
増える“無人販売” 起源は2000年前のエジプトで生まれた自販機 今や古着・スイーツなど市場急拡大

人手不足や物価高が進む中、増えているのが無人販売です。
若者に人気の古着、そしてスイーツも、市場規模が急拡大している無人販売の実態を追いました。
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まず最初に訪れたのは、愛知県内で3店舗を展開、名古屋市千種区にある古着の無人販売店「セルフ デ フルギ」です。
店内にはニットやカーディガン、ジーンズなど商品が所狭しと並んでいます。
値段はほとんどが500円から1000円という安さです。
そこへお客さんが来店しました。初めて来たという20代の女性2人です。
(女性客・20代)「人目を気にしなくてもいい。品ぞろえがいい。普通の古着店より多い」
じっくり品定めをして…合計6点、5000円のお買い上げとなりました。
(女性客・20代)「すてきなものを安く買えてうれしいです」
支払いはQRコード決済か料金箱への現金払いです。
ここで並べている服は破れなどはなく、まだまだ着られる品ばかりですが、ブランド品などではなく有人店舗では値段がつかなかったものです。
普段はここにいない店長さんに伺いました。
(セルフ デ フルギ 尾関正樹 代表)
「元々リサイクルショップに関わっていて、お客さんがお持ちいただく服で店に並べられる服は1割2割だったので、(売ることができない)服を売る方法がないかと店を始めました」
国によると1年間に廃棄される衣料品は実に73万トン。お客さんにとっては格安で、ゴミ削減にもつながる一挙両得のビジネスです。
スイーツの無人販売店、24時間営業可能だが窃盗被害も
一方、スイーツの無人販売店もあります。
名東区の無人店舗「いつでもスイーツ 名古屋名東店」。支払いはPayPayと料金箱です。店内の冷凍ケースには全国各地の人気スイーツ約100品が並び、24時間いつでも買うことができます。
人件費がかからないため24時間営業も可能です。しかし、気になる問題もあります。
(いつでもスイーツ名古屋名東店 平工信介 代表)
「窃盗被害に遭い、商品を盗まれました」
この店は2024年3月、窃盗の被害に遭いました。店内の防犯カメラの映像には、帽子やマスクで顔を隠した男の姿が。
商品を手に料金箱へ立ち寄り、店を後にしましたが、その後金額を確認すると…料金を入れるふりをして実際は料金を入れていないことがわかりました。
店の被害届を受け警察はその翌月(2024年4月)、防犯カメラの映像から男を特定し窃盗容疑で逮捕しました。
男は容疑を認め、代金を支払ったということです。
(いつでもスイーツ名古屋名東店 平工信介 代表)
「入れたふりをしても、中にお金が入っているのが分からないので、常にお金を回収するようにしました。本当に今人材が集まらなくて、人に頼る時代ではないので、(無人店舗だと)営業できる」
25秒で「天ぷらうどん」できる自販機も…
さて、自動販売の元祖といえば、今や全国で390万台を超える自動販売機です。
起源は今から2000年前のエジプトにさかのぼります。
コインを入れると、レールの上を滑り落ち、その重みでレバーを押し下げ、ちょうどコップ半分の水が出る「聖水の自動販売機」。寺院などに置かれたといいます。
1957年には国産初の噴水型ジュース販売機が登場し、1969年にはビンを取り出し部分までスライドさせ引き抜く水平型自販機も登場しました。
こうしたレトロな自販機を徹底的に調べるユーチューバーもいます。
(自販機研究家 魚谷祐介さん(52))
「僕は全国の自販機店のオーナーと全て知り合いです」
魚谷さんは北海道から九州まで全国約250カ所のレトロ自販機を訪ね、本を出版したり、WEBで公開したりしています。
(自販機研究家 魚谷祐介さん(52))
「10代の頃から自転車やバイクで日本各地を旅していたんですね。食べ物の自販機にお世話になっていて、それが2000年代以降急激になくなってきて、なくなる前に写真とか撮っておきたいなということで(撮り始めた)」
誰でも見られるこのサイトでは、自動販売機の場所や実際の映像を見ることができます。
これは1975年頃に製造された麺類を自動調理する自販機で、お金を入れてわずか25秒で出来上がります。
(自販機研究家 魚谷祐介さん・52歳)
「自販機は機械なんですけど、その裏にいる人との出会いが魅力なんです。自販機自体もメンテナンスが必要で、機械を大事に扱ってきたところだけが残っている」
2分で花形のかわいい“綿あめ”つくる自販機も
一方、今やこんな自販機もあります。
ロボットアームが動き、高速回転するステンレス製の筒、アームの先についた棒で綿あめを作る全自動のロボットです。
味や形など40種類以上、タッチパネルで好みの商品を選び、わずか2分で花形の綿あめが完成します。
(ディレクター)
「サイダーの味がします。レモンに、いちご。3種類の味が楽しめます」
(HAPREAT 森下光 代表)
「無人で販売してくれるので人件費がかからないというのがメリット。人を育てるのに時間がかかるが、機械なら(綿あめを)安定的に作ってくれます」
2000年前の自動販売機に始まり、今や様々なビジネスに広がる無人販売。
犯罪などの課題はありますが、人手不足が止まらない中、さらに増えていくことは間違いありません。