愛知県一宮市で去年5月、妊婦が車にはねられて死亡し、お腹にいた長女に重い障害が残った事故の裁判。22日、検察が禁錮3年を求刑しました。
■娘も被害者に…遺族が求めた「過失運転致傷罪」の適用
研谷日七未ちゃんは4月、本来ならつたい歩きをする生後11か月を迎えましたが、動くことはおろか意識もありません。
母・沙也香さん(当時31)は、お腹にいた日七未ちゃんの出産予定を2か月後に控えた去年5月、里帰りしていた一宮市の路上で突然車に追突され、亡くなりました。
事故後に帝王切開で生まれた日七未ちゃんは、脳に重い障害が残りました。ところが…。 父・研谷友太さん(2025年9月): 「起訴状を見た時に、本当に一切名前が入っていない。これだと娘が何もなかったかのようなかたちにされてしまうなと」
車を運転していた児野尚子被告(50)に問われたのは、沙也香さんに対する「過失運転致死」の罪だけ。 遺族は、日七未ちゃんも被害者だとして過失運転致傷罪の適用を求めましたが、検察は「胎児は母体の一部」とする法律の解釈上、罪には問えないと起訴を断念。 その一方で、初公判の時には一切出ることのなかった日七未ちゃんの名前と被害の事実を起訴状に追加する訴因変更を請求し、地裁はこれを許可しました。
■禁錮3年の求刑に父「言葉が出ない。甘すぎる」
22日に開かれた裁判で、法廷に立った日七未ちゃんの父・友太さん(33)は、涙ながらに肩を震わせこう訴えました。 父・研谷友太さん: 「娘が大人になっていく姿を、妻と一緒に見守りたかった。自慢の妻を返せ。最愛の娘の未来を返せ」
裁判で検察側は、「長い間、前方左右を注視せず事故を起こした過失は、故意にも当たる。事故状況は悲惨極まりない」などとして、禁錮3年を求刑しました。 その上で友太さん側は、被害者参加制度で認められた「被害者論告」として、過失運転致死罪の最高刑・禁錮7年を求める意見を述べました。 一方、弁護側は「被告は事故直前まで交通法規を守っていた」として寛大な判決を求めています。
父・研谷友太さん: 「量刑の判断があまりにも甘いんじゃないかなというのが率直な気持ちです。気持ちをどこにぶつければいいのか。訴因変更がなかったら、いったい何年で求刑するつもりだったのだろうと、甘すぎるなと思います」 判決は6月18日に言い渡されます。
■遺族らが“法改正”に向けた動き 3万2000筆以上集まる
遺族らはこれまで、日七未ちゃんへの過失運転致傷罪も適用するよう、オンラインで集めた署名13万8000筆以上を、2026年1月に名古屋地検に提出しています。
そして4月からは、法務省に対し、胎児が交通事故などで被害を受けた場合の法整備を早急に進めるよう求める署名活動を行っていて、4月22日時点で3万2000筆以上が集まりました。 活動では、“3つの要望”が被害者家族の切実な願いであるとしています。 ・胎児が出生後に死傷した場合の処罰規定の見直し ・胎児も被害者参加制度の対象とする運用改善 ・障害を負った子どもと家族への支援体制の拡充 沙也香さんの父・水川淳史さんは、「検察ごとに扱いに差が出るようにしてほしくない。抜け穴をなくすために、法を改正してほしい」と話し、オンラインで多くの人の署名を訴えました。


