名鉄電車の鉄道模型、屋根や配線を作り完全再現! HOゲージを改良して思い出の車両を作ってみた
精密なディテールと走行する姿で、実際の情景を思い起こさせてくれる鉄道模型。今回は、鉄道模型の中でも大きくて実車の雰囲気により近づけられる、約1/87スケールのHOゲージを使って、思い出に刻まれた車両を現代に蘇らせる手順をお届けします。
●廃車になった名鉄3730系をよみがえらせる
柔らかい真ちゅうなので、比較的加工しやすい。
1960年〜1990年代まで活躍していた名鉄3730系。市販のキットもありますが、ディテールに甘さがあるので、手を加えることでより実車に近づけることができます。キットは金属製ですが柔らかい真ちゅうなので、比較的加工しやすいです。
キットは扉の奥行きが再現されておらず、ややおもちゃのような印象に。
参考にするのは実車の写真。扉一つをみても、情報量が足りていないのが分かります。
真ちゅうのキットを金切りのこで切り抜く。
いったんキットの扉を切り抜きます。金属加工用のドリルで穴を開け、そこをきっかけに金切りのこでカットします。
写真を参考に扉を自作。切り抜いた場所にハンダで貼り付けます。
(左)加工前、(右)加工後。加工前よりも立体感が増したのがおわかりいただけるはずです。
●名鉄電車のパンタグラフや配線を再現
(左)市販のキット、(右)加藤さんが手がけた鉄道模型
市販のキットでは、パンタグラフが再現されていても、その周りの細かい配線までは再現されていないことがあります。鉄道模型をはじめとするミニチュア模型は、上から見るのが基本。鉄道模型の屋根上のディテールが豊富だと、それだけで情報量が飛躍的に高まり、よりリアルさを感じられる仕上がりとなります。
鉄道模型の元となる実車写真。
配線パーツを自作するのに重要な実車写真。それを元に図面を引きます。
図面を参考に真ちゅう線を曲げる。
留め具が出来たら配管とともに取り付けます。配管は図面を参考に、真ちゅう線を曲げたものを使います。
●配管と留め具を組み付けて車体に取り付ける
ガイドに合わせて留め具を設置する。
車体に開けたガイド穴に合わせて、配管を通した留め具を設置。一度仮止めをし、位置調整しながらしっかり取り付けていきます。
天井の配管
天井の配管は非常に複雑。組み立て手順も重要です。
ヒューズボックスの取り付けが難関。強く湾曲した配線を再現しつつ、くっつけないといけません。
そのままだと真ちゅう線が曲げ加工に負けて折れてしまうことも。ライターであぶって加工しやすくしておきます。
無事ヒューズボックスとの接続もでき、配管作業も完了です。
●“赤い電車”に塗装して完成!
エアブラシで塗装し、足回りを組み立てたら完成間近。
行先プレートも忘れずに!
鉄道模型の走行シーンは実車さながらの迫力。
こうして完成したのがこちら。非常にリアリティを感じる仕上がりです。やはりパンタグラフ周りの配線を新規であしらっているのがよく効いています。図面を引いたり、金属を加工したりと、作業のハードルの高さは否めませんが、苦労したぶんだけの恩恵が大きいのも確か。こだわりの車両作り、ぜひ挑戦してみてください。