
自治体向け“クマ保険” 10月時点で約200の自治体が加入 「緊急銃猟」による建物損壊などを補償 被害"過去最悪"で自治体のクマ対策を後押し

全国でクマ被害が相次ぎ、2025年度のクマによる死者数は統計開始以来で"最悪"を記録。各地で深刻な事態となっています。
岩手県では露天風呂の清掃中に襲われたとみられるケースや、群馬県ではキノコ採りをしていた人が襲われけがをしたケースなどが報告されています。
東海3県も例外ではありません。10月5日には世界遺産の白川郷で知られる岐阜県白川村で外国人観光客がクマに襲われけが、同12日には岐阜県高山市で70代の男性がツキノワグマに襲われ、左腕を骨折するなどの大けがをしました。愛知県でも、ドングリが凶作でツキノワグマが人里へ出没する可能性が高まっているとして、県が注意を呼びかけています。
こうした状況を受け、9月1日に施行されたのが「緊急銃猟」制度です。
ツキノワグマなどが人の生活圏に侵入した場合、これまでは市街地での発砲は県知事の許可が必要でしたが、市区村長の判断で銃器を使用した駆除が可能に。より迅速に対応できるようになりました。
一方で、発砲に伴う損害などに対しては、自治体が補償する必要があるという新たな課題も生まれています。
そんな中、東京海上日動は、自治体が安心して緊急銃猟を実施できるよう「緊急銃猟時補償費用保険」を新たに開発しました。
この保険は、緊急銃猟の実施により損失を受けた人に対して自治体が支払う損失補償費用を、3000万円を限度に補償するもの。補償内容は、発射した弾丸により建物などが損壊された場合や、損壊がなければ得られていた利益の支払いなどが想定されています。
保険料は地域によって異なりますが、年間10万円程度となる見込み。環境省の指定管理鳥獣対策事業交付金の活用も可能です。
同社によると、7月から加入受付を開始したところ、8月時点で100を超える自治体から申込みがあり、10月21日現在では約200の自治体が加入しているということです。
担当者は「地域住民の安全の確保と、自治体の経済的負担の軽減を図り、社会課題の解決に貢献していく」としています。
寒さが厳しくなる季節まで、クマが活発な時期が続きます。今後も引き続きクマへの警戒が必要です。