ことし3月、三重県亀山市の新名神高速道路で、大型トラックが渋滞の列に突っ込み、6人が死亡した事故。最初に追突された乗用車には、静岡県袋井市の松本幸司さん一家5人が乗っていました。
【写真を見る】大阪のテーマパークへ向かう途中…突然命を奪われた仲の良い5人家族 「いないことの辛さ受け止める日々」 遺族の思い 原因はトラック運転手の“ながらスマホ”か【新名神高速6人死亡事故 前編】
「仲良し家族だった」という5人の命を一瞬で奪った事故から約4か月。遺族が初めて、カメラに思いを語りました。
(幸司さんの姉)
4か月、あっという間というか…ただただ淡々と、やるべきことというか、やらなきゃいけないことをやり、過ぎてしまった日々だったような気がしますね。
自分の日常の仕事をしながらも、やっぱりこの子たちのことは常に頭にあって…という日々があの事故からずっと。長いとか短いとかじゃなくて、まだいないことを受け入れられていない。亡くなったんですけど、どこか亡くなっていないまま4か月が過ぎているという感じでしょうか。
お友達とかが来てくださって、幸司の家族のことも話してくれる方、いろんな方が来てくださるんですけど、たまたま寄って話してくれてるような感覚もどこかにあって、あの子たちがまた帰ってくるんじゃないかという感覚がどこかにある。そんな感じで4か月はずっと過ぎているという感じですね。
「『いるんじゃないかな』という気持ちが入り乱れて…」
(恵梨子さんの兄)
私はというと、ずっと非現実的なことの連続で。いつもの日常、本当はあの子たちがいてあの子たちと過ごす時間に、あり得ないことをしている。
警察の方であったり、きょう来ていただいた(メディアの)方々であったり、本来僕の人生の中で会うことのない人たちと会って、そこで自分の大切な人たちのことを話すという非日常を4か月過ごしてきました。
そんな中で、やっぱりどこか「帰ってきてほしい」「いるんじゃないかな」という気持ちが入り乱れて。
長かったか短かったかと言われると、言われたこと・やらなくちゃいけないことを、ただただやってきた。だから4か月というのはあまりピンとは来ないんですけれど、4か月が経ちましたね。
亡くなった松本幸司さん(45)、妻の恵梨子さん(42)、長女の莉桜さん(11)、長男の壮眞さん(8)、次女の彩那さん(5)。
親も子どもたちも、お互いが「大好き」で、仲の良い家族だったといいます。
両親が大好きだった子どもたち「親が帰ってくると玄関までバーっと走っていって」
(恵梨子さんの兄)
とにかく子どもたちがファーストでした。あの子たちは、今で言えば莉桜がバレーをやっていたり、壮眞もスポーツをやっていたり。
必ず恵梨子は、莉桜のバレーにほぼ毎週のように行っていましたし。本当に子どもたちのことを一番に動いていましたね。
子どもたちもやっぱりそんな幸司くんや恵梨子が大好きで、取り合いをするくらい。うちの方に遊びに来て、子どもたちを預かっている時なんかは、親が帰ってくるともう玄関まで3人でバーっと走っていって「お父さん!お母さん!」と出迎えるような、そんな子どもも両親が大好き、お父さんお母さんも子どもたちがとにかく一番という、そういう家庭でしたね。
そんな中で、妹の恵梨子も、もともとスポーツが大好きでしたから。さらに自身がやっていたバレーを莉桜がやってくれているということで、すごく熱も入っていましたし、毎週子どもたちのために土日を使っている、そんな家族でしたね。
この事故をめぐっては、トラックを運転していた水谷水都代被告が過失運転致死の罪で起訴されました。
事故原因は運転中の「ながらスマホ」とみられています。遺族には、いま取材に応じたことにも思いが。
「忘れられちゃうのかな、こんなに大きな事故だったんだけどな」
(幸司さんの姉)
どこかもう4か月経ったからなのか、過去の出来事みたいになっちゃってるんじゃないかな、という感覚が少しあって。
第1回の公判があった時にマスコミの方たちが取り上げてくださって、その時は一度みなさんに関心を寄せていただけたんですけど、やはりまたその報道がすっと引いていくと、また何も変わらない日常に戻っていく中で、やっぱり「過去の出来事」に戻ってしまう。
「なんか忘れられちゃうのかな、こんなに大きな事故だったんだけどな」というのがあって。
忘れないでほしいとかそういうことではなくて、”事の重大さ”と言いますか、第1回公判でも分かった通り、「ながらスマホ」で起きた事故というものを、もう一度皆さんにもよく分かっていただいて、死者数ではなくて、それが及ぼす影響も、もう一度、皆さんにお伝えできたら、という思いもあります。
被告にも、普通に日常を過ごされているのであれば「それは違うでしょ」というのはありますね。私たちは日々こんなに「いないことの辛さ」を受け止める日々の中で、彼女はどうしているんだろうと、そういう思いもあるので、そういうところも考えさせたい思いもあります。
「『皆さんどう思いますか?』というのが正直な気持ち」
(恵梨子さんの兄)
いま「ながらスマホ」に関して、国であったり社会であったり、こんな理不尽な形で命が奪われる、その“(被告への)代償”があまりにも小さいんじゃないか、被告への罰があまりにも、僕らの意見には沿っていない法律だなと感じるところがあります。
まだ裁判の結果というものは出てはいないんですけれども、それでも「これじゃいけないよね」という気持ちがあって、今回思いを伝えたいという気持ちで、こういった場を作っていただきました。
改めて今回のこの「ながらスマホ」。どういった事故だったのか。「皆さんどう思いますか?」というのが正直な気持ちです。僕らの立場になった時に同じ思いをしてほしくない、そんな気持ちで、今回本当に一石を投じるようなかたちをとりました。
事故が起きたのは、3連休の初日。大阪のテーマパークに向かう途中でした。毎年の“恒例行事”ともなっていたこの家族旅行。事故の約4時間半後、遺族のもとに警察から一報が…。
〈新名神高速6人死亡事故〉
【前編】大阪のテーマパークへ向かう途中…突然命を奪われた仲の良い5人家族 遺族「いないことの辛さ受け止める日々」
【中編】遺品は焦げたスマホや服の一部 「あるべき最期じゃない」 遺族は5人の遺体とは会わない選択 “生きていた頃の記憶を残したい”
【後編】「殺されたと思っている」 “13秒のながらスマホ”で事故を起こした被告は“過失”運転致死罪に問われ…


