社会にあふれるリチウムイオン電池から「レアメタル」をリサイクル 資源に乏しい日本の課題

スマートフォンやハンディファンにモバイルバッテリー、さらにEV(電気自動車)や国際宇宙ステーションにいたるまで、この全てに使われているのが「リチウムイオンバッテリー。

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軽くて大量のエネルギーを貯められるこの電池は、元々日本人の発明ですが、原料のリチウムは100%輸入に頼るしかありません。ビデオカメラ用など小さなものから、ハイブリッド車用の巨大なものも。

世界中で今後さらに需要が高まる中、国内に眠る廃棄バッテリーのリサイクルは、いまや国を挙げて取り組む重要課題です。

電池はリチウムやコバルトなどレアメタルの宝庫

福井県にある大手金属メーカー「JX金属」の工場。ここには、世界最先端のリサイクル技術が。

(JX金属サーキュラーソリューションズ敦賀 五十峯大介社長)
「今までは(リチウムの回収率が)50%以下でしたが、新しい技術によりまして90%以上回収できることになります」

最も重要な「リチウム」はもちろん…

「上の青色部分にコバルトが含まれて、下にはニッケルが残って緑色になる」

「コバルト」や「ニッケル」など、いずれも日本が輸入に頼るレアメタルを極めて高い純度で回収し、実用化に向けた研究の最終段階です。

回収したリチウムイオン電池は水に浸けて保管

工場内にはたくさんのドラム缶が。その中には…

(JX金属サーキュラーソリューションズ敦賀 後藤大貴係長)
「全てが(回収した)リチウムイオン電池になります」
Q.水に浸す理由は?
「運搬中に発火のリスクが考えられるので、全てのリチウムイオン電池が水に浸かった状態で運搬されてきます」

水に漬けてあるのは、発火事故を防ぐため。不用意に破損させると、発火の問題がつきもののリチウムイオンバッテリー。廃棄されたとはいえ、まだエネルギーが蓄えられていることもあるため、水に漬けて保管しています。

どうやってリサイクル?まずは熱して破砕 “黒い塊”ブラックマスに

(後藤係長)
「今から加熱して、無害化の工程に入ります。中に電解液が入っているので、これを炉で焼きます」

リサイクルの工程では、まず加熱して電解液や樹脂など不要な部分を取り除きます。

さらにシュレッダーで細かく砕き、銅やアルミを取り除くと…

(後藤係長)
「ふるいにかけて出てきたのが、ブラックマスになります」

ブラックマスとは「黒い塊」という意味で、リチウムやコバルトなどのレアメタルが凝縮された塊です。黒いのは、黒煙が含まれているため。

特殊な油で各レアメタルを分離 鮮やかな青色に…

次は、これを成分ごとに分離していきます。

(後藤係長)
「これはブラックマスを溶かした後の液になります。コバルト・ニッケル・リチウムを含んでいて、茶色の液になっています。この液に対して(特殊な)油を一緒に混ぜて、(特殊な)油にコバルトを吸着させる工程になります」

まず、強力な酸で溶かし特殊な油を加えると…

(後藤係長)
「コバルトだけが(特殊な)油に吸着されるので、(特殊な油が)上に出てくる。青色をしています」

青いのは安定剤となる「コバルト」。結晶化させると色は深紅に変わります。

取り出された「レアメタル」は将来新しいリチウムイオン電池の材料に

さらに…

(後藤係長)
「下の液にはニッケルだけが残って、緑色になります。ここで2層に分離するので、このまま上と下で分けられます」

下にたまる緑色の部分は大容量化を担う「ニッケル」。結晶化すると、鮮やかなエメラルドグリーンに。

そして、残った物から不純物を取り除き乾燥させると、白い粉末状の物質が。

(後藤係長)
「これが炭酸リチウムです。将来的には、これをリチウムイオン電池の素材として使っていただく予定です」

電気を蓄える主役の「リチウム」。取り出されたレアメタルは、いずれも純度が高く、もう一度新しいバッテリーの材料となることが確認されています。

リサイクル技術は世界トップレベル それでも回収率は14%

国の補助金も受けて、今ではリチウムの回収率は世界最高水準の90%に達していますが、一方で大きな課題も…

国立環境研究所は、日本国内で推定年間8160トンもの使用済みリチウムイオンバッテリーが出る中、その14%程度しか回収できていないという実態を報告しました。

(五十峯社長)
「今後EV化が着実に進んでいく中、廃電池の大量廃棄時代に備えて、技術開発を行っていくことで社会の要請に応えていきたい」

リサイクル技術は世界をリードする一方で、肝心のバッテリーの回収ができていない現実。改めて、資源に乏しい国であることを国全体が共有する必要があると言えます。

CBCテレビ「newsX」2026年5月25日放送より

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