
マイホームの常識が覆る⁈ 若い世代も注目“平屋建て”が人気のワケ 東海3県の着工数は10年前より約3倍増

誰もが一度は夢見る“マイホーム” 実は今のトレンドは「平屋建て」なんです。この地方でも着工数が10年で約3倍に増えています。人気の理由を取材しました。
【写真を見る】マイホームの常識が覆る⁈ 若い世代も注目“平屋建て”が人気のワケ 東海3県の着工数は10年前より約3倍増
(小澤幸子さん)「(Q:上がだいぶ高いですね)天井を高くして空間が取れるので、ゆったりした感じに」
愛知県稲沢市の小澤さん夫婦は、去年、こだわりの“マイホーム”を手に入れました。
(小澤幸子さん)「こちらがキッチン。そこからこの扉を一つ開けると、洗面所とお風呂場になって。また扉を一つ開けると玄関の方につながって、とても動線がよい作り」
ワンフロアで生活が完結するこの家は、いわゆる「平屋建て」。実はいま、若い世代を中心に人気が高まっているんです。しかし、平屋建てにはこんな声も…
(30代)「平屋がね、できればいいですけど、土地がないし、高いし…」
(40代)「平屋はお金持ちしか無理じゃないですか」
土地代が高騰する中、平屋建てが注目される理由とは?
平屋建ては10年で2倍に
名古屋市天白区に先月オープンした、モデルハウス。名古屋の建築会社AVANTIA(アヴァンティア)が人気の過熱を受けて立ち上げた平屋建て専門のブランドで、連日、賑わっています。
(モデルハウス見学者)
「コンパクトだけど平屋が建てられるって聞いて(来た)」
「階段がないのがいいよね、だんだん年を取ってくると…」
24坪の3LDKで、価格は土地代を除き1309万円。規格型の建て売りのプランのため、同じ坪数の2階建てより、約2割、価格を抑えることができると言います。
国交省によると、居住専用の建物の着工件数は10年前から2割ほど減っていますが、平屋建ての着工件数は右肩上がりで、10年前の2倍近くに!
(SUUMO 笠松美香副編集長)「子ども1人とか世帯人数が少ない人たちの割合がすごく増えているから、コンパクトな平屋が増えている」
少子化にともない、1軒の家に必要な部屋数が減っているほか、以前の平屋建てと比べるとコンパクトなタイプが多く、土地代も抑えられるため、若い世代に人気が高まっているそうです。
こだわったコスト削減 平屋のメリットは?
こちらは、ことし4月に平屋建てのマイホームに住み始めた愛知県犬山市の奥村さん一家。
元気盛りの4歳の凜ちゃん、抱っこが大好きな0歳の士貴くんとの4人家族です。
33坪で3LDK。こだわったのはコスト削減で、リビング以外の各部屋は必要最小限の広さにしたといいますが、そうしたことでメリットも。
(奥村悠太さん(31))「目の届く範囲内で子どもたちが遊んでいるので、安心して見ていられる」
広めに作ったリビングの空きスペースに机と椅子を置くことで…
(凜ちゃん)「(Q:凜ちゃんの遊び場?)ワークスペース!」
士貴くんのミルクタイムで悠太さんが目を離したとしても、凜ちゃんの物音や気配を感じることができます。
(奥村悠太さん)「凜ちゃん、来てください」
走ってパパのもとへいく凜ちゃん。
東海3県の着工数 10年前比で約3倍
リビングを中心とした間取りで、家族が集まりやすく、元気な凜ちゃんの足音がまわりに響く心配もありません。
(奥村のぞみさん(31))「家の中で階段を上るのが嫌で、絶対に平屋がいい」
また、段差がないワンフロアのため、お掃除ロボットが大活躍。家事の負担も軽減されているそうです。
愛知県では平屋建ての新築着工件数が10年前と比べて約2.7倍、岐阜県と三重県では3倍以上に!
奥村さんの家を手掛けた東新住建も変化を実感しています。
(東新住建 三月田伸さん)
「平屋は実際人気が高いですね。年間だいたい200棟(施工)の中で、大体3割ぐらい、約60棟が平屋」
「(Q:将来的にどれくらい伸びそう?)近いうちに半分くらい平屋になってくるのでは」
関東でも人気 「明るい」デザインの平屋
平屋建てにビジネスチャンスを見出そうという動きは全国でも。千葉市に去年完成した住宅街を上からみると…なんと50棟すべてが、平屋建ての分譲住宅です!
(拓匠開発 大橋英俊さん)「千葉市は政令指定都市でありますけれども、平屋の住宅が手に入るということで、東京や神奈川の方から来られて、全く地縁もなく購入されてる方が多い」
東京23区の新築マンションの平均価格は高騰していて、昨年度は何と!1億1632万円。
一方、この平屋建ての住宅街は東京駅まで電車で50分ほどかかりますが、3LDKで4000万円前後ということで、去年10月の販売開始以降、すでに半分以上が契約済みです。
(拓匠開発 阿部雄介さん)「窓は大きめに取って、光を多く取り込んでいる」
平屋建てといえば中心の部屋は窓から遠く、「暗い」イメージをもたれがちですが、こちらは、ほとんどの部屋に窓がついている明るいデザインと収納スペースも豊富に確保されていることが人気のポイントです。
(拓匠開発 大橋英俊さん)「若い方からお年寄りまで住めるという意味では、これからも人気は続くと思う」
リビングとつながる開放的なウッドデッキ
(奥村悠太さん)「ママもうすぐ帰るからご飯の準備だけしておく?」
(凜ちゃん)「(Q:凜ちゃん、ご飯の準備だって)え~」
愛知県犬山市の奥村さん一家。この日は平屋建てに引っ越してきて、初めて焼肉をします。
(奥村悠太さん)「凜ちゃん、手伝ってよ」
(凜ちゃん)「え~!むり!…なに~?」
(奥村悠太さん)「広げてくれ!そっち持って!」
娘の凜ちゃんも悠太さんと一緒に、リビングとひとつながりになったウッドデッキにシートを敷くなどお手伝いで大忙し!
(奥村のぞみさん)「ただいま」
のぞみさんが仕事から帰ってきました。リビングにある机を外に出して…
(奥村悠太さん)「乾杯~!ママお仕事お疲れ様!」
涼しい夕方の風が吹く中、焼肉スタートです。
(凜ちゃん)「おいし~!」
以前、賃貸マンションで暮らしていた頃からやってみたかった開放的な自宅での焼肉を、家族みんなで楽しみました!
(奥村悠太さん)「休みの日って感じがする。場所も都会だとね、苦情が来るかもしれないし」
ライフスタイルの変化とともに、若い世代にも注目される、平屋建て。さまざまなタイプも登場し、今後、さらに受け入れられていくかもしれません。