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「父が落とした爆弾かもしれない」米軍のB29乗組員だった父親 遺品から見つかったのは…1枚の名古屋空襲の写真 息子が考える戦争責任【戦後80年】

CBCテレビ
08.15(金)07:02

7800人が犠牲になった名古屋空襲。アメリカ軍の爆撃機B29の乗組員だった父親の戦争責任を考える、アメリカ人男性の複雑な思いを取材しました。

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今年3月、ある男性の来日に密着しました。

(ボブさん)「不発弾の種類はなんですか?」
(記者)「焼夷弾です」
(ボブさん)「焼夷弾なんですね。アメリカでは(不発弾を)見たことがありません」

男性はアメリカ・ニューヨーク州に住む、ボブ・フレミングさん75歳。弁護士として働いたのち、アーティストとして絵画や映像制作を行っています。

ボブさんが訪れたのは、名古屋市中区のビルの屋上。目の前では、太平洋戦争時の不発弾の処理作業が行われていました。

(記者)「3月19日に父親は上空を飛行していた」
(ボブさん)「もしかしたら父が落とした爆弾かもしれない」

シリアル番号などから父が出撃した日と重なる

26年前に亡くなった父、ロバート・フレミングさん。終戦の前の年の1944年、アメリカ陸軍航空隊に入隊し、爆撃機B29の乗組員として、東京や九州など日本列島を合計32回爆撃。うち6回は名古屋への攻撃、7800人が亡くなった、いわゆる「名古屋空襲」でした。

シリアル番号などから1945年3月19日、B29が落とした焼夷弾と特定されたこの不発弾は、父ロバートさんが名古屋に出撃した日と重なります。

(ボブさん)「80年前に父が(上空で)何を感じたのか理解するのは難しいですが…とても心動かされる光景です」

ボブさんが、名古屋空襲と向き合うきっかけになったのは、父の死後、遺品から見つかった“ある写真”。

なぜ、父は名古屋空襲の写真だけを保管?

「NAGOYA」と書かれ、日付は1945年3月12日。名古屋への空襲を、上空からレーダーを通して撮影されたものです。

父はなぜ、名古屋空襲の写真だけを保管し続けていたのか?その疑問から、ボブさんは長い歳月をかけて父の飛行記録などを調べ、一本の映画を完成させました。

真っ赤な画面で戦争を語るのは、ボブさん自身が演じる父ロバートさん。自ら父親を尋問する形で、戦争責任を追及していくストーリーです。

タイトルは「しがみつき、燃え続ける”名古屋消去”プロジェクト」。

名古屋で映画を上映するために来日したボブさんは、空襲の体験者に会いました。今は愛知県春日井市に住む、森下規矩夫さん87歳。

2人が落ち合った名古屋市東区のバンテリンドームは戦時中、航空機のエンジンを作る三菱重工の大工場があり、爆撃の最重点目標とされた場所。ここでも多くの犠牲者がでました。

(名古屋空襲を体験 森下規矩夫さん)
「当時の三菱重工は戦闘機のエンジンを生産していました。私の父がここで働いていました。私の家はこの辺りにありました」

(ボブさん)
「はじめは軍需工場を狙って爆撃していましたが、のちに全てを破壊するようになったんですね」

「友人を失う感覚がわかりました」

アメリカが無差別爆撃を行った戦争末期。今なお名古屋の市街地で見つかる不発弾が、その事実を物語ります。

ボブさんの映画には、父・ロバートさんが残した手紙のこんな言葉が…

「正直なところ、私が何に足を踏み入れたのか、ほとんどわかっていません。私たちの多くはそうでした。それが実際に起こるまでわからないものです。この取引で友人を失う感覚がわかりました。一日彼らが一緒にいて、次の日にはいなくなります」

「友人を失う感覚」「次の日にはいなくなる」それは、名古屋空襲で被災した森下さんにも…

(森下さん)
「昨日まで一緒に遊んでいた友達はみんな消えちゃった。虚無感や寂しさはいつも胸に突き刺さっていた」

「防空壕の中で震えていた」

この日、名古屋の戦争資料館「ピースあいち」で、豊田市の高校生に向けて戦争体験を話します。

(森下さん)
「操縦席が見えるほどの低空を悠々と飛行するB29を見ていました。ジュラルミンが輝いてキレイだった。本当にキレイだった。『キレイだなぁ』と言ったら姉に怒られました。『敵の飛行機だ』と」

自らの体験を描いた絵を交え、これまで15年以上に渡り、80回以上の語り部活動をしてきました。

(森下さん)
「何が起きているかわからない、どうしたらいいかわからない。防空壕の中で震えていただけですね。早く終わってほしい、早く終わってほしい…こんなことは誰にも経験させたくないし、私も二度としたくない」

戦後80年を迎えた中、気がかりなのは戦争の「風化」です。

(森下さん)
「あと20年たてば1世紀。私の生きている間は戦争を繰り返すようなことは何が何でも起こらないように、そのために努力したいと思っています」

ボブさんもまた、あの戦争を語り継ぐ活動を続けていました。帰国後、新たに4枚の絵を描き上げたのです。地面にひれ伏す坊主頭の人たち。「こんなはずではなかった」という名の絵です。

メールではボブさんのこんな想いが寄せられました。

「世界は第2次世界大戦以来、最も多くの危機に直面しています。私はその個人的な状況に向き合うイメージを描きたいのです」

生前、戦争を語らなかった父の遺品から始まった戦争への問いかけ。日米両国で、戦後80年を語り継ぐ人たちがいます。

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