15年前の“時効撤廃”なければ逮捕されることはなかった 安福久美子容疑者(69) 別事件の遺族は「ぱっと明るくなりました」 全国には未だに350件以上の未解決事件

名古屋市西区の主婦・高羽奈美子さん。1999年11月、自宅アパートで刃物で刺され殺害されました。
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高羽さんの夫・悟さんは現場の部屋を保存してきました。玄関に犯人の血痕が残されていたからです。事件発生から26年を前にこれとDNA型が一致する女が逮捕されました。
女は、名古屋市港区の安福久美子容疑者69歳。悟さんの高校の同級生でした。
“時効撤廃”なければ逮捕されていなかった安福容疑者
警察は当時の目撃情報などから、犯人が手にけがをした可能性があるとして情報提供を呼びかけていましたが、安福容疑者は見立ての通り「事件の際に手にけがをした」と話していることが分かりました。
通報されるのを恐れたのか、当時 病院で手当てを受けた記録は確認されていないということです。
69歳になった安福久美子容疑者は、もし15年前、法律改正が無ければ逮捕されることはありませんでした。
以前の刑法では、殺人罪は15年で時効。高羽奈美子さんが殺された名古屋市西区の事件は、当初、2014年11月で時効になってしまうおそれがありましたが…2010年4月に刑法改正で、殺人など凶悪事件の時効が撤廃されたのです。
(当時の千葉景子法務大臣 2010年)
「“逃げ得を許してはならない”という、被害者や国民の声に応えるものだと思っている」
世論を突き動かしたのは、遺族たちの声です。
何者かが4人を殺害し住宅に火を…
1996年、上智大学に通う女性が自宅で殺害された事件で、娘を奪われた父の小林賢二さん。
(小林賢二さん・2010年)
「遺族の思いは、15年25年の歳月で薄れることはない。この世に正義が存在するなら、犯人に対し、被害者の生命の尊厳に代わりうる鉄ついを与えて当然」
時効まで3年に迫った年、小林さんが時効の撤廃を訴えると、それが世田谷一家殺害事件など他の遺族にも広がり、殺人事件被害者遺族の会「宙の会」の結成につながりました。
この会で、時効撤廃にむけて共に活動したのが、高羽奈美子さんの夫・悟さんと、豊明母子殺人放火事件の遺族・天海としさんです。
事件が起きたのは、2004年9月9日。
豊明市沓掛町の住宅が全焼し、当時38歳の加藤利代さんと、長男の佑基さん(当時15)、長女の里奈さん(当時13)、次男の正悟くん(当時9)が遺体で見つかりました。何者かが4人を殺害し、住宅に火をつけたとみられています。
(天海としさん・2009年放送)
「犯人は絶対に許せない」
「ぱっと明るくなりました、希望の光です」
利代さんの姉・天海さんは、21年間にわたり情報提供を求めてきましたが、事件は未解決。そんな中、26年前の高羽さんの事件が急展開したことを知ったのです。
(天海としさん・11月5日)
「ぱっと明るくなりました。もうこんなにうれしいことがあるんだって。希望の光です。時効が撤廃されたことによって、うちの事件も必ず捕まる、そういう気持ちで挑める大きな一歩だったと思っている」
新潟市で起きた殺人事件も未解決です。2009年、タクシー運転手の阿部次男さんが殺害され、売上金が奪われた事件。夫をなくした女性は。
(阿部さんの妻・11月1日)
「26年たって、こういうこともあるんだなと思って、元気をいただいたり、私も頑張ろうと思ったり、反省したり、いろいろな気持ちに、強い気持ちに変わりました」
ただ、未解決の殺人事件は全国で350件以上残されています。
(高羽悟さん・11月3日)
「時効が撤廃になったからといって、それが解決したように思うのは錯覚。なにか活動したり、いろいろなチャンスがないと難しい。早い段階から科学的捜査をもっと導入してもらわなければならない」





