マツダ「コスモスポーツ」は50年以上愛される名車 25年乗り続けるオーナーに迫る
昔懐かしい名車を現代によみがえらせ、その魅力に浸るクラシックカーの世界。今回は、マツダが手掛けた日本を代表する名車、コスモスポーツと、それを大事に所有するオーナーをピックアップします。
●ロータリーエンジン初搭載の市販車「コスモスポーツ」
ロータリーエンジン搭載車といえば、日本を代表する自動車メーカー・マツダの代名詞。2012年にロータリーエンジン搭載車はマツダのラインナップから消滅してしまいましたが、2023年にプラグインハイブリッドモデルとして11年ぶりに復活し、話題を呼びました。
そんなロータリーエンジンを搭載した初の市販車が、マツダ コスモスポーツ。初登場は1968年。ロータリーエンジンを搭載していることに加えて、未来的で特異なデザインも注目され、『帰ってきたウルトラマン』のマットビハイクルに、ほぼそのままのデザインで採用されたことは有名なエピソードです。
●ロータリーエンジンとは?
ロータリーエンジンとは、簡単に言えばエンジン内部にピストンを設けず、回転するローターで動力を得ているエンジンのこと。通常のエンジンよりも部品数が少なく、単純な構造にできるため、コンパクトにすることができる反面、燃費が悪いというデメリットも持ち合わせています。
●約55年前のコスモスポーツを長く維持する山川さん
約30年前に1969年製のコスモスポーツを購入。購入時はサビだらけだったものを2年かけてレストアし、26年間修理と修復を繰り返しながら乗り続けています。
サビだらけだったとは思えないほど、エンジンルームが展示車のようにピカピカ。
さまざまな計器が配置され、飛行機のコクピットを彷彿とさせる運転席は、当時とても画期的でした。
チェックのシートはコスモスポーツたらしめるトレードマークの1つ。
オリジナル再現に準じて、当然エアコンは搭載されていません。夏は三角窓を開けてカバーしている。
●貴重なクラシックカーを長持ちさせるコツ
消耗するオリジナルパーツは使わない
半世紀以上昔の車なので、現存するオリジナル部品にも限りがあります。こうしたホイールの消耗が激しい部分にあしらわれたエンブレムは特に痛みやすいので、オリジナルを模した自作のステッカーに差し替えます。
オリジナルのホイール自体を履かないという方法もあります。オリジナルはスチール製ですが、似た形のアルミ製のホイールにすることもできます。
オリジナルパーツを維持するために、自作できる手段を持っておく
エンジンのパッキンのように、使わなくても自然と劣化する消耗品までオリジナルにこだわることはさすがに不可能。そういったものは代替え品や、代替え品がない場合は自作で対応できるようにしておく必要があります。
動かないオリジナルのウォッシャータンクと代替品。普段使うときは代替品で良いですが、いつでもオリジナルの状態を再現できるように、ちゃんと動くように手を入れます。
オリジナルのウォッシャータンクがうまく作動しない原因はスクリューのパーツが破損しているから。この部品だけが出回る確率はかなり低いので、自作パーツを用意します。
用意したのは、ホームセンターで販売している家具の滑り止めのゴム。これを切り出してスクリューパーツを自作。
出来上がったパーツを組み込んで駆動具合を確認。
ウォッシャー液をオリジナルタンクに入れる必要もないので、これで終了! きれいに作動するオリジナルパーツがあるということが重要なんです。
●まとめ
クラシックカーは、現代の基準では今後絶対に登場することのない魅力が詰まった貴重な車。はたから見ていて少々やり過ぎでは? と思えるくらいのこだわりで接してちょうどいいくらいで、そういうふうに突き詰めるのもとても楽しいです。コスモスポーツのような歴史的にも貴重な車ならなおさら。ファンミーティングが行われるくらい、現存車両があるので、どこかで見かけたらその魅力を味わい、新たなオーナーになる野望を持ってみてはいかがでしょうか。