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9月5日(月)アナよみ春秋

アナよみ春秋

東海テレビ
2022.10.03(月)放送2030.01.01(火)12:00配信終了

14本の動画

  • 【アナウンサーが中日新聞コラムを朗読】11月4日(金)アナよみ春秋

    中日新聞の看板コラム「中日春秋」を東海テレビ&CBCテレビのアナウンサーが朗読します! 「中日春秋(ちゅうにち・しゅんじゅう)」は、中日新聞の朝刊1面に毎日載っているほぼ555文字の文章。 書いた人の意見や考えが含まれた「コラム」と呼ばれる読み物です。 ▼農民から武器を没収する豊臣秀吉の刀狩りでは「集めた刀や脇指(わきざし)は、京都・東山での大仏建立で釘(くぎ)や鎹(かすがい)に使う」と説明された。刀を差し出せば仏に救われると、信心深い民に訴えた ▼農民は農耕に専念させ、武士らとの差異を明確にする狙いがあった。日本の農村には中世以来、害獣駆除や治安維持などのため武器が豊富にあり、それを担う成人男子にとって刀は名誉の表象。回収には相応の理由を要した。農村の武器を全て奪うのも現実的でなく、害獣駆逐用の鑓(やり)の所持を容認するなど運用は柔軟だったという。歴史学者の藤木久志氏の著書『刀狩り』(岩波新書)に教わった ▼どう説得すれば、隣人は危ない武器を手放してくれるのだろう。北朝鮮が昨日、ミサイルを複数、日本海方向に発射した。建物内などへの避難が呼び掛けられた県もあり、朝から肝を冷やした。一昨日も二十発余が発射され、気が休まらない ▼若き独裁者はミサイルとともに核の開発も進め、近く核実験をするとの観測も。これらの武器を差し出せば、制裁下にいる配下の民も救われるはずだが、それを考えている様子はない ▼秀吉は、刀狩りをしても武器が村に残ることを前提に喧嘩(けんか)停止も命じた。用水をめぐり複数の村が武装して争い、死傷者が出た際は代表者が成敗された ▼天下人同様、武器はあっても使えないと思わせる知恵も絞らねばなるまい。

    2022.12.05(月)放送

  • 【アナウンサーが中日新聞コラムを朗読】10月30日(日)アナよみ春秋

    中日新聞の看板コラム「中日春秋」を東海テレビ&CBCテレビのアナウンサーが朗読します! 「中日春秋(ちゅうにち・しゅんじゅう)」は、中日新聞の朝刊1面に毎日載っているほぼ555文字の文章。 書いた人の意見や考えが含まれた「コラム」と呼ばれる読み物です。 ▼小学生の時、クラスでこんな文句が流行した。「間違っているかもしれませんが…」。授業で先生に指され、答える際に前置きとして使う ▼一種の逃げ口上で、これさえ言っておけば、答えが間違っていても許される気になっていたのだろう。クラスの全員が答えるたびに、使うようになっていた ▼最近の流行語に遠い昔を思い出した。これもやはり逃げ口上なのだろう。ただし発言の冒頭ではなく、おしまいに来る。「…知らんけど」。「岸田さんも長いこと持たへんのと違いまっか。知らんけど」。関西弁は不得手だが、こんな感じか。関西で使われていたのが全国に広まったらしい ▼自分の意見を述べておきながら「知らんけど」で正しさは保証できないというのはいささかずるい気がするが、使う側からすれば気が楽になる。理屈や根拠があいまいでもこれがあれば、好きなことが言える気になる ▼思い出すのが一九七〇年代後半の「なんちゃって」。やはり自分の考えを述べた後に付け加え、発言をぼかす。意見を言ったことへの照れ隠しのニュアンスもあったが、「知らんけど」に照れはなく、もっと強気で投げやりに聞こえる ▼無責任な言葉だという人もいるけれど、これも時代が生んだ言葉とも思う。強気なようで、自分の発言に対する批判、反論あるいは中傷をおそれての精いっぱいの「防御壁」に見えなくもない。

