
維新・吉村代表の政治改革“センターピン”「議員定数の削減」の思惑は? 実は世界で見ると多くない日本の“国会議員数” 高市内閣でどうなる?

自民と維新の連立政権が取り組もうとしている「議員定数の削減」とは。どんな目的なのでしょうか?
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(日本維新の会 吉村洋文代表 16日のテレビ出演で)
「政治改革のセンターピンは『議員定数の削減』だと思います。議員の椅子をなくすっていう」
連立に入る条件として、これまでの政策協議で議員定数の削減を強く求めた日本維新の会の吉村代表。連立政権合意では、衆院議員の定数1割削減を目標に、今の国会に議員立法を提出し、成立を目指すとしています。
これは全ての議員に関わり、政治の土台を変えることになるため、与野党双方から「拙速」、「乱暴」との批判が相次いでいます。
急浮上し、自民、維新両党が合意した議員定数の削減。本当に実現するのでしょうか?
吉村代表「臨時国会12月中にもう成立させたい」
これが実現しないと「次には進まない」というような覚悟を持っている吉村代表なんですが、果たしてどこをどう削るのか見ていきましょう。
衆議院議員というのは、今465人います。そして参議院議員が248。足すと713人、日本には国会議員がいますが、いま目されているのは、衆議院議員の比例代表で選ばれている176人のうちの50人を削減しようということなんです。
吉村代表は「やるんだったらもうここですよ。臨時国会12月中にもう成立させたい。基本、衆議院議員の比例でもいい。1割くらいというのは衆議院の1割、50人ぐらいを削減したい」と述べています。
日本の国会議員の数は多くない!?
「国会議員は多い」とよく聞きますが、実際日本はどうなんでしょうか。
世界の国会議員数、人口100万人当たりで計算していくと、多いのは、イギリス21.6人、フランス13.9人、続いてカナダ10.8人、ヨーロッパに戻ってイタリア10.2人、ドイツ8.3人、そこに続いて日本は「5.7人」ということで、実は世界で比べるとかなり少ない。
減らさなくてもいいんじゃないかという気もしてきますけれど、どういう目的
減らそうとしているんでしょう。その目的を見ていきましょう。
議員定数削減のメリット・デメリット
政治学が専門の愛知学院大学総合政策学部の森正教授にメリット、デメリット分析してもらいました。
まず有権者にとってのメリットなんですが、いきなり「あまりありません」と森教授。強いて言うならば、国費が削減される、政治家1人当たり、国会議員年間で大体1億円ぐらいかかるので、掛ける50、50億円ぐらいは浮くということです。
50億円というのは結構大きい額なので、何かメリットがありそうなんですけれど、ただ、コストカットで言うなら、コストカットの方法は、文書交通費などなど他にもたくさんあるので、別に人数削らなくてもいいのではというのが森教授の見解でした。
一方で、有権者のデメリットは、政治へのパイプが減ってしまう。これは簡単に言うと、「民意が反映されにくくなる」ということなんです。
維新の思惑は…“身を切る改革のアピール”
じゃあ、維新のメリットは何なのか。ここが最大の理由なんですね。「身を切る改革のアピールができる」ということなんです。ただ、維新にもデメリットがあって、圧倒的な人気を誇る大阪以外での議員獲得が難しくなる。他の地域で、比例でギリギリ受かっているという国会議員は、ひょっとしたらいなくなってしまうかもしれません。
自民のメリット・デメリットは
続いて自民のメリット・デメリットです。メリットは小選挙区制は大政党に有利だということ。そしてデメリットは公明との関係悪化なんです。
去年、衆議院選挙がありました。自民党は小選挙区で132人当選、比例代表で59人ということで、比例の割合31%なんですね。自民党としては比例代表が少なくなっても、そこまで影響はない。これは維新にも同じことが言えるんです。
一方で公明はというと、比例の割合が83%、共産は88%、そして国民も61%、れいわ、参政は100%となっていて、選挙協力なども含めて、森教授は「公明は怒り心頭」だと思うので、自民とは関係悪化するのではないかと分析していました。
急に出てきた感のある「議員定数の削減」ですが、元々日本維新の会というのは、政治と金の問題で、自民党に対してかなり鋭く企業団体献金廃止と訴えていて、かなり急先鋒で批判をしていたんですが、連立を組むときにかなりトーンダウンしています。
このトーンダウンをしてしまったことから、身を切る改革を全面的に出すことによって、政治と金の問題から目線をそらしているのではないかと森教授は話していました。
とにもかくにもこの議員定数削減が成立しないことには先に進まないということで…成立するのかしないのか、今後も注目です。





