在日外国人にもクレジットカードの所有を 日本で暮らす外国人の悩みに応えるスタートアップ企業
日本で暮らす外国人は、クレジットカードをなかなか持てません。そんな悩みを解決しようと、名古屋の企業が立ち上がりました。
クレジットカードを持っていない外国人技能実習生
国内の保有率は87%。キャッシュレス時代を生き抜くうえで、今や欠かせない存在です。しかし、不便な生活を強いられている人たちがいます。
三重県木曾岬町の溶接工場で働くフィリピン人、ゴンザルボ・クリスチャン・アンヘルスさんです。ゴンザルボさんは、2017年に技能実習生として来日。その後、特定技能1号の資格をとり、今や工場の貴重な戦力です。
仕事を終えて自宅でくつろぐゴンザルボさん。楽しみのひとつは、スマホ片手にネットショッピングです。ところが、ゴンザルボさんはクレジットカードを持っていません。決済は、コンビニエンスストアです。
ゴンザルボさんのような特定技能外国人は、昨年末現在で20万人あまり。その数は右肩上がりに増えています。ただカード会社によりますと、日本で暮らす外国人の多くは、クレジットカードをなかなか持てない事情を抱えているようです。
クレディセゾン 久保有季子さん:
「(母国に)帰国された場合に支払いをしてもらえないリスクがあるため、(日本にいる外国人に)提供がしづらかったのがあると思います」
外国人の悩みをアプリで解決
そんな外国人の悩みをビジネスチャンスに変えた会社がありました。名古屋のスタートアップ、KUROFUNEです。
KUROFUNE 倉片 稜CEO:
「弊社は日本に住んでいる外国人をアプリで支援している会社です」
KUROFUNEは、日本で暮らす外国人の悩みをオンラインで解決するサービスを提供しています。込み入った相談は、外国人スタッフが直接対応します。
ドーヴァン トゥさん:
「『ちょっと熱が出ているけど、明日休みたいがどうしたらいいですか』とか。本人たちの代わりに会社に連絡してあげます。やっぱりうまく伝えられないと(企業側に)誤解されてしまうんです」
クレジットカードの申し込みもできる
利用料は月額9800円から。特定技能外国人を受け入れている企業が、従業員の福利厚生のために加入している場合が多いといいます。そこに今回新たに加わった機能が、クレジットカードの申し込み画面に遷移するというもの。
在留カードと携帯電話の番号があれば、申し込みから最短5分で手続き完了。KUROFUNEとの提携は、カード会社にとってもメリットがありました。
クレディセゾン 久保さん:
「(KUROFUNEが)入国から帰国まで就労者をしっかりサポートされています。たとえば、帰国するとわかった場合に、カードの支払いや解約を促してもらうようなアクションをしていただけるというのが、ひとつのリスク回避につながりました」
新たな市場の開拓が期待できる
日本経済新聞社 名古屋支社 川路 洋助記者:
「外国人労働者にとってはクレジットカードが使えるように。雇用する企業にとっては福利厚生の向上。KUROFUNEにとっては、アプリ利用者が増加します。クレジットカード会社にとっては、発行枚数の増加というように、各自にメリットがあります。これにより、新たな市場の開拓が期待できます」
KUROFUNE 倉片さん:
「困っているからこそ、こうしたサービスがあります。外国人が困るという話が出る以上、そこにチャンスがあるんです。今まで外国人がNGだった領域に対して、どんどん風穴を開けていき、最終的には売り上げに反映できるように持っていきます」