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イタリアの名車フィアット500 2代目は苦労ばかりの超やっかいな車だった!

イタリアの名車「フィアット500」

エンジンが安定するのに5分以上待ったり、 運転するために細い靴を履いたりーー。 苦労ばかりの名車「フィアット500」ですが、「面倒だけど、かわいい」と愛してやまないオーナーが愛知県にいました! フィアット500の魅力とオーナーの思いを取材しました。


【動画はこちら】イタリアの名車「フィアット500」と付き合ったら人生が楽しくなった!

●「フィアット500」とは?

  • イタリアの国民車として大ヒットした「トッポリーノ」


    イタリアの国民車として大ヒット


イタリアの名車「フィアット500」の誕生は、約80年前までさかのぼります。初代モデルはイタリア語でハツカネズミを意味する「トッポリーノ」で、2名乗車のモデルながらもイタリアの国民車として大ヒットとなりました。


その後、大人4名が乗車できるように改良されたのが、1957年に誕生した2代目にあたる「チンクエチェント」と呼ばれるモデルです。丸みをおびた愛くるしいルックスから、映画やドラマ、アニメなどにも数多く登場します。


  • 車を運転する男性


    フィアット500オーナーの山田純平さん。偶然ショップで見かけたことを機に勢いで購入


今回密着したのは愛知県在住の山田純平さん。フィアット500に以前から憧れを持っていて、偶然ショップで見かけたのをきっかけに勢いで購入したそう。


●内装・車体の特徴

  • フィアット500の内装


    「なるべく当時の販売された形を残したい」というオーナーの山田さんの思いから、オリジナルの状態をキープ


フィアット500は軽自動車よりも小さい1300ミリほどの全幅とあって、足元が狭くてペダルがかなり寄せられている(オフセット)状態です。そのため、山田さんは運転の際に必ず幅の狭いクツに履き替えて出発するこだわりをもっています。


  • キャンバストップを開けて手を出す男性


    キャンバストップ仕様のフィアット500


そしてフィアット500のルーフ部分は布素材のキャンバストップ仕様。運転中に車内にこもるエンジン音を逃がすための苦肉の策といわれています。


【動画はこちら】イタリアの名車「フィアット500」と付き合ったら人生が楽しくなった!

●エンジンをかけるのも一苦労

  • イグニッションシリンダーにキーを挿す様子


    エンジンをかけるにはイグニッションシリンダーにキーを挿すほか、特別な儀式が必要


またエンジンをかける際にもフィアット500は、いまの車にはない儀式が必要です。フィアット500ではイグニッションシリンダーにキーを差し込んだら、シフトレバー付近のレバースイッチでエンジンをかける仕組みになっています。


  • 車内でレバーを引く様子


    エンジンは外気温に応じてチョークレバーを引いてから、スターターレバーを引く珍しい造り(乗車位置からみて左側がチョークレバー、右側がスターターレバー)


隣にはチョークレバーも存在し、外気温に応じて空気の吸入量を調節する必要があるなど玄人好みの仕様です。もちろん、エンジン音が安定するまでの暖機運転も儀式に含まれています。


●ギアチェンジが至難の業

  • ギアチェンジ


    現在のマニュアル車と比べても高いスキルが必要なギアチェンジ


さらにフィアット500は、かわいらしいデザインからは想像できないほど運転が困難な車といえます。


マニュアルシフトを巧みに駆使して変速しますが、現在の車のように部品の精度が高くないこともあって、ギアを何度も入れ直すこともしばしば。そのため、クラッチを切ってから一度ニュートラルにし、アクセルペダルを踏んでエンジンの回転数を上げてから再度クラッチをつないで変速するダブルクラッチは必須なのです。


  • オーナーが車のレバーとペダルを操作する様子


    巧みなシフトさばきとペダルワーク。オーナーの山田さんは慣れるまで相当練習した模様


シフトダウンにおいても、右足のつま先でブレーキペダルを踏みつつ減速しながら、同時にかかとでアクセルペダルを踏んで、エンジンの回転数を合わせる「ヒール&トゥ」を行うなど、レーサー顔負けのテクニックが必要です。


●ガソリンは目分量で入れる

  • フィアット500のガソリンタンクはボンネットの中


    フィアット500のガソリンタンクはボンネットの中


しかも給油シーンはユニーク! ガソリンタンクはボンネットの中に収められていて、タンクに直接給油する方式です。満タンかどうかの判断は目分量。タンク内のガソリンが見えてきたら給油をストップするルールなのです。


●まとめ

  • 純正部品


    純正部品のはずなのにぴったり着かないこともしばしば。トラブルも含めてイタリア車の魅力だと山田さんは言う 


フィアット500は発売から40年たった今でも純正部品が生産されている希少な車。フロントエンブレムを購入して交換を試みますが、部品の精度が良くなくてサイズが合いません。


しかし山田さんは「細かいことを気にしていたら、こういった車とは付き合えない」といいます。


  • ハンドル


    ウインカーのインジケーターは左側のひとつのみで、ざっくばらんな造りもイタリア車の魅力


むしろ山田さんのほうが車の性質に引っ張られて、面白く感じるまでになったそう。フィアット500は付き合うことによって、イタリア車ならではのおおらかな性格に変えてしまう魅力的な車かもしれません。