名鉄広見線 新可児~御嵩間が“危機” 沿線自治体の“さらなる負担”で存続か 路線バスに転換で廃線か 6月に結論へ

愛知県犬山市から岐阜県可児市を通って岐阜県御嵩町までを結ぶ名鉄広見線。その一部区間が廃線の岐路に立っています。
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利用状況が厳しくなる中、「地域の足」は守っていけるのでしょうか。
岐阜県御嵩町の名鉄御嵩駅。100年以上の歴史を持つ名鉄広見線が今、一部区間で廃線の危機にさらされています。
廃止検討の「新可児~御嵩間」利用者の半分以上は通学で…
愛知県の犬山から御嵩までをつなぐ名鉄広見線。廃線が検討されているのは新可児から御嵩までの約7.4キロの区間です。
この区間は通学の高校生らが利用者の半分以上を占めてきました。
しかし、利用者の総数は15年ほど前の年間に約100万人から減り、昨年度は約78万4000人に…。2050年度には60万人を割ると想定されています。
毎年約2億円の赤字 御嵩町と可児市が計1億円を支援するが…
10年以上、駅前で登校する児童の見守り活動を続ける男性は、駅の様子も見続けてきました。
(男性)
「(駅の利用者は)減っている。昔と比べたら…。廃線すると御嵩町は(存在感が)薄れる」
名鉄は、この区間で毎年約2億円の赤字を抱えています。
2025年度までは沿線の御嵩町と可児市が毎年あわせて1億円を支援しますが、施設の老朽化も進む中で、名鉄は今の枠組みでは「路線の維持が難しい」と伝えていました。
(利用者)
「ほぼ毎日(使っている)土日以外は。なくなったら、みんな不便になると思うので…」
「可児まで歩くしかない。2時間かからないくらい」
「ラジオ体操」が日課 近所の人たちに聞いてみると
地域にとってなくてはならない生活の足。中でも高齢者にとっては事態は深刻です。
毎朝のラジオ体操が日課だという近所の人たちに聞いてみると、ほとんどの人が名鉄広見線を必要としていました。
(70代女性)
「病院に行くときや買い物に行くときに使う」
(80代男性)
「免許を返納したら困る」
「子どもや孫のために残すことが最重要」存続求める署名を提出
そんな中、きょう御嵩町役場では。
(住民代表)
「御嵩町の子どもや孫たちのために、広見線を残すことが最重要だと思います」
名鉄広見線の存続を求める町民ら7000人以上の署名が町長らに手渡されました。
(御嵩町 渡辺幸伸 町長)
「地域の活性化や街の持続可能性を見据えたときに、どういう公共交通のあり方が望ましいのか、これから議論し検討しながら進めていきたい」
今後の選択肢は2つ。沿線の自治体がさらなる負担を受け入れて存続するのか、廃線してバス路線に転換するのか、ことし6月に結論が出る予定です。
“廃線検討” 他のローカル線でも…長良川鉄道は開業以来「赤字」
厳しい経営が続く赤字ローカル線は他にも…。
(長良川鉄道社長 山下清司 関市長)
「通学の生徒たちが困らないように必要な部分を残すために、一部地域の廃線も視野に入れて構築する」
岐阜県美濃加茂市の美濃太田から岐阜県郡上市の北濃までの約72キロを結ぶ第3セクターの長良川鉄道。39年前の開業以来、毎年赤字となっています。
社長を務める関市の山下清司市長は今月3日の市議会で、一部区間の「廃線」を検討していることを明らかにしました。
長良川鉄道も郡上市の北部を中心に利用者は年々減少。今年度は76万4000人とピーク時の半分以下に減り赤字額も4億5700万円の見込みです。
地域にとってはなくてはならないローカル線。赤字が続く中、難しい判断に迫られています。
CBCテレビ「チャント!」2025年3月12日放送より