
世界を目指す中学生ライダー 家族総出のサポートで次なる“高み”へ けがを恐れず高難易度の新技に挑戦「チャレンジしないと上手にならない」 BMXフリースタイル・丹羽煌貴選手(12)

BMXフリースタイルで日本一を目指す岐阜県土岐市出身の丹羽煌貴選手。何度転んでも諦めず、難易度の高い技に挑み続ける息子を、父がコーチ、母が食事でサポート。家族総出の戦いに密着しました。
廃校の体育館で技を磨く12歳のスーパーライダー

岐阜県大垣市にある廃校となった小学校から、なにやら物音が聞こえてきました。体育館をのぞいてみると、ジェットコースターのようなコースが組まれています。
ここで練習に励んでいたのは、BMXフリースタイル・パークの丹羽煌貴選手、中学1年生。小学生の頃から年代別チャンピオンに何度も輝き、6月にはオーストラリアの大会で初優勝した、将来を期待されるBMXライダーなのです。
得意技はハンドル部分を回転させる『バースピン』。この『バースピン』を使った大技が、空中でバーを4回転しながら車体も横に1回転する『クワッドトラックドライバー』。同年代では煌貴選手1人しかできないといいます。
7歳の時、コロナ禍で何か運動をしたいと妹と始めたBMX。その面白さにハマり、わずか2年で年代別のトップ選手まで成長しました。

そんなスーパー中学生・煌貴選手を育てたコーチが、父・信貴さんです。信貴さんもBMXの経験者かと思いきや…
父・信貴さん:
「正直BMXに全く乗ったことはない…最初のころちょっとだけやって、転んですぐやめました。煌貴と一緒に動画を見ながら、こうなのかな、ああなのかなと2人で解読して、『次これやってみよっか』と家で話したり、すったもんだしながらやっている」
会社員のお父さん。平日は仕事を終えると、午後7時から家族みんなで愛知県小牧市の練習場へ。土日も車で遠征し、全国各地へ煌貴選手と一緒に飛び回る生活をしています。
全日本選手権で成功率50%の大技に挑む

そんな丹羽親子が二人三脚で挑むのが、10月5日に岡山県で開催される全日本BMXフリースタイル選手権。新たな技で優勝を目指していました。
その技とは、現在練習中の『バックフリップテールウィップ』。縦に1回転しながら車体を1回転させる、煌貴選手も成功率50%という難しい技です。
この日の練習では、なかなかタイミングが合わず転倒が続きました。しかし、何度失敗しても煌貴選手は練習をやめようとしません。
大技にはけがなどの大きなリスクも伴いますが、それでも果敢に挑戦する理由は、大きな目標があるからです。
丹羽煌貴選手(12):
「(将来)世界へ行きたい気持ちがあるから、これぐらいどんどんチャレンジしないと。チャレンジしないと上手にならないから」
大会まであと1週間。技の完成度を高めるため、お父さんと練習を続けました。

家に帰るのはいつも午後9時すぎ。家族みんなで遅めの夕食をとります。母・紗矢香さんも食事でサポート。
母・紗矢香さん:
「骨折が怖くて、けががめちゃめちゃ怖くて、そこでしかカバーできないかなっていう。自己流なんですけど、栄養でどうにかフォローできないかな」
時間があれば、自分で作ったBMXパークでイメージトレーニングを行います。そんな煌貴選手の思いは…
丹羽煌貴選手(12):
「今まで(父と)一緒に練習してきた技を全日本選手権で披露できるようにっていう思いが一番強いです」
大舞台で見せた果敢な挑戦 そして次の目標へ…

こうして迎えた大会当日。煌貴選手が出場するのは「ボーイズ11-12」クラスです。
会場に多くの観客が詰めかける中、煌貴選手の表情はかなり緊張気味。
すると、試合直前の練習でアクシデントが発生しました。大技『バックフリップテールウィップ』の練習で転倒してしまったのです。
すぐさまお父さんとバックヤードへ。幸い大事にはいたりませんでした。

BMXは、2本ランを行い、得点が高い方が採用され順位が決まります。
1本目、スタート地点に立った煌貴選手は、観客に拍手と歓声を求めました。そして、勢いよく走り出しましたが、序盤の技で転倒してしまいます。
次が最後の挑戦です。再び観客の歓声をあおり、気持ちを切り替えてスタート。後がない状況で挑んだのは、ずっと練習してきた『バックフリップテールウィップ』。果敢に挑戦しましたが…惜しくも転倒。結果は8位でした。
丹羽煌貴選手(12):
「悔しいです。練習の内容を濃くして、回数を(多く)やってみたり、次は“これが煌貴だ”というものを見せつけられたら」
煌貴選手の次の挑戦は、11月に茨城県で行われる世界選手権。大舞台で今回のリベンジを果たすべく練習に励んでいるということです。