    2022.11.28(月)放送

  • 【アナウンサーが中日新聞コラムを朗読】10月9日(日)アナよみ春秋

    中日新聞の看板コラム「中日春秋」を東海テレビ&CBCテレビのアナウンサーが朗読します! 「中日春秋(ちゅうにち・しゅんじゅう)」は、中日新聞の朝刊1面に毎日載っているほぼ555文字の文章。 書いた人の意見や考えが含まれた「コラム」と呼ばれる読み物です。 ソフトクリームでおなじみのアイスとコーンの組み合わせが生まれたのは一九〇四年、米セントルイスで開催された万国博覧会でのことだ ▼出店したアイスクリーム屋は大繁盛し、アイスを入れる紙皿が足りなくなってしまった。手を差し伸べたのが、隣のワッフル屋さん。こちらはあまり売れていなかった。皿の代わりにウチのワッフルを巻いて使ったらどうかと申し出る ▼試しに売ると入れ物まで食べられると大評判に。見知らぬ者同士が手を取り合うことで問題を解決する。ソフトクリームには知恵と助け合いの心が溶け込んでいるらしい ▼この三組は人権を守るという共通の目的に取り組んできた方々である。今年のノーベル平和賞である。ウクライナの人権団体「市民自由センター」、ロシアの人権団体「メモリアル」、ベラルーシの人権活動家アレシ・ビャリャツキさんの二団体一個人の受賞が決まった ▼ロシアのウクライナ侵攻が続く中、国家による弾圧や戦争犯罪に対しそれぞれの立場から闘ってきたのだろう。少し、残念なのはウクライナ政府が軍事侵攻を続けるロシア団体との共同受賞に異を唱えていることか ▼なぜ敵国の団体と共同受賞という不満は分からぬでもないが、やはり了見違いだろう。そのロシアの団体は同じ目的のために闘う人びとである。ソフトクリームをともに発明できる友を遠ざけたくない。

    2022.11.07(月)放送

  • 【アナウンサーが中日新聞コラムを朗読】10月2日(日)アナよみ春秋

    中日新聞の看板コラム「中日春秋」を東海テレビ&CBCテレビのアナウンサーが朗読します! 「中日春秋(ちゅうにち・しゅんじゅう)」は、中日新聞の朝刊1面に毎日載っているほぼ555文字の文章。 書いた人の意見や考えが含まれた「コラム」と呼ばれる読み物です。 ▼ 一九七六年六月二十六日は何曜日だったか。格闘技世界一決定戦のムハマド・アリ対アントニオ猪木が日本武道館で行われた日である ▼間違いなく、土曜日だった。どちらが勝つか。アリだろう。いや猪木がアリを捕まえれば。一番強い者に憧れる。中一とはそういう年ごろだろう。部活を無断で休み、テレビ中継を待つ。パート勤めの母親が出がけに作ったカレーを昼に一人で食べる。つまらぬことまで思い出す ▼猪木はリング上でずっと寝ている。アリのパンチを避け、ローキックを狙うためだ。それは分かっているのだが、次第に悲しくなってくる。猪木よ、それでいいのか。引き分け。世紀の一戦は「世紀の凡戦」となる ▼昭和の中学部活の上下関係のおっかなさは説明するまでもないだろう。土曜日に部活をサボった一年全員は後で先輩に呼び出され…。あの日が土曜日だったことを忘れるはずもない ▼アントニオ猪木さんが亡くなった。七十九歳。昭和、平成を輝かせた強烈な光が今消える。寂しい。国会議事堂の中でよくお見かけした。自分と同じぐらいの背丈だったのが意外だったが、リングでは「闘魂」がその体を大きく、たくましく見せていたのだろう。アリ戦にしても負けなかったではないか ▼コーナーから猪木が疾風のように飛びだしていく。ファンの胸の中でそれぞれに光り輝く猪木が今、マットの中央へ。

