
新型コロナ「ニンバス」特徴は? “激しい喉の痛み”以外の症状にも目を向けて インフルエンザの重症化率と比較すると

新型コロナウイルスの感染が再び拡大しています。全国的に感染者数が増加傾向にあり、新たな「第13波」の到来が懸念されています。この波を引き起こしているのは、オミクロン株の変異型「ニンバス」です。
【写真を見る】新型コロナ「ニンバス」特徴は? “激しい喉の痛み”以外の症状にも目を向けて インフルエンザの重症化率と比較すると
感染者数の推移と第13波の兆候
2023年5月に5類感染症に移行してから、新型コロナ感染者数は長期休暇で人の動きが活発になる夏や、年末年始に増加する傾向が続いています。
去年からことしにかけての第12波というのは、過去と比べてさほど高くはありませんでした。しかし、今回の第13波は、第12波よりも高くなりそうということなんです。
この「第○波」という呼び方について、現在は第13波と呼んでいるところが多いですが、愛知県ではもうすぐ第12波に入るという言い方をしています。これは、愛知県では、1医療機関あたり週10人を超えると「波」としてカウントする基準を設けており、年末年始は10人に達しなかったためです。
8月18日~24日までの1医療機関あたりの感染者数は、愛知で12.55人、岐阜で12.20人、三重で9.04人と増加傾向になっています。東海3県だけでなく、全国的にも今後感染者数が増えていくとみられています。
「ニンバス」の特徴と症状
現在流行中の「ニンバス」はオミクロン株の変異株で、愛知県の7月のゲノム解析では既に100%が、この株に置き換わっているという結果に。
「ニンバス」の特徴として注目されているのが「激しい喉の痛み」です。「カミソリを飲み込んだような痛み」「ガラスの破片を飲み込んだような痛み」などと表現されるほど、強烈なものだといいます。
しかし、この症状だけに注目するのは落とし穴があります。実際の患者の中には、発熱のみ、咳のみ、あるいは関節痛や頭痛だけの症状の人もいます。
激しい喉の痛みばかりに意識が向くと、他の症状を見逃す恐れがあります。
インフルエンザとの重症化率比較
「発熱」「咳」「激しい喉の痛み」「感染力の強さ」などの特徴は、医師によると「呼吸器感染症」=いわゆる“風邪”です。では、インフルエンザと新型コロナの重症化率はどれくらい違うのか。
厚生労働省のデータによると、年齢別の重症化率は以下のようになっています(インフルは、コロナ流行前の17年9月~20年8月、新型コロナはデルタ株流行期の21年7~10月、オミクロン株流行期の22年7~8月で比較)。
80歳以上:季節性インフルエンザ(2.17%)、デルタ株(10.21%)、オミクロン株(1.86%)
60・70代:季節性インフルエンザ(0.37%)、デルタ株(3.88%)、オミクロン株(0.26%)
60歳未満:季節性インフルエンザ(0.03%)、デルタ株(0.56%)、オミクロン株(0.01%)
80歳以上でみてみると、重症化率が最も高いのは、新型コロナのデルタ株。デルタ株は、感染するとコロナ肺炎になると言われていました。人工呼吸器エクモをつけている人がたくさんいた時期です。次いで、インフル、オミクロン株の順番。
60・70代も、デルタ株が3.88%と最も多く、60歳未満もデルタ株が最も高い値で、ともにインフル、オミクロン株の順になります。
現在流行中のニンバスはオミクロン株に分類され、重症化率はインフルエンザよりも低い傾向にあります。
重症化する人の特徴は?
ニンバスでも重症化する例がありますが、いわゆる「コロナ肺炎」になるケースはほとんどないといいます。重症化するケースは、がんや心臓病などの基礎疾患のある人や、80〜90代の高齢者が感染し、発熱によって体力が奪われ、既存の疾患の進行を早めてしまうことなどが考えられます。
コロナそのものが直接の原因というよりも、感染が引き金となって重症化する人が多いということです。
治療薬の状況は?
治療については、基本的に風邪薬(解熱剤、咳止め、痰を切る薬など)が処方されます。専門的な治療薬としては「ゾコーバ」と「ラゲブリオ」。どちらもコロナウイルスの増殖をおさえるものです。
ゾコーバは発熱などの症状回復期間を1日短縮する効果があり、1箱約5万円(3割負担で1万5000円)。ラゲブリオは入院・死亡のリスクを3〜5割減少させる効果があり、1箱約9万円(3割負担で2万7000円)といずれにしても高額です。
現在、風邪薬は慢性的に不足しており、今後感染拡大が続けば薬不足が懸念されます。感染予防としては「よく食べ、よく寝て免疫力を高める」ことが大切です。
そのほかにも重要なのは換気。コロナウイルスは空気感染するため、空気中のウイルス濃度を下げることが感染予防の鍵となります。暑い季節でエアコンを使用する際も、定期的な換気を心がけましょう。