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射殺命令出るも園長が必死の訴え…太平洋戦争中に命を守られた2頭のゾウ 学生たちが伝える“知られざる歴史”

東海テレビ
08.15(金)07:26

 名古屋市の東山動物園には、太平洋戦争中に命を守られた2頭のゾウがいました。一方で、ライオンやクマなどの猛獣は「空襲時に危険」として殺処分に。猛獣処分の命令が出る中、飼育員たちが懸命に守った命と奪われた命。その知られざる歴史を、大学生たちが映像で伝えようとしています。

■慰霊碑に刻まれた記憶…奪われた命と守られた命

 日本有数の飼育頭数を誇る名古屋市千種区にある東山動物園には、多くの親子が訪れます。 来園者: 「子どもが好きなのでよく来ます」 別の来園者: 「普段見られない生き物が見られて、子どもたちと思い出を作る場所ですね」

子どもの頃のドキドキを、大人になって今度は自分の子どもたちに。「命ある」動物たちの姿が、たくさんの思い出をつないできました。

園の一角に、亡くなった動物を弔う慰霊碑があります。そこには、鼻を高く上げたゾウと、それを振り返るライオンの絵が描かれ、動物園の“歴史”を静かに伝えています。 1937年に開園した東山動物園には、木下サーカスから迎えたゾウ4頭をはじめ、ライオンやキリン、ホッキョクグマなどが集まり、“東洋一の動物園”とも呼ばれました。

しかし、開園から4年後の1941年、日本は太平洋戦争に突入。その頃に撮影された、1枚の写真があります。ライオンに向けられた、いくつもの銃口。名古屋空襲が激しくなる中、軍は「檻から逃げれば危険」として、園に「猛獣類の射殺命令」を出しました。

そんな中、園長の必死の訴えにより命をつないだのが、慰霊碑にも描かれているゾウたちでした。

■学生たちが見つめた「戦争とゾウ」…映像制作で歴史を未来へつなげる

 戦後80年を迎えた2025年。椙山女学園大学で映像制作を学ぶ4年生の徳毛琴音さんと石川莉彩さんは、ゼミの活動の一環として「戦後80年」をテーマにしたドキュメンタリーの制作に取り組んでいました。 注目したのは、先輩が広報映像を作るために取材してきた「東山のゾウ」です。

徳毛さん: 「東山動物園のゾウだけがずっと殺されずに残っていた事実を知らない人たちがいっぱいいると思うので。“自分ごと”として、映像を通して戦争について考えられたらいいな」 いつかは途絶える「戦争を知る、生の声」。しかし、「語り継がれてきたこと」を映像に残せば、これからも「知り続ける」ことにつながるかもしれません。

■映像で未来へ語り継ぎたい…戦争と命の記録に挑む大学生たち

 2025年5月、徳毛さんと石川さんは、取材のため東山動物園を訪れました。 白木副園長: 「ここだけなので、戦前から戦後まで途切れずにアジアゾウを飼っている日本の動物園は」

取材では、戦時中に動物たちが殺処分された歴史について話を聞きました。 白木副園長: 「猛獣処分の命令に従わないことは国に背くということ。“人の命が…”という中で、動物を優先するのかという価値観もある中で、最初ライオンは職員が自ら絞め殺した。空襲で危機感が強まった中で、次はクマやライオンを射殺しろと」 「愛情を注いできた動物たちを、飼育員が殺すしかなかった」。戦争がなければ、なかったはずの出来事。その現場となったのが、今も残るライオン舎です。

白木副園長: 「このライオン舎は戦前からある。この写真が撮られたのは、この獣舎。実際こちらでライオンが殺された」

戦争前、園には279種の動物がいましたが、終戦時にはゾウやチンパンジーなど、わずかしか残っていませんでした。では、なぜゾウは戦争を生き抜くことができたのでしょうか。 白木副園長: 「当時の北王園長はじめ飼育員さんが“ゾウは猛獣ではない”と一所懸命に嘆願を」

サーカス出身で芸を披露できたゾウの「エルド」と「マカニー」。北王園長は「人の言うことを聞くゾウは猛獣ではない」と主張し、2頭の命をつなぐことができたのです。 戦争を生き抜いた2頭のゾウの姿をひと目見ようと全国から子どもたちが来園し、国鉄は「ゾウ列車」と呼ばれる特別列車を運行したという記録も残っています。

石川さん: 「実際にゾウを見て、より実感が湧きました。話も聞けて、より自分たちの映像への思いが深くなった」 徳毛さん: 「普段は動物を“可愛い”とかしか思っていなかったけど、話を聞いていつもの場所がちょっと違う見方になった」 徳毛さんと石川さんたちは、取材映像と先輩たちの記録映像を合わせて、25分の作品を完成させました。

■映像で戦争の記録を未来へ…「ゾウの物語」が語る平和の尊さ

 2025年7月、名古屋市名東区の「戦争と平和の資料館 ピースあいち」で上映会が行われました。

上映を見た女性: 「戦前のゾウの話から今に至るまでの命の尊さを見ることができて、すごいなと」 ピースあいちの館長: 「人が語ることも大事ですけど、“戦争を伝える”ことが色々な形で可能なんだと思いました」 映像に残し伝え、継ぐ。見た人にしっかりと伝わっていました。 石川さん: 「こんなに多くの人に見てもらえると思っていなくて。戦争とゾウの物語について、知ってもらえたらいいな」 徳毛さん: 「動物を殺さないといけない状況にあったと知って、映像を通してもっと戦争について、身近なところにも危険が迫っていたことをいろんな人に知ってもらえたらいいな」 学生たちが伝えた“命の物語”は、次の世代へと静かに語りかけています。 2025年7月8日放送

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