    2022.10.31(月)放送

  • 再生中

    9月5日(月)アナよみ春秋

    中日新聞の看板コラム「中日春秋」を東海テレビ&CBCテレビのアナウンサーが朗読します! 「中日春秋(ちゅうにち・しゅんじゅう)」は、中日新聞の朝刊1面に毎日載っているほぼ555文字の文章。 書いた人の意見や考えが含まれた「コラム」と呼ばれる読み物です。 ▼罰当たりな人間が乗った船を神が沈めた。罪もない大勢の人が巻き添えになった。それを見た男がこう嘆く。神の裁きは正しくない−。イソップにそんな話がある ▼そのとき、男にアリの大群が向かってきた。一匹のアリが男にかみついたので男はそのアリを踏みつけたが、大勢の他のアリも一緒に踏んでしまった。神の一人、ヘルメスが現れて叱った。「おまえがアリにした方法で、神々がおまえたち人間を裁くことが許せないか」− ▼不気味な濁流。水没した村。人びとの悲痛な顔。そんな映像にやはり、あの神は正しくないと嘆く。パキスタンの大洪水である ▼雨期の六月以降、モンスーンの影響によって大雨が続き、各地で洪水を引き起こした。死者は千人を超え、国土の三分の一が水没したと伝わる。気候変動の影響による暖かく湿った空気がモンスーンを一層、凶暴にした可能性がある ▼北部山岳地帯の氷河融解も洪水の原因という。これも気候変動の影響だろう。無情な神の方法を思った理由は気候変動の原因となる二酸化炭素を、同国は世界の1%以下しか排出していないことにある。その人たちは人をかんだアリではない。なのに理不尽な責めを負わされているように思えてならない ▼日本を含め、大量排出国は気候変動対策の加速はもちろん「温暖禍」の巻き添えとなった国の窮地に、手を貸さなければなるまい。

    2022.10.03(月)放送

  • 【アナウンサーが中日新聞コラムを朗読】8月14日(日)アナよみ春秋

    中日新聞の看板コラム「中日春秋」を東海テレビ&CBCテレビのアナウンサーが朗読します! 「中日春秋(ちゅうにち・しゅんじゅう)」は、中日新聞の朝刊1面に毎日載っているほぼ555文字の文章。 書いた人の意見や考えが含まれた「コラム」と呼ばれる読み物です。 ▼昔話や童話なんかのおしまいの文句はだいたい「めでたし、めでたし」だった。よかった、よかった。いろいろあったけれど、問題はすべて解決。読み聞かせる親としては「さあ、安心しておやすみなさい」と子どもに言える ▼英語にもやはり物語を終わらせる決まり文句がある。「Happily ever after」。「その後、ずっと幸せに暮らしましたとさ」。どこの国でも子どもには幸せな結末を用意してあげたいと願うものなのだろう ▼その人の絵本は「めでたし、めでたし」「ずっと幸せに」とは終わらない。最後に大切な友だちは解けて消えるし、別の作品では核兵器が使用され、夫婦は死に向かう。『スノーマン』『風が吹くとき』などの英絵本作家レイモンド・ブリッグズさんが亡くなった。八十八歳 ▼淡いクレヨンで描かれた『スノーマン』のどこか夢心地のタッチを思い出している人もいるか。冬の夜空を雪だるまに抱かれて飛ぶ少年。楽しい一夜 ▼あくる朝、雪だるまは解けて消えている。別れは必ず訪れる。だから幸せな時間を大切にしなさいと教えているのだろうか。核のおそろしさを描いた『風が吹くとき』も含め、子どもに何かを考えさせる筆だった ▼絵筆を握った少々風変わりな雪だるまが真夏に解けて消えた。世界中の子どもとかつての子どもが解けた雪だるまを寂しそうに見つめている。

    2022.09.12(月)放送

  • 【アナウンサーが中日新聞コラムを朗読】8月5日(金)アナよみ春秋

    中日新聞の看板コラム「中日春秋」を東海テレビ&CBCテレビのアナウンサーが朗読します! 「中日春秋(ちゅうにち・しゅんじゅう)」は、中日新聞の朝刊1面に毎日載っているほぼ555文字の文章。 書いた人の意見や考えが含まれた「コラム」と呼ばれる読み物です。 ▼<五月雨をあつめて早し最上川>。もちろん、芭蕉の「おくのほそ道」にある有名な句で、最上川の大石田(山形県大石田町)での作と伝わる ▼芭蕉に同行した河合曽良(そら)の「曽良旅日記」の中にある「俳諧書留」によると、おもしろいことに、もともとの句は少々、趣が違っている ▼芭蕉が最初に詠んだのは<五月雨を集(あつめ)て涼し最上川>。「早し」が「涼し」となっている。これだけで最上川の印象が大きく異なってくるから不思議である。「涼し」の川が心地良く、おだやかさを感じさせる一方で、「早し」の川は豪快であり、激しい。おっかなさもある。どうやら芭蕉さん、最上川下りを実際に体験したことで「涼し」から流れにより勢いのある「早し」に改めたらしい ▼最上川に水を集めたのは「五月雨」ではなく線状降水帯による雨である。記録的な大雨が続いた山形県内では最上川が各所で氾濫し大きな被害が出ている ▼積乱雲が列をなして発生し、通過、停滞した結果、長時間にわたって局地的な大雨を降らせた。住宅への浸水、橋の崩落。芭蕉にこの最上川の濁流を見せれば、「涼し」はもちろん、「早し」でも不十分で、字余りを気にせず「おそろし」「危うし」「すさまじ」と詠むだろう。雨は収まりつつあるとはいえ、現地が心配である ▼四〇度に迫る猛暑に豪雨。自然の過酷さばかりが目に付く今年の夏である。

    2022.09.05(月)放送

  • 【アナウンサーが中日新聞コラムを朗読】6月10日(金)アナよみ春秋

    中日新聞の看板コラム「中日春秋」を東海テレビ&CBCテレビのアナウンサーが朗読します! 「中日春秋(ちゅうにち・しゅんじゅう)」は、中日新聞の朝刊1面に毎日載っているほぼ555文字の文章。 書いた人の意見や考えが含まれた「コラム」と呼ばれる読み物です。 ▼「○○円でどうだ。こんだけまけても、まだ買わねぇか」。こんな口上で、売り手が買い手と掛け合うバナナのたたき売りは、大正後期に始まった。日持ちしないゆえの安売り。発祥の地は台湾産バナナが集積した北九州の門司港という ▼台湾産は明治期から入り、昭和の高度成長期に急増した。台湾の台風被害の影響で一九七〇年ごろは、赤道下の南米エクアドル産が台湾産を日本で凌駕(りょうが)。その後はフィリピン産が席巻し、最近は輸入の八割近くを占めている。『バナナと日本人』(鶴見良行著)などに教わった ▼今、その主産地が価格引き上げを訴えている。フィリピン政府が、日本の小売業団体に理解を求める申し入れを行った。肥料や農機具を動かす燃料の価格が高騰し、生産者の利益がほとんど出ないという。かさむ経費を価格に転嫁できず、買いたたかれているということだろう ▼駐日大使は記者会見で「困窮するバナナ農家に希望を与えてほしい」と力説した。経済の変調のしわ寄せが、特定の人たちだけにいくとすれば、正しいことではない ▼まど・みちおさんの詩に『バナナの うた』がある。冒頭を引く。<せきどうを こえて/きたのか バナナ/まなつの におい/まひるの におい/まなつの まひるの/はたらく ひとの におい> ▼赤道ほど遠くはないが、かの南の島で汗を流す人にも思いをはせたい。

    2022.07.11(月)放送

  • 【アナウンサーが中日新聞コラムを朗読】6月6日(月)アナよみ春秋

    中日新聞の看板コラム「中日春秋」を東海テレビ&CBCテレビのアナウンサーが朗読します! 「中日春秋(ちゅうにち・しゅんじゅう)」は、中日新聞の朝刊1面に毎日載っているほぼ555文字の文章。 書いた人の意見や考えが含まれた「コラム」と呼ばれる読み物です。 ▼戦後の「ブギの女王」笠置シヅ子さんの「買物ブギー」(作詞、作曲・服部良一)は一九五〇(昭和二十五)年のヒット曲で大阪弁とスピード感あふれる曲調が今、聴いてもかっこいい。<わてほんまによういわんわ>の歌といえばピンと来るか ▼お客さんでも迎えるのか買い物に走る女性を歌っている。<何はともあれ 買い物はじめに魚屋さんへと飛び込んだ><タイにヒラメにカツオにマグロにブリにサバ> ▼まず魚屋さんというところが、当時を映している。かつての日本人はそれほど魚をよく食べた。二〇二一年度版の水産白書によると日本の一人当たりの魚介類消費量は二〇年度に二三・四キロとなり、比較可能な一九六〇年度以降で最低だったそうだ ▼消費ピークの二〇〇一年度の六割弱と聞けば<わてほんまによういわんわ>と驚く。肉の消費は拡大する一方で魚介類は値の高さや調理の手間で敬遠されているらしい。コロナ禍で飲食店での魚介類消費も減ってしまった ▼消費回復に手はないのか。あの歌と同じ時代に連載が始まった漫画の「サザエさん」。登場人物の名は当時身近だった魚などの名だが、今ならさしずめ、「ハンバーグさん」やら「唐揚げくん」となるか ▼暖流の黒潮と寒流の親潮がぶつかることで豊富な魚に恵まれ、かつて世界一、魚を食べるといわれた日本の魚食文化。急速な衰えが心もとない。

    2022.07.04(月)放送

  • 【アナウンサーが中日新聞コラムを朗読】5月19日(木)アナよみ春秋

    中日新聞の看板コラム「中日春秋」を東海テレビ&CBCテレビのアナウンサーが朗読します! 「中日春秋(ちゅうにち・しゅんじゅう)」は、中日新聞の朝刊1面に毎日載っているほぼ555文字の文章。 書いた人の意見や考えが含まれた「コラム」と呼ばれる読み物です。 ▼愛知県三河地方の明治用水の誕生は民間が主導した。明治時代に県の指揮で完成するが、地主ら民間人が考案し、資金を確保した。同じころ、猪苗代湖の水を引く東北の安積疏水整備が国直轄だったのとは対照的である ▼当初、三河で導水と新田開発を計画したのは地元の豪農都築弥厚(やこう)。江戸時代、水害を招くと誤解した農民に反対され、夜間ひそかに測量を続けたが、果たせぬまま借金を残し、亡くなった。岡本兵松(ひょうまつ)と伊豫田(いよだ)与八郎が遺志を継いで農民を説き、出資者も確保したが、兵松は親類の財も費やし、与八郎は破産して家族離散を招いたという ▼「日本デンマーク」の呼称を得るほどまでに地域の農業を育て、やがて自動車関連企業にも水を運ぶようになった用水が危機である ▼川から取水する施設「明治用水頭首工(とうしゅこう)」で漏水が起きた。戦後に国が建設した三代目施設だが、通常通りに取水できない ▼田植えを控えた農地への供給は止まった。企業向け供給も安定せず、昼間の稼働停止を決めた工場もある。国は応急的にポンプで水をくみ、復旧を急ぐが、官の沽券(こけん)にも関わる事態であろう ▼用水完成の記念碑には、明治の指導者松方正義が「疏通千里(そつうせんり)・利澤萬世(りたくばんせい)」の言葉を残した。水路の完成が永遠の恵みを与えるという意味だが、「萬世」のくだりは大丈夫だろうか。民の営みに水をさす事態を、長引かせてはいけない。

    2022.06.13(月)放送

  • 【アナウンサーが中日新聞コラムを朗読】5月8日(日)アナよみ春秋

    中日新聞の看板コラム「中日春秋」を東海テレビ&CBCテレビのアナウンサーが朗読します! 「中日春秋(ちゅうにち・しゅんじゅう)」は、中日新聞の朝刊1面に毎日載っているほぼ555文字の文章。 書いた人の意見や考えが含まれた「コラム」と呼ばれる読み物です。 ▼「母の日」といえば、母親の日ごろの苦労や気づかいに対して、子どもや夫が感謝を示す日なのだろう。そもそもの「母の日」は少し、性格が異なるようだ ▼十九世紀の米国の詩人で社会活動家のジュリア・ウォード・ハウという女性が「母の日」の「原型」と関係している。「心ある女性たちよ、立ち上がれ」。一八七〇年、自分の息子や夫が戦場に駆り出されることに反対の声を上げようと世界中の女性に向けて呼びかけた ▼南北戦争の悲惨な記憶が生々しく残っていた時代だろう。母親が子どもに幼いときから教えた慈愛や寛容の精神。そうした大切な教えが戦争によって奪われてしまう。そのことが母親としては許せない。「武器を捨てよ、武器を捨てよ」。そう訴え、母親の団結を求めた ▼現在「母の日宣言」と呼ばれるものでハウは毎年六月二日を「平和を求める母の日」としたかったそうだ。残念ながら定着しなかったが、「母の日」の出発点は反戦と女性の団結にあった ▼戦争で息子が誰かを傷つける。傷ついた誰かもまた誰かの母親の息子。世界中の母親が団結すれば戦争をとめられるはず。その発想は今聞いても頼もしい ▼「母の日」である。ロシアによるウクライナ侵攻が続いている。国際社会はロシアを今止められないでいる。無力な世界はいくさが大嫌いな「かあちゃん」からこっぴどく叱られた方がよい。

    2022.06.06(月)放送

  • 【アナウンサーが中日新聞コラムを朗読】4月12日(火)アナよみ春秋

    中日新聞の看板コラム「中日春秋」を東海テレビ&CBCテレビのアナウンサーが朗読します! 「中日春秋(ちゅうにち・しゅんじゅう)」は、中日新聞の朝刊1面に毎日載っているほぼ555文字の文章。 書いた人の意見や考えが含まれた「コラム」と呼ばれる読み物です。 ▼昭和の時代、作新学院高の江川卓投手は剛速球で甲子園を沸かせた。怪物と呼ばれたが、法政大二年の時、右肩を疲労骨折した。高校時代から登板過多だった ▼巨人入団後、二十勝をあげた年もあったが、最盛期は長く続かず、三十二歳で引退した。自伝「たかが江川されど江川」に「大学二年のときに起こしたあの疲労骨折以来、僕の投手人生は最後まで、右肩との闘いの繰り返しだった」とある ▼令和の怪物ことロッテの佐々木朗希投手が日曜日のオリックス戦で、走者を一人も出さない完全試合を成し遂げた。プロ三年目。二十歳五カ月での達成は史上最年少という。最速百六十キロ超の直球を武器に十三連続奪三振のプロ野球新記録も作った ▼大船渡高三年の夏、甲子園をかけた岩手大会決勝で監督がけが防止を理由に佐々木投手を登板させずに敗れ、議論を呼んだ。プロ入り後も体づくり優先で登板は制限された。大事に育てられた大器が片鱗(へんりん)を見せ始めたのだろう ▼江川氏はプロ九年で完全試合こそ達成していないが、通算百三十五勝。現役最後の年も十三勝で引退を惜しまれた。自伝によると、肩の痛みで「あるべき姿の江川卓」でいられないから決意したという。打者が直球を待っていると分かっていても、直球を投げて空振りさせなくてはいけない− ▼きっと今の佐々木投手には、できることであろう。長く見たい。

    2022.05.16(月)放送

  • 【アナウンサーが中日新聞コラムを朗読】2月15日(火)アナよみ春秋

    中日新聞の看板コラム「中日春秋」を東海テレビ&CBCテレビのアナウンサーが朗読します! 「中日春秋(ちゅうにち・しゅんじゅう)」は、中日新聞の朝刊1面に毎日載っているほぼ555文字の文章。 書いた人の意見や考えが含まれた「コラム」と呼ばれる読み物です。 ▼漁の網にウミガメがかかったら、酒を飲ませて海に戻す。日本各地の漁師に伝わる風習という ▼民俗学が専門の藤井弘章近畿大教授によると、ウミガメを縁起物として大切にするゆえの行動で大漁の願掛けもする。遅くとも江戸時代には始まったという ▼真偽はともかく、漁師の間では「ウミガメは酒が好き」と伝えられ、「酒を飲んだカメが泳いで帰るとき、顔を出してお礼をした」といった話も残る。最近はウミガメ保全関係者の間で「飲ませ過ぎはよくなかろう」という声もあり、水産庁も酒を飲ませないよう指導しているようだが、助けたカメが恩を返す説話が定着した日本らしい風習ではある ▼絶滅も危惧されるウミガメに、誤ってこれを飲ませてしまうのはまずかろう。プラスチック製不織布マスク。岩手県沿岸で捕獲されたアオウミガメの排せつ物の中に含まれていたと、東京農工大と東京大のグループが発表した ▼コロナ禍で海への流出が増えているようだ。グループによれば、生物への悪影響が懸念される化学物質を含んだ不織布マスクも市販されているという ▼プラスチック類の海洋流出は、かねて指摘される課題。魚や貝の中から微小なプラスチックが見つかり、それを食べる人間も体に取り込んでいるとみられる。問題を放置すれば報いを受けるのは人間。報恩の生きものウミガメはそう教えているのだろう。

    2022.05.09(月)放送

  • 【アナウンサーが中日新聞コラムを朗読】3月15日(火)アナよみ春秋

    中日新聞の看板コラム「中日春秋」を東海テレビ&CBCテレビのアナウンサーが朗読します! 「中日春秋(ちゅうにち・しゅんじゅう)」は、中日新聞の朝刊1面に毎日載っているほぼ555文字の文章。 書いた人の意見や考えが含まれた「コラム」と呼ばれる読み物です。 ▼京都の島津製作所に勤める田中耕一さんがノーベル化学賞を受賞したのは二〇〇二年。サラリーマンの快挙として話題になった ▼受賞決定の二日後、田中さんは小泉首相らと官邸で昼食をともにしたが、東京での記者会見でこう言った。「出張の新幹線はいつも『ひかり』。今回は念願の『のぞみ』に乗れてうれしかった」 ▼東海道新幹線最速ののぞみ。今でこそ頻繁に走るが、〇二年度当時の一日当たり本数は最多のひかりの約六割で、各駅停車のこだまより少なかった。東京−新大阪間の料金も、のぞみは他より千円近く高かった。料金差は今、三百円程度になったが、経費節減の命を受ける会社員が気軽に乗れない時代が確かにあった ▼のぞみがきのう、誕生三十年を迎えた。東京−新大阪間の所要時間を約二十分も縮めた「韋駄天(いだてん)」。首都圏、東海、近畿の交流を盛んにした功労者といえる ▼のぞみが生まれた一九九二年は、バブルが崩壊して長期不況が始まるころ。新幹線の乗客も減り始める時期にあたる。JR東海元社長の須田寛氏が著書で、新幹線の歴史でも節目だったと振り返る危機。のぞみ増便などの積極投資があったからこそ、落ち込みは抑えられた ▼出張も観光も低調で、乗客が減るコロナ禍の今をどう乗り切るか。難問だが、希望はあろう。田中さんに限らず、心浮き立つ列車の旅を記憶する人は少なくない。

    2022.04.11(月)放送

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