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刈谷の水素ステーションに「水素エンジンカローラ」登場 液体水素を液体のまま充填する実証実験

刈谷市にある「イワタニ水素ステーション 愛知刈谷」に姿を見せたのは、トヨタ自動車が開発中のレーシングカー「水素エンジンカローラ」。すると、特殊な装置から伸びたノズルをドッキングし、充填を始めた。



水素エンジンカローラ

トヨタ自動車と岩谷産業による水素エンジンカローラの実証実験とともに、水素社会実現に向けた取り組みを取材した。


【動画を見る】市街地にレーシングカー!そのワケは?

  • タンク


水素は-253度に冷やすと液体に変化する。体積は気体のときの800分の1。同じサイズのタンクでも気体より多くの水素を蓄えられるため、ほとんどの水素ステーションでは水素を液体で貯蔵している。


ところが、まだ液体水素で走る燃料電池車は開発されていません。そのため、わざわざ気体に変えてから充填。


  • トヨタ自動車 伊東直昭さん


    トヨタ自動車 伊東直昭さん


トヨタ自動車 伊東直昭さん:
「(液体なら)クルマの航続距離が伸びる。気体よりも明らかにエネルギー密度が高いので、それなりにポテンシャルがあります」


  • 液体水素で走る車が市販される未来に備えて行われた実証実験


液体水素で走る車が市販される未来に備えて行われた実証実験。水素ステーションの液体水素を、液体のまま充填できるのか「水素エンジンカローラ」で試す。使うのはトヨタ自動車と岩谷産業が共同開発した移動式の装置だ。「流量、圧力、温度を監視して制御しています」と伊東さん。この装置のノズルを、水素エンジン車とドッキングする。


  • 気化したガスを抜くノズルと、液体水素


トヨタ自動車 伊東さん:
「細いノズルは液体水素が入っていくジョイントになります。液体が入っていくと、タンクの中で気化するので、気化したガスを抜いて圧力を下げることで充填スピードを上げます」


  • トヨタ自動車 伊東直昭さん


充填は2分で無事に終了。この装置を使えば、既存の水素ステーションでも液体水素を充填可能なことが証明できた。


だが、伊東さんは「“液体水素ステーションができた”は言いすぎ」と語る。


「今回は1日だけ、特別な許可をもらって実証試験をしたという立ち位置だと思っています。こうした技術を高めて、水素の利活用を広げていきます」