
松阪牛を使い日本一へ…高校生が料理の腕競う『ガストロノミー甲子園』連覇目指した地元の三重・相可の“最後の夏”


2025年も熱戦が繰り広げられた夏の甲子園、三重県でも未来の料理人たちが腕を競う「もう一つの甲子園」が行われました。連覇を狙うのは「高校生レストラン」で知られる三重県の相可高校、青春を料理に捧げる2人の“最後の夏”を追いました。
■“高校生レストラン”モデルの強豪 「食の甲子園」連覇挑む
三重県多気町のリゾート施設「VISON(ヴィソン)」に、白衣姿の“未来の料理人”が集まりました。高校生が料理の腕を競う「ガストロノミー甲子園」には、全国から選ばれた7校が参加し、頂点を目指します。

2024年の第1回優勝校、三重県の相可高校は、かつてのテレビドラマ「高校生レストラン」のモデルとしても知られています。今回は3年生の佐々木樹季君と宇井真優君が参加し、連覇を狙います。

宇井君: 「2連覇目指して頑張りたいです」 佐々木君: 「先輩もここで優勝されているので、僕も優勝目指して頑張りたいと思います」 「ガストロノミー甲子園」では、あらかじめ決められた食材を使ったメイン料理と汁物、ごはんのセットメニューを作ります。2025年のメイン食材は「松阪牛」です。

前日にそれ以外に使用する食材も発表され、参加前日のうちにレシピを考え、決められた予算内で食材を調達。大会当日に、メイン・汁物・ごはんのセットを3人前作ります。前日の食材の発表から調達までに与えられた時間は、およそ3時間しかありません。

相可高校の2人が予算に頭を悩ませながら選んだのは、定番の「すき焼き」です。食材や調味料は、東京ドーム24個分の広さを誇るヴィソンの敷地内で調達します。 買い出し担当の佐々木君は、すき焼きのために、どうしても手に入れたかったものがありました。 佐々木君: 「トマトジュース。煮詰めて余計な水分を飛ばして、隠し味に入れてみたい」

すき焼きに、まさかの『トマトジュース』。隠し味として入れることで、肉の旨味が一層引き立つそうです。 そして、すき焼きに合う「ごはん」のコメ選び、お目当てのものがなかなか見つかりません。

広い敷地内を走って移動しながら、ようやく見つけたのが三重県産の「結びの神」です。

相可高校が運営しているレストラン「まごの店」でも使っている品種で、もちもちとした食感に、肉の旨味に負けない甘味を感じられます。 佐々木君: 「無事に手に入れました、ゲットです。あぁよかった」 何とかお目当ての食材が見つかり、ホッとした笑顔をみせました。
■独創的な「松阪牛」メニュー ハイレベルな戦い制したのは
迎えた大会当日。各校の調理がスタートしました。調理時間は100分で、味や見た目だけでなく、手際の良さや衛生管理も審査の対象となります。

相可高校のメインは「すき焼き」。隠し味のトマトジュースを投入し、味見をすると…満足できる出来に仕上がったようです。

前日探し回った「結びの神」も、ふっくらと炊き上がりました。制限時間が迫り、ギリギリまで追い込まれながらも、2人が魂を込めた料理が出来上がりました。

相可高校のこだわりのメニューは、メインの「松阪牛のすき焼き」に、汁物はさっぱり味わえる「松阪牛のしゃぶしゃぶ椀」。そして、「結びの神」のごはんと、素材の味を最大限に生かすように工夫しました。 そして結果発表。3位には九州沖縄地区の代表、鹿児島県の神村学園高等部が選ばれました。 準優勝は三重県の相可高校、惜しくも連覇はなりませんでした。 優勝したのは中国四国地区のおかやま山陽高校。

三重県産のアオサノリなどを使ったメニューで、肉を巻いた「松阪牛の晴れ巻き」などを作りました。

優勝校は副賞として、美食の街として知られるスペイン・サンセバスチャン市で料理研修が受けられます。 準優勝の相可高校も、三重県の癒しと食のリゾート「アクアイグニス」で研修が受けられます。 佐々木君: 「食材1つ1つの切り方や味の付け方をもっと深掘りして、もっと1つ1つに意味を持たせるべきだったなと思いました」 宇井君: 「生産者さんの思いとか、どういう感じで使ってほしいのかというのを考えながら料理をして、それをお客さんに知ってもらえるように料理していきたいなと思います」

全力を出し切った“最後の夏”、貴重な経験を糧に、一流の料理人を目指します。 2025年8月26日放送