激減する漁業就業者 1人の漁師が女性チームを結成、ペット用鮮魚パックを販売 アイデアで業界を活性化
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男性が多い漁師の世界で、三重県熊野漁協では女性の漁師が活躍しています。慣例にとらわれないアイデアで業界を支える、1人の漁師に密着しました。
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三重県熊野灘の定置網漁。男性ばかりの漁師の中に1人、女性がいました。2018年に熊野漁協で初めて誕生した漁師・田中りみさん(44)です。
田中りみさん:
「漁師になるときに、女の子の漁師のグループをつくりたいという思いがあった」
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農林水産省によると、国内の漁業就業者の数はこの50年で約4分の1にまで減少しています。人出はいくらあっても足りませんが、それでも女性の漁師はほとんどいません。
男性の漁師:
「女の神様(海の神様)が嫉妬するからと言われる」
「力仕事がメインだったので昔は。なので女性が(漁に)入ってきても、足手まといだと言われたり……」
女性だけの漁師チームを結成
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田中さんは女性だけの漁師チームを結成しました。仲間に加わったのが漁師歴1年の奥西美紀さんと、4年の薮本やよいさんです。チームの結成にあたり田中さんは、非力な女性だけでも漁ができるようにと、網を工夫しました。
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一般的な定置網は、水深50メートルぐらいまでおろせる長い網ですが、その分重く、これを5分の1の長さに短縮したことで軽量化に成功。
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さらに、ロープも細くしたことで、手の小さい女性でも握りやすくなりました。
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奥西美紀さん:
「重いときもあるけど、やりやすいように改良してくれているので、子どもでも女子でもできますね」
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薮本やよいさん:
「(漁は)きゃっきゃ楽しすぎて、りみちゃん、また(漁に)行こ~みたいな」
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田中りみさん:
「女性で漁師になりたいと思う子たちが、“なりたい場所でできるように”全国にこういうことをやればできるというモデルづくりをしたい。1人でも多くの女性に水産や漁業に興味をもってもらい、漁師になってもらえたらうれしいです」
ペット向けの鮮魚パックを販売
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浅瀬で行う田中さんたちの漁で獲れるのは、ほとんどが小さい魚。そこで田中さんたちは、市場に水揚げしない魚を加工しています。
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市場で売れない小さな魚を加工して、袋詰めし、真空パックに。これは「ペット向けの鮮魚パック」です。2021年12月からインターネットで販売を開始。2023年1年間に、3500万円の売り上げを上げました。
これには、漁師仲間も「今までなかった発想とかがどんどん取り入れられて、(業界が)少しずつ変わってきたと思う」と話します。
日本経済新聞社 名古屋支社 山名 直花記者:
「現在、日本の漁業は担い手不足と高齢化で危機的な状況にあります。古い慣習や伝統の決まりに縛られない女性の発想は、業界が抱える問題の解決に向けたヒントになるのではないでしょうか」