撮影や輸送用で開発が行われてきた日本のドローンが、戦争の道具に。国も後押しする中、大手が防衛産業に参入する理由とは?
【写真を見る】撮影・輸送から“兵器”へ?! 国産ドローン 手りゅう弾搭載のものも…「日本にないと大変なことに」 ウクライナと提携の企業も
鳥になった様な情景を高画質で撮影。時には災害の現場調査や測量、さらには物資の輸送など、日本でも実用化が進められているドローン。
しかし、世界ではロシアによるウクライナ侵攻、イランとアメリカの戦争でも、いまやドローンが兵器の主役に。そして、日本でもドローンの位置付けは変わろうとしています。
ドローンで“医薬品”を運ぶ時代に 開発したのは名古屋の大手ドローンメーカー
名古屋市天白区にある、国産ドローンを製造している会社「プロドローン」。
(プロドローン 戸谷俊介社長)
「ここがフライトエリア」
(大石邦彦アンカーマン)
「広い空間があって、所狭しといろんな姿・形のドローンが並んでいる」
最高時速135キロで長距離飛行が可能なヘリタイプに、水中ドローンを装備したタイプも。さらに、こちらの大型ドローンは…
(戸谷社長)
「これは初飛行が2016年。国土交通省航空局の第一種型式認証を、まもなく取得できる。名古屋にパイロットがいて、東京のドローンを飛ばすことができる。遠隔運行ができて、人の上を飛ばせる唯一の大型ドローン。ドローンによる医薬品の配送がもう始まります」
プロドローンは長年、輸送事業を目指して大型機を開発してきましたが、人の住んでいる地域の上を「届け出なし」で飛ばせる認可を取得し、ドローンによる貨物輸送に実現の目処が立ちました。
防衛産業にも参入へ 手りゅう弾などを搭載するドローンも完成
産業化は確実に進んでいますが、この取材の翌日…視察に訪れたのは防衛省の小泉進次郎大臣。
(小泉進次郎防衛大臣 5月20日)
「これまで日本のドローン企業の課題として、わが国に侵略してくる敵に対する攻撃用のものがなかった。きょうプロドローン社において、開発が完了したとの話を伺い、機体を見せていただきました」
大臣に披露されたのは、手りゅう弾や迫撃砲などの投下装置を搭載する新型ドローン。
防衛予算を過去最大の9兆円に増額した高市内閣は、ドローンの活用を重視していて、沿岸部に侵攻した敵をドローンで防衛する「シールド構想」を掲げています。
(小泉防衛大臣)
Q.国産ドローンを防衛大臣として防衛面でどう活用していきたい?
「アメリカは2~3年で100万機の調達。ロシアやウクライナは年間で500万~700万機調達していて、世界の中で見られる“新しい戦い方”に、われわれ日本は“新しい守り方”を考えなければいけない。この後押しを民間任せではなく、国がする必要がある」
“地雷探知ドローン” ウクライナでも実証実験 「防衛で無人機の役割は大きくなっていく」
プロドローンがウクライナの企業と共同開発する「地雷探知ドローン」。今週から首都キーウで実証実験を行っています。現地に派遣される、広報担当の森内倫子さんは…
(森内倫子さん)
「地雷探知は正確に場所を見つけて取り除かないと、地雷が爆発してしまうと農地として使えなくなってしまうと聞いた。戦後・復興の時に非常に重要な技術だと思っています」
ドローンの軍事利用について、戸谷社長は…
(戸谷社長)
「小泉大臣も日本を世界一の無人機運用の国にすると言っている。ベースには“ゼロカジュアリティ”という、1人も犠牲を出さないという考えがあり、“百万が一”有事になりそうな時にはすべて無人機で対応する。無人機の役割は大きくなっていく」
“迎撃用ドローン”でウクライナ企業と提携のメーカーも 「日本の防衛考えたときに大事」
ドローンの防衛産業での活用が急速に進む中、既に海外の実戦で使われているものがあるそうです。
東京都渋谷区にある、測量など産業用のドローンメーカー「テラドローン」。ことし3月、ウクライナのドローンメーカーへの出資を表明。徳重徹社長が強調するのは、ビジネスよりも危機感です。
(テラドローン 徳重徹社長)
「ドローンは戦場のゲームチェンジャーと言われているが、ドローンを防衛向けにしっかりとやれる会社が日本にないと大変なことになるなと」
ロシア軍が攻撃に使っているドローン、イラン製の「シャヘド136」。日本人に馴染みのある形とは違い、爆弾を内蔵。時速185キロで2000キロもの距離を飛びます。
ウクライナでは、ひと月に5000機以上のシャヘドによる自爆攻撃を受けていて、自国もドローン部隊を作って対抗しています。
(徳重社長)
「シャヘドは2000キロくらい飛ぶ。どこにでも来ますよという話。われわれがやっている迎撃ドローンは、極めて日本の防衛を考えた時に大事だと僕は思う」
3Dプリンターで作る迎撃ドローン 約40万円 高額なミサイルより有利
そして、会社が出資するウクライナ製の迎撃ドローン「Terra A1」。
(徳重社長)
「すごくシンプルで部品も数十点。だから安く作れる。スピードが時速300キロ出る」
3Dプリンターで数時間で完成し、コストは約40万円。500万円するシャヘドの10分の1以下です。
垂直に飛び上がり、最高速度は時速300キロ。時速185キロのシャヘドに追いつき破壊します。自動ではなく人が遠隔操縦するというローテクですが、テラドローンの出資によって、月に1000機作られて戦場に投入。この他、飛行機形態の「Terra A2」も使われています。
(徳重社長)
「最先端の情報・経験・知見を持てるようにしないと、今後の日本の防衛を考えた時に困るなと」
「防衛の意味で“武器”を持っておかないと」
テラドローンは、日本の防衛装備庁に「訓練用」のドローン300機を供給する約1.1億円の契約を締結。日本政府は4月、防衛装備品の輸出制限を大幅に緩和し、殺傷能力のある武器の輸出を原則認めるなど、海外の紛争に間接的にでも関わっていく姿勢を強めています。
(大石)
「ドローンは迎撃・防衛用だけど、場合によっては殺害に使われる可能性も…そこはどういう認識?」
(徳重社長)
「一般的な日本人の発想で言うと、そこはセンシティブな問題だし、防衛はやらないと決めている会社もある。でも逆に、だからやらないっていうのは私はおかしいと思っていて、防衛の意味で武器を持っておかないとお話にならない状況になるし、誰かがやらないと大変なことになるのは目に見えている」
日本では、平和利用の印象が強いドローン。しかし、それは大きな転換を迎えつつあります。


