中日元監督・森繁和氏「明るさは一番です」 愛称はピンキー井上一樹新監督の人柄や戦略眼を激白

井上一樹2軍監督が、中日ドラゴンズからの監督要請を受諾しました。井上さんは1989年鹿児島商業から中日に入団。パンチ力のあるバッティングを持ち味で、3度のリーグ優勝に貢献しました。名前の“一樹”をもじってピンキーの愛称で親しまれ、現役引退までの20年間を、中日一筋でプレーしました。引退後は阪神のヘッドコーチや中日の二軍監督などを務めました。
井上さんは一体どんな監督になるのか、元中日ドラゴンズ監督の森繁和さんに話を聞きました。
森繁和さん「明るさは一番ですよ」

――ドラゴンズは、3年連続最下位と非常に悔しいシーズンになっていますね。監督が変わって井上2軍監督が就任確実となりました。率直にいかがですか。
「今の時期は井上2軍監督にしては(新監督就任に)一番いい時期だと思います。若い人たちと一緒に接しているので、1軍、2軍を行ったり来たりしている若い人たちにとってはいいんじゃないですかね。話しやすくて」
――世代交代が行われている最中で、2軍で頑張ってきた選手たちを見た1年間がある井上さんが、監督になるのに適切なタイミングじゃないか、と。
「いいんじゃないですか。もしかしたら新しくよそから来る可能性もあったでしょうけれども、今の時期でしたら一番合っているかもしれませんね」
――各所からは「明るい方だ」なんていう声が聞こえてきますが、どんな方なんでしょうか。
「明るさは一番ですよ。それがなければ取り柄がない、と(笑)こんなこと言うと、また怒られるかも」
――はっきり言いますね。
「大丈夫です。謝っておきますから。でも、(井上2軍監督は)選手との会話が得意ですから」
井上新監督のコミュニケーション能力

――井上さんにご自身の人柄を聞いたところ「コミュニケーションモンスター」と話していました。
「コミュニケーションモンスターですか。好きではあると思いますけど、モンスターかどうかは私には分かりません。ただ、若い子とよく接しているし、喋ることも当然好きで、いろんな理論もある。打球だけでなく、私生活でもいろいろな話はできやすいと思いますよ」
――監督としてチームを動かしていくとなると、コミュニケーションを取りやすい取りにくいっていうのはありますか。
「当然、ありますよ。こちらから声をかければしやすいでしょうから、監督からどんどん声をかけていけば良い。特に若い子たちは喋りやすいんじゃないですかね。顔はどう見てもね、そんな優しそうな顔はしてませんけど(笑)」
――そうですか(笑)お優しそうに見受けますけど、選手はどう感じているのかについて、事前にインタビューをしました。

今季支配下登録の松木平 優太投手:
「井上さんは選手との距離も近くて、すごく話しやすい雰囲気をつくってくださる方なので。『とにかく小さくなるな』ということを言われていて、『ミスをしてもいいからどんどん攻めたプレーをしろ』と言われています。すごく縮こまらずにプレーできたな、と思います」

ルーキーで支配下登録の尾田 剛樹選手:
「チームが暗かったときでも、負けていて雰囲気が悪くても、井上監督から盛り上げてくださって。本当に“明るいチーム”っていうイメージがあります。

――昨今のプロ野球では、例えば日本代表の栗山英樹前監督や広島カープの新井貴浩監督みたいに、モチベーターとしての手腕が評価されるシーンも多くあると思います。そのあたりも大事なんですね。
「大事でしょうね。立浪和義監督がやっていたかどうかは別として、井上一樹新監督になった時点で、そのように思われる方が多いと思います。2軍の監督をずっとやっていたので、特に今いる人たちは、1軍から2軍、2軍から1軍に上がったり落ちたりは結構あるじゃないですか。そのときの心境や状況によって、話し方がいろいろあると思うんです。そういうのが“楽なお兄さん”みたいな感じじゃないですか」
森繁和さんが考えるチームの課題

――今のチームは、何からどう変えていけば良いでしょうか。まず、投手陣からお願いします。
「いっぱいあると思います。一番、きついときに引き受けたかも分かりませんし、投手陣も当然、今年は良いと思っていたピッチャーたちが、高橋宏斗以外は貯金ができていない状態です。2桁もいないし、勝ち越している人が少ないんですよ。それだけではなく、イニング数を投げているのが高橋と小笠原慎之介ぐらいですか。それではなかなかAクラスの優勝は難しいと思うんで、まずはここを1つ立て直さないといけない。難しさが1つ増えましたよね。
今シーズンまでだったら、打線のことばかり言っていたと思うんですけど、もしかしたら小笠原がいなくなるかも分からない。抑えがどうなるのか、という心配もあります。どのようなローテーションを作るのか、先発ピッチャー(のローテーション)をどう組めるのか。その辺が1つ大事ですよね」

――打線についてはいかがですか。
「(打線については)ずっと言われていましたね。立浪監督がバッターだったんで、“打線は何とかする”とずっと言っていましたが、結果的にはなかなかうまくいかなかった。点が取れなかったですね。
私は打つだけではなくて、走るほう、盗塁で1つの塁を狙う。ある程度は打っているんですよね。ただ、得点能力として点数が入らない。相手ピッチャーにプレッシャーをなかなかかけられてないんじゃないか。盗塁の数には満足していないんですよ」
――盗塁は12球団の中で最も少なかったんですね。
「もっと上を目指そうとするのであれば、盗塁の練習もしなきゃいけない。ドラゴンズの若いメンバーは走れる人がいるはずなんですよ。打つだけじゃなくて点を取るためには必要なんじゃないか。相手のピッチャーにプレッシャーかけるのは、そこからかなと思いますけどね」
――ちなみに今シーズンは岡林勇希選手が10個、福永裕基選手が9個と、これがチームの上位2人なんですが、どれくらいの上積みを求めたいですか。
「できるなら倍ぐらいにしてほしいんですよ」
―― 20ぐらいですね。
「はい。チーム40盗塁を80盗塁ぐらいに。パ・リーグはそのぐらいしています」
――パ・リーグはセ・リーグに比べて、だいぶ盗塁数が多かったですよね。
「(セリーグも)よそのチームは60・70ぐらい、盗塁をしていますよね。これぐらいすると、それはピッチャーとしても、塁上を気にします。すると打つほうも楽になりますから」
(10月9日放送「5時スタ」より)