リビング・居間の地震対策にはさまざまな要素が>
リビングルーム・居間は、家にある部屋が持つさまざまな機能を備えています。ですので、その対策にはさまざまな要素が含まれています。今回、紹介した対策は、今後ほかの部屋での対策で、改めて紹介することがあります。
リビングルーム・居間の地震対策を、皆さんなりに考えて、工夫して行ってください。ほかの部屋の地震対策に必ず役立ちます。一気にやろうとせず、気づいたときに少しずつやりましょう。「コツコツ」が秘訣です。
◇
被災地取材やNPO研究員の立場などから学んだ防災の知識や知恵を、コラム形式でつづります。
■五十嵐 信裕
東京都出身。1990年メ~テレ入社、東日本大震災では被災地でANN現地デスクを経験。報道局防災担当部長や防災特番『池上彰と考える!巨大自然災害から命を守れ』プロデューサーなどを経て、現ニュースデスク。防災関係のNPOの特別研究員や愛知県防災減災カレッジのメディア講座講師も務め、防災・減災報道のあり方について取材と発信を続ける。日本災害情報学会・会員 防災士。





