「睡眠障害」が診療科の名前になりました。
【写真を見る】5人に1人が悩みを抱える“睡眠” 6月から「睡眠障害」が診療科名に 根本的な治療が受けやすくなる期待 一方で専門医足りず「0」の都道府県も…
「心療内科」「呼吸器内科」など病院の診療科の名前に、6月から「睡眠障害」を使用できるようになりました。日本人の5人に1人が悩みを抱えているという睡眠。
(日本睡眠学会 内村直尚理事長)
「昔から睡眠障害というのは精神科が診ていたが、睡眠の問題で精神科に行くというのは、すごくためらいがあって、結局(医療機関に)行かないまま終わってしまう方がいる」
診療科の名前が見直されるのは2008年以来で、今後は患者がより分かりやすく、医療機関を選択できるようになります。
5人に1人が睡眠に問題
2024年に厚生労働省が「ここ1か月、あなたは睡眠で休養が十分とれていますか」というアンケートを取りました。
結果は、男性が「全く取れていない 2.1%」「あまり取れていない 17.6%」、女性が「全く取れていない 1.9%」「あまり取れていない 19.3%」と、男女ともに合わせて約20%、5人に1人が睡眠に悩んでるということです。
「睡眠障害」ってどんな症状?
では、睡眠障害とは何か。日本睡眠学会のデータによると、1か月で約865万人が、病院で診断を受けているそうです。
睡眠障害にも色々あり多岐に渡りますが、約85%の方が「不眠症」と診断され、約11%の方が「睡眠時無呼吸症候群」と診断されているそうです。
厚生労働省によると、「不眠症」は、寝付きが悪い・途中で何度も目が覚める・早朝に目が覚めて二度寝ができないなど、これらによって日中に倦怠感や眠気・集中力の低下・食欲不振となってしまうということです。
一方、「睡眠時無呼吸症候群」は、眠りだすと呼吸が止まってしまう。1時間に10秒以上の呼吸停止が20回以上あると、中等症・重症の疑いがあるとのことです。
治療方法は大きく分けて2つ
日本睡眠学会の内村直尚理事長に聞いたところ、治療方法は大きく分けて2つ。
1つ目は、薬での治療。近年は安全性が高く、依存しにくい薬が登場しているそうです。依存しやすく、なかなか止められない薬があるのも事実です。
2つ目は、認知行動療法(6月から保険適用)。こちらは、行動・生活習慣・睡眠に対する考え方を改善するもの。例えば、布団にいる時間を眠るだけに制限し、スマートフォンの操作やテレビ鑑賞をやめる「睡眠制限療法」。そして、眠たくなってから寝室に行く「刺激制御療法」というものもあります。
「念願だった…」“睡眠障害”を看板に掲げてOKに
睡眠障害が看板に掲げられることについて、内村理事長は聞いたところ「念願だった。今まではどの科を受診すべきか分かりにくかったが、アクセスが向上し重症化を防げる」と喜んでいました。
診療科の名前は、単独で看板に掲げられるものとして、「内科」「小児科」「婦人科」「外科」「精神科」「耳鼻咽喉科」など20科あります。組み合わせて名乗れるものが、「呼吸器」「消化器」「心臓」「感染症」「糖尿病」などがあり、ここに「睡眠障害」が今回加わりました。
これまで睡眠障害は、「精神科」「内科」「耳鼻咽喉科」が診ていたケースが多いので、内村理事長によると「睡眠障害内科」「睡眠障害精神科」という病院やクリニックが出てきそうだと話していました。
薬だけでなく“根本的な治療”を
睡眠障害という名前が広く知られることについて、現場の医師は…
(めいほう睡眠めまいクリニック 中山明峰院長)
「この(睡眠障害という)科ができたことは、本当に喜ばしいこと。我々にとっては歴史的な日」
名古屋市中村区にある「めいほう睡眠めまいクリニック」。これまで20年以上、睡眠障害の治療に向き合ってきました。
(中山院長)
「やはり専門医を作っておかないと、『不眠でしょ、睡眠薬でしょ』という対応だけでは、こなせなくなってきてる」
睡眠障害という専門の診療科ができることで、薬だけでなく、根本的な治療を受けやすくなると言います。
睡眠専門医が「0」の都道府県も
一方で、課題も。
(中山院長)
「まだまだ睡眠専門医が足りない。全国の一覧表を見ると、全く(専門医が)いない都道府県もある」
睡眠の総合専門医 専門医の全国分布図を見てみると、18の県は専門医師が5名以下しかいません。和歌山県にいたっては0名です。愛知県は51~100名、岐阜県・三重県は6~10名で、患者の数に対してはまだまだ足りていないと言います。
(中山院長)
「私たちが今から一生懸命育成して、いろんな(睡眠障害専門の)先生を育てていくことが大事」
「十分に経験積んだ医師を選んで」
さらに、中山院長には別の懸念も…
(中山院長)
「誰でも(睡眠障害の診療科名を)掲げられるのは大きな問題。流行っているからやるっていう若手が増えてきている」
中山院長が指摘するもう1つの課題が、経験の少ない医師の増加。睡眠障害の治療薬の中には依存性が高いものもあり、適切な処方には深い専門知識が必要不可欠です。だからこそ、効果的で安全な治療を受けるためには、十分に経験を積んだ医師を選ぶことが重要だと言います。
(中山院長)
「日本睡眠学会の睡眠専門医の一覧表が出ている。ご自身の一番受診しやすい先生にかかっていただくことも大事」
課題は「医師免許」さえあれば看板に掲げられること
今後の課題について、中山院長は「患者数に対して専門の医師が足りないが、医師免許さえあえば看板に掲げられる」。自由標榜の原則といって、実は一部の麻酔科などを除き、何科でも看板に掲げられるそうです。そして、「薬には依存性が高いものもあり、病院・クリニック選びは気を付けてください」とのことでした。
「睡眠障害」が新しく診療科名に加わるということに関しては、課題もあるということを頭に入れておいてください。


