激減した名古屋城のシカ 70年代は50頭超えも現在は2頭しか…京都から受け入れ案が浮上

名古屋城のお堀に住みつくシカ。このお堀に、新たに京都からシカを受け入れるプランが浮上しています。いったいなぜ?
「秋分の日」の23日は、長く続いた暑さも和らぎ、秋の訪れを感じる一日に。
名古屋のシンボル・名古屋城も観光客で賑わっていました。
その名古屋城の本丸エリアを囲むお堀にいるのが、シカです。
江戸時代から飼育の記録

「名古屋城のお堀の中で、シカが出てきました。先ほどまで茂みの中に隠れていたのですが、今1頭のシカが餌を食べにきています」(石神愛子アナウンサー)
突然現れたシカを写真に収めようとする観光客や、シカを見ようとのぞき込む人も。
「名古屋でシカを見られると思っていなかったので、いい思い出になりました」(兵庫県から来た観光客)
「(お城のお堀の中にシカがいるのは)ちょっとびっくり。なんでいるんだろうと不思議ですね」(千葉県から来た観光客)
名古屋市によりますと、江戸時代には名古屋城で飼育されていたという記録が残っていて、1970年代半ばには50頭を超えていたといいます。
しかしその数は激減。この13年間、お堀にいるシカは2頭だけという状況が続いています。
両方メスのため繁殖は期待できず、寿命などから5年ほどで名古屋城のシカが“絶滅”する可能性も…。
この状況を知った名古屋市の広沢一郎市長は、6月の名古屋市議会でこう述べました。
「多くの来場者に親しまれていますので、シカがいなくなってしまう事態は避けたい」
京都の女性の訴えが名古屋市議会に

このことが報道されて以降、「シカをもらってくれないか」という提案が名古屋市に多く寄せられたといいます。
京都に住むある女性の訴えは…。
「シカが全頭殺処分の対象となってしまった。どうか1頭でも命を助け、生きられる場所を与えていただけないか」
京都市によりますと、京都市の宝が池付近では野生のシカによる農作物の被害などが深刻化。殺処分せざるを得ない状況になっているといいます。
声を上げた女性からの相談を受けた市民有志が、名古屋市側へ接触。
22日の定例議会では、議員からの質問も。
「京都・宝が池公園のシカを助け、名古屋城で引き取ってあげてはどうでしょうか」(自民党名古屋市議団 浅井正仁 議員)
これに対し、広沢市長の答弁は…。
「京都市からは年内に殺処分されると聞いているので、11月には保護できるように調整し、12月を目途にできるだけ早く名古屋城に迎え入れることができるよう、課題解決に向けて最大限努力をしていく」
定例議会後、京都の野生のシカの受け入れを提案した市民有志が、市長を訪問しました。
「シカの命をつなぐ選択肢を探していく。今回はいい事例としてなんとか成功させてもらえたらなと願っています」(「神鹿を守る有志一同」福井いづみ 副代表)
「本会議の答弁は重いものですから、全力で取り組みますので」(広沢市長)
京都市に生息する野生のシカについて、名古屋市はシカの健康状態などを確認してから、現在名古屋城にいるシカに影響がないように迎え入れるとしています。
「(シカが増えると)うれしいですね。楽しみが増えます」(千葉県からの観光客)
「保護の目的で、一石二鳥だと思います」(名古屋市民)