気温が30度を超える日も増えてきて、これからの季節注意が必要なのが「熱中症」です。実は熱中症になった人は、その後、白内障になるリスクが2倍になるというのです。熱中症が目の病気に関係するのは何故なのか、対策と合わせて専門家に話を聞きました。
熱中症経験者は白内障に発症しやすい

熱中症と白内障の関係について研究したのは、名古屋工業大学と金沢医科大学の研究チームです。2010年から2023年の全国の医療保険加入者、約146万人のデータを分析しました。
熱中症になったことがない人の白内障の発症率のグラフによると、若い世代はほとんど発症していないのですが、年代が上がるにつれて発症する人が増えています。これに対して、熱中症になったことがある人は全体的に増えています。実はどの世代でも発症する人の割合が増えています。
30代の発症リスクは2.99倍

さらに研究チームが算出した、発症までの期間などを考慮した白内障の発症リスクは、30代が最も高く2.99倍、そして40代が1.87倍という結果が出ています。すべての年齢を平均すると、熱中症になったことがある人は、ない人に比べて白内障の発症リスクが約2倍だったということです。
なぜ熱中症で白内障に?原因は「水晶体」の変性

今回は金沢医科大学眼科学の佐々木洋教授に聞きました。ポイントは水晶体だということです。この水晶体というのは、クリスタリンと呼ばれるたんぱく質でできています。このたんぱく質は熱に弱く、目の温度が37度以上になると白く濁ってしまいます。例えるなら、卵の白身ですね。生卵は熱を加えると白く固まりますが、それと同じ現象が目の中でも起こります。

熱中症を発症して体温が42度近くまで上昇すると、目の温度も37度以上になってしまうためです。その結果、ほとんど白内障になることのない若い世代でも、発症の可能性があるということです。

将来的に白内障にならないための対策、対応も聞いてきました。まずは、首や脇などと一緒に目を冷やすということが重要になります。どのくらいの時間、どこを冷やすかなど、具体的なことは今後研究していくということなのですが、目を閉じて、まぶたの上に冷たいタオルを当てるといいとのことでした。
今すぐできる目の暑さ対策

佐々木教授によると、何より重要なのは暑さ対策です。目の温度を37度未満に保つことが大切になります。例えば気温が19度の場合、目の温度は35度ほどですが、気温が40度になると目の温度は37.5度となり、37度を超えてしまいます。そのため、室内ではエアコンを活用して、室温28度以下を保つようにしてください。そして屋外では、日傘やつばの広い帽子をかぶって、目元を日陰にするというような工夫が大切になります。
サングラスは「赤外線カット」を選ぶ

最近は強い日差しから目を守るためにも紫外線を防ぐためにもサングラスをかける方がだんだん増えてきていますが、サングラスも大切になります。その際、紫外線カットだけでなく、赤外線もカットできるものを選ぶことが重要です。紫外線カットのみのレンズでは、熱(赤外線)を防ぐことができないためです。
そこで、赤外線もカットされているものを選ぶと、目の温度は0.5度下がるとのことなのです。大切な視力を守るためにも、本格的な夏を迎える前から万全な熱中症対策を心がけましょう。


