「妻は帰ってこない」事件から26年 容疑者の逮捕で迎えた初の命日、被害者の夫が胸中を語る

1999年11月に発生した名古屋市西区の主婦殺害事件は13日に26年を迎えました。
被害者の高羽奈美子さん(当時32歳)の夫・悟さんが13日朝、奈美子さんの命日に心境を語りました。(以下、インタビューの全文です)
「謝罪はいらない」
Qきょうで、発生から26年で心境は
A昨年までですと、この時間から名古屋駅に行って「宙の会」で手伝ってくださる方がみえますので、そのあと西署へ表敬訪問して、「これを最後のビラ配りで来年は集まらないようにしましょう」と約束してビラ配りしていたんですが、ついに念願かなって、やらなくて良い日がきたということで喜んでいたが、逮捕されてからメディアが多くきて少し落ち着くには時間がかかるかなと思うが、犯人(容疑者)を捕まえることができて、やっと最初の命日を迎えられてよかったと思います。
Qこれまでの命日の過ごし方ときょうの違いは
A通常だったら、住職が来て月参りと言って午前中来てくれてお参りしてという流れだが、今回はちょっと無理なんで住職に断って、取材に答えられるように。ありがたいことに皆さんから声かけてもらえるので、取材を受けようかなと思っています。
Qビラ配りは事件直後からやっていた
Aビラ配りは10年たったくらいからで、1年目からガンガンやっていたわけではない。私の方がメディアに出て、西署の番号をテロップで出してもらって、西署に情報がいく形でやっていた。他の遺族との話で、ビラ配りは警察の方から提案がくるよと言われびっくりしてからは、毎年やってもらっている。
Q朝をむかえて、奈美子さんへの報告は
A残念なことに全然、犯人(容疑者)の供述が得られていないので、具体的な報告ができていないので、早くそんな日が来ることを待つしかないかなと思っていますけれども。
Q容疑者が取り調べを拒否している状態かと思うが、いま強く願うことは
A強く思っていることは、どんなに謝ってもらっても奈美子は帰ってこないので、謝罪はいらない。そのかわり裁判に向けて正直に話して、早く裁判を終わらせて、一審で確定させて早く刑務所に入ってもらいたい。それが最後の私たちに対する誠意かなと思っていたが、いまは絶望的な感じなので。26年待ちましたから、裁判が3年5年と伸びても、しょうがないなと思っていますので、まだまだこれからやっていきたい。
26年借り続けた部屋を手放すときは…
Q言葉としては奈美子さんにどんな言葉をかけたい
A今かけるとすればお詫びするしかないなということで、自分のせいでこんなことになってしまってとりかえしのつかないことをしたなと思っている。周りはみんな息子の奥さんや姪っ子は、「おじさんのせい、お父さんのせいではないんで責めないで」と言ってくれているので、そこはありがたいなと。
Q27回忌法要時は「区切りがついた」という話もあったが、命日迎えて区切りがついたと思う
A26年やってきたので、犯人(容疑者)逮捕を聞いた時は一区切りかなとは思ったが、こんな風な展開になると思っていなかったので、今は中途半端だなと。
Q26年借り続けた部屋を手放すときはいつ区切りがつけられると思う
AいまDNAの遺伝子情報を使いたいということで、我々(「宙の会」)は訴えてきた。私個人も思っていることなので、「宙の会」にどうしましょうと相談したら、「本当は維持してほしいが、高羽さんの維持管理の費用考えたら、無理強いはできない」という回答がくると思うので、今回は自分の方から当面、めどがつくまでは借り続けようかなということで答えたので、引き続きDNAが採れても捕まえられていない世田谷だとか、柴又の女子大生殺人事件とかもあるので、私のアパートを使って、メディアに取り上げてもらって世論に訴えていただきたいと思っている。26年間お世話になりましが、今後もご協力いただけたらと思います。
Q容疑者の逮捕から2週間たって心境の変化は
A26年間やってきて、手応えがなかったので、これは捕まらないなということを頭の半分にはそういう意識があって、ただこのままでは引き下がれないので、せめて枕を高くして寝させないということで、息子とやってきたことなので。容疑者の逮捕を聞いた時は喜んだが、なかなかその後思うようにならないので、そこは残念。
早く判決をもらい刑務所に行ってほしい
Q容疑者は当初認めていたものの今は取り調べに応じない、求めたいことは
A先ほど言いましたが我々に対する誠意というと正直に真実を話して早く裁判を開いて、早く判決をもらって刑務所に行ってほしいというのが願いでしたので、それが叶わないなということがよくわかった。黙秘権は憲法で確保されている被疑者の権利なので、そこはどうのこうのいうつもりはありませんけどもやっぱり自分の保身しかないなという気持ちでいます。だから反省していないじゃないかなというふうに思っています。
Q奈美子さんにしっかり報告できるタイミングは
A裁判が始まっても原因がはっきりするかわからないので、裁判通してある程度事実がわかってからということになるかもしれません。それが裁判がいつくらいに開かれるかどうか。最初の公判が1年以上かかるケースもあるからそこは受け止めてイライラしないようにしたい。
Qこれまでのべ何枚くらいビラを配ったのか
そこはわからない。西署に問い合わせていただければ。
Qビラを受け取ってくれた方へのメッセージ
Aビラを受け取っていただいた方だけでなく警察関係者、マスコミの皆さん、地元の被害者遺族の団体「宙の会」の皆さん、いろんなところでお世話になりました。幸いにも私以上に喜んでくださる方がたくさんいるので、そういう方から元気をもらえますし今後もしっかりやっていかないといけないなと考えています。
未解決事件、自分の気持ちを奮い立たせて…
Qきょうを迎えるにあたって航平さんと何かやり取りをしたか
A正直、何もしていない。彼も仕事をしているのであまり負担をかけないようにということで。
Q今までのビラ配りや命日を迎えるにあたり航平さんとやり取りしたことは
A特別に(ない)。「来れる時に来てくれればいいよ」と土日の時の時は手伝ってくれたと思います。平日の時は学校や仕事がありましたので、今は東京にいるので来るのも大変なので最近は一緒にやっていなかったと思います。
Qビラ配りをしない命日なのだと実感した
A実感はあるのですが、ただ、きょうのスケジュールを考えるとめちゃめちゃしんどいので。本当に、私は芸能人ではないのですが、こんなに忙しい毎日が過ごせているのは皆さんのおかげかな。本当にメディアの皆さんにはお世話になりましたので、少しは恩返しというか、させていただかないといけないので。なるべく公平には出たいが、どうしても体が1つなのでみなさん公平になかなかできないので、そこはご容赦いただきたい。
私から一言言わせていただくと、昨日も大阪のテレビ番組に出演して、大阪にもたくさん未解決があったので、全国の未解決事件の遺族の人には私のように26年かかっても解決することもあるので、ぜひ、自分の気持ちを奮い立たせて自分の事件も解決するのではないかと思っていただきたいと思うし、呼んでいただければそういう遺族の方に会って激励していきたいと思いますので、みなさんも未解決事件、大阪や東京だけでなくて、知る機会があれば同じように報道していただければありがたいと思っています。